Day7 あたらよ

 絹のような夜が降り積もっていく。

 目に見えるわけではなく、音に聞こえるものでもない。ただ、じっと底に座していると柔らかな時間が辺りに覆いかぶさってくる。虫の声や、夜の獣や鳥の声も、たおやかに進む時間の横糸に一緒に織り込められて底に座す友になる。

 空の端に上った月は階を歩いて中天に落ち着いた。そこからゆっくりと今度は降りていく。上るよりも、夜を惜しむように月は降りていくのだ。

 紺色の空が少しずつ動いていく。空の裾に薄く緑色の光が滲む。

 綺麗だ、と呟く。だが、隣で頷く貴方は陽炎のように消えてしまった。

 こういう夜は瞼をおろす。月のように、降りていくために。

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