もののけ姫、観ました?

この時期になると毎年のように、金ローで『もののけ姫』が放送される。

観ましたか? 好きですか?

私は特段、ジブリ映画ファンというわけでもなく。トトロすら大人になってから初めてまともに観たのですが。

でも、好きなんです、『もののけ姫』。


この作品は小学生のときに初めて映画館で観た映画で。当時は今と違って、大人気の映画は立ち見があった。映画館の右側後方の壁際で、親と一緒に立ったまま観たことを今でも断片的に覚えている。

当時はそこまで深く観ていなかったし、タタリ神の怖さとか、村を襲う野盗を躊躇なく殺すアシタカの恐ろしさ、そして森を切り拓くエボシはなんて〝悪いやつ〟なんだろう……そんな感想しかなかったように思う。


しかし何度もテレビ放送され、自身の成長にあわせて観ていくうちに、とくにエボシへの感情はどんどん変わっていき……

いまではエボシ様ファンとして毎年この時期の『もののけ姫』を楽しみにしているのだった。


まずキャラクター造形が素晴らしく。凛とした佇まい。ハスキーボイス。優しさと厳しさが同居する、タタラ場を擁する街の指導者。

普通は女人禁制とされているタタラ場だが、エボシのタタラ場では女性たちがタタラ(フイゴ)を踏み、鉄を作る。身売りされた女性たちを買い請け街に住まわせる。世間から忌避されてきたであろう病人たちの世話をし、仕事を与え、尊厳を与える。

エボシはサンやモロ、森に住む生き物たちから見れば悪の権化のような人間だけれども、社会的弱者の人々にとっては慈愛に満ちたおさであり指導者である。単に善悪で語れない、それがこの物語の凄いところだと思います。


物語のラスト。サン(もののけ姫)が主人公アシタカに対して、アシタカのことは好きだけど人間を許すことはできない、と言う。それに対してアシタカは、それで構わない、それぞれの場所で生きよう、と返し、2人はそれぞれタタラ場と森でこれから生きていく、という終わりなのだが。

この、所属も境遇もすべてかなぐり捨てて2人が結ばれてハッピーエンド、とならないところも良い。それぞれの背負ってきたもの、守りたいもの、譲れないものがあって、完全に分かり合うことはできない、それでも相手を尊重し、想い、会いに行くと約束する。ここにひとつの愛の形を見るのです。


ほかにもいくつもある好きなシーン、そのうちのひとつ。

それはエボシ様とサンが戦い、それを止めに入ったアシタカがサンを貰い受けると宣言し、タタラ場を去るシーン。

門を守る石火矢衆、ここを開けることはできないと職務に徹しながらも、アシタカに対して身を引くよう、まるで懇願するかのように小声で告げる。ここに彼らとアシタカが育んだ信頼関係と、職務遂行へのせめぎ合いが見て取れる……とても好きなシーンです。



夏の終わりに『もののけ姫』を観る。

それがとても、安心する。


そんな、夏の最後の独り言。

おわり。


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