Day7 あたらよ
絹のような夜が降り積もっていく。
目に見えるわけではなく、音に聞こえるものでもない。ただ、じっと底に座していると柔らかな時間が辺りに覆いかぶさってくる。虫の声や、夜の獣や鳥の声も、たおやかに進む時間の横糸に一緒に織り込められて底に座す友になる。
空の端に上った月は階を歩いて中天に落ち着いた。そこからゆっくりと今度は降りていく。上るよりも、夜を惜しむように月は降りていくのだ。
紺色の空が少しずつ動いていく。空の裾に薄く緑色の光が滲む。
綺麗だ、と呟く。だが、隣で頷く貴方は陽炎のように消えてしまった。
こういう夜は瞼をおろす。月のように、降りていくために。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます