異世界チートハーレム無双~クラス転移で1人だけ逸れた僕はチートスキル持ち。どんどん恋人が増えてハーレム王になったのでウハウハハーレムライフをエンジョイする。ついでに歌って踊って戦うアイドル目指します~
EP.13 ある劇場での一幕(side:???)
EP.13 ある劇場での一幕(side:???)
《side:???》
真っ暗な劇場、そのステージに2人のピエロがいた。
1人は小柄で小太りした子どものような外見の男。
もう1人は熊のぬいぐるみを抱え大鎌を携えたあどけない少女だった。
「おやおやおや?
まさかあの町にまだアレを討伐出来る戦力があったとは驚いたヨ。
アレでもスキルを使えば
「はぁ? 『陽焔の雷華』は今いない筈じゃなかったの? 異世界人も今は城で訓練中だし、あの町にいる戦力なんて精々Bランクのよわよわ冒険者ぐらいって言ってたわよね?」
「はてさて、不思議だネェ」
「不思議だネェ、じゃないわよこのおたんこなす」
今頃『陽焔の雷華』は私達の拠点探しで時間を取られている所だろうし、最高戦力はBランクの『血狼の戦刃』の筈なのだけどネ。
僕たちの知らない戦力、というわけだダ。
一応警戒しておこうかネ。
「まあいいサ、駒が1つ減ったのは哀しいけれど、所詮は
「アイツらもそろそろお披露目かしら。勇者がやって来るまでに町をいくつ滅ぼせるか楽しみね」
うんうん、そうだネェ。
アレはワシたちの最高傑作。
この世界とも、召喚されし勇者達の世界とも異なる世界、その宙に住まう豊穣の女神の力の一端を取り入れた怪物だからネ。
陰陽の思想を取り入れ雌雄一対にして何とか制御可能なまでに安定させることが出来たけどネェ……。
制作予定だった魔物とはもはや別物だヨ。
まさか試作品の
「ねえねえ、アイツらもソイツに倒されたりしないわよね?」
それはないだろうネ。
強さに関わらず、あの怪物と同じく異世界の神格の力を宿してなければトドメを刺すことができないのサ。
召喚されし勇者の世界とも違う世界だから大丈夫だヨ。
この世界の勇者レオンであれば倒せるだろうけどネ。
魔王すら容易く討伐せしめる歴代最強の勇者、それがレオン・ラインハルト。
あれは怪物を超えた怪物なのサ。
強いだけじゃない、理屈を無視し、世界の法則すら超越した天才。
アレとまともに戦えるのはこの世界じゃ大魔王様だけなんだヨ。
神の領域に片足踏み入れているからネ。
「まあ、勇者が出張らない限りは問題ないのサ。だから例えどれだけ強くても大丈夫だヨ。ゲームを始めるのに支障はないだろうからネ」
「へぇ? それは面白いことを言うのね」
突然、劇場の入り口から声が響いた。
「「!?」」
「詳しく話を聞かせてもらおうか」
「ちょっとちょっと! 何でここに『陽焔の雷華』がいるわけ!? アンタちゃんと偽装出来てないじゃないの!」
あらあらあら?
もう少し時間を稼げるとおもったんだけどネェ。
流石に『陽焔の雷華』相手だと厳しかったネ。
「手こずらせてくれたわね。お陰でライと一緒にいられる時間が減っちゃったじゃない」
「彼が
ほうほうほう!
ライというのだネ?
2人の関係者……弟子なのかナ?
それにしても、2人ともキレてるネェ。
偽の拠点全てにしょうもないトラップを設置してからかったからかナ?
それとも、小馬鹿にするようなメモ書きを残しておいたからかナ?
笑いを取るのが道化の本領ではあるけど、それと同じくらい怒らせるのも得意なのサ。
「貴方達を拘束させてもらうわ」
「これはこれは……困ったネェ!」
跳ねるように飛び上がり、魔力を籠めたトランプを投擲した。
地面からせり上がるように小さな城壁が出来るが、トランプがそれを貫く。
「ただのトランプで
「ただの、とは心外だネ! 我のトランプは
「馬鹿じゃないの!?」
馬鹿とは失礼なのサ。
俺が誰か教えてあげようネ。
「では自己紹介をするのサ!」
スポットライトが自分たちを照らす。
オイラが大仰な態度で礼をすると、少女は大鎌をクルクルと振り回した。
「
「アタイは序列5位! 『
「やはり教団か。それも幹部とは……」
「ハーレン、やるわよ」
地面から鎖が飛び出し吾輩達を絡め取ろうとする。
拙者達がそれを軽々と回避した瞬間、今度は水の輪が手足を縛った。
これは恐らく、『
「何捕まってんのよ!」
ティアはギリギリ逃れる事が出来たようだネ。
まあ、オイラは戦闘は得意ではないから、仕方ないネ。
下手の横好きという奴なのサ。
「油断しちゃったネェ……」
「『光槍弾』!」
「『
手足と頭がバラバラになり拘束から逃れる。
本来体があった位置を槍が貫いた。
「何よそれ! さっきからもう滅茶苦茶じゃない!」
「イッヒヒヒヒ! あっしと一緒に遊ぼうヨ!」
「アリスはクラウンの相手を頼む! 私はティアと戦う!」
「いいわ! 遊んであげる! 起きなさい! ベア子!」
ティアがぬいぐるみを上に投げると、ぬいぐるみがクルクルと回転しながら着地する。
ぬいぐるみは、何処かから取り出した鎖鎌を振り回し始めた。
「ではこちらも楽しもうネ」
「はぁ!」
彼女が杖を振りかざすと、劇場の至る所で炎が燃え盛った。
炎は時間が経っても消えずに残り続ける。
「これでどう?」
杖が振り下ろされ、雷が俺様の周りを囲むように現れ、閉じ込めた。
『
「ワンダフル! なんと!
流石、二コラエル家の天才だネ。
魔術を極め、時の魔王を討伐したことで時空すら操れるようになった家系、その一族で最も優れた大魔導師。
彼女はまだ時の力は継承していないようだけど、それでも厄介なのサ。
「死になさい!」
「『
牢獄から転移して抜け出し、どんどん体を増殖させていく。
「転移まで使えるのねって、増えた!? 幻覚? それとも分身? いや違う、全部が本体? でも並行体とも違う……」
虚数空間からの投影を利用した転移と増殖。
例え彼女でもそう簡単に見破れはしないのサ。
「ちょこまかと鬱陶しいわね!」
「「「おやおやどちらを狙っているので? こちらですヨ?」」」
火、水、地、風、雷、光、闇、数多の魔術が次々と襲い掛かる。
それら全てを軽々と回避していった。
さてさて、ティアの方はどうだろうかネ?
「『委蛇槍』! 『螺旋突』!」
「アハハハハハ! そんなものかしら?」
うねるような槍捌きを、大鎌と鎖鎌が防いでいる。
ティアは転移するように距離を詰めたりし、彼女を翻弄していた。
ガヴェスター家の落ちこぼれにして最高の騎士、だったかナ?
勇者レオンの携える聖剣に匹敵する太陽の剣を受け継ぐ家系に生まれながらも剣を扱えぬ落ちこぼれ。
視たところ、確かに剣の才能はとんとないネ。
子どものごっこ遊びの方がまだマシだろうサ。
けどまあ、愚かなことだヨ。
これ程の槍の才能を、剣が扱えぬという理由で手放すなんてネ。
このまま成長すれば
そうなれば騎士王にも
とはいえまだまだ発展途上。
厄介ではあるけど、ティアなら負けることはないだろうネ。
なにせ、ティアの鎌は死の権能を宿した究極の武器。
形而上、形而下関係なく、全てを殺す、まさに
彼女もそれを戦士の直感で察しているのか、攻撃を受け止めるようなことはせず、全て回避しているようだね。
おまけに自立行動の出来るあのぬいぐるみは単体で
事実上の2対1なのサ。
「クラウン! よそ見してんじゃ! ないわよ!」
「「「楽しいネェ!」」」
「このっ! 全部洗い流してあげる!」
天井から水が滝のように落ちてきた。
劇場に水が満たされていく。
増殖していた体が全て消えてしまった。
ふむ、見破られた、というわけじゃなさそうだネ。
偶然の産物だろうネ。
これが『
他人の魔力が濃い空間では使えないのだヨ。
とはいえ、『
ここにいる4人とも、水中で動きが鈍ったりはしないからネ。
「もーサイアク! なんでアタイがこんな目に遭わなくちゃいけないわけ!?」
おやおやおや、ティアはびしょ濡れにされてずいぶん怒っているようだネ。
ああ、そういえばお気に入りの服だと言ってたかネ。
それにぬいぐるみを水を吸って随分膨らんでしまったようだネ。
これじゃあもう戦えそうにないのサ。
「もういい! クラウン! 帰るわよ!」
仕方ないネェ。
拙僧としてはまだまだ遊んでいたいのだけど、こうなったティアは何を言っても無駄だからネ。
我儘に付き合ってあげるのも度量というものなのサ。
帰ったら『防水』でも
水魔術で攻撃される度に機嫌を損ねられたら堪らないのサ。
「オッホッホ! では、そろそろおさらばとしましょうネ!」
楽しかったヨ。
それなりに満足できたのサ。
次はもっと強くなって楽しませて欲しいのヨ。
「っ!」
「待て!」
「待たないのサ」
描かれた魔法陣が青白く光り輝き、2人の姿は陽炎のように揺らめき、サッと掻き消えた。
─────
【真名】
【
【性別】女性
【身長/体重】141cm/24kg
【属性】混沌・善
【特技】昼寝、怠ける、からかう
【趣味】ジョーク、居眠り、サボり
【好きなもの】ダジャレ、軽口、悪ノリ
【嫌いなもの】面倒事、後始末
【苦手なもの】早起き、仕事
【備考】
マイペースでお気楽、怠け者でクールなジョーク好きの女子。
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