聖女?使命?そんなの興味ない!私は淫らに犯されたいのです!

大和ラカ

第1話 聖女の秘密

 グラーマ王国近郊。

 ここ最近、活性化してきている魔物が群れを成しており、その一部が近くの村を襲おうとしていた。

 そんな魔物たちに、王国から冒険者たちに討伐依頼がかけられる。


 王国からの依頼はお金が弾むため、みんな挙って受けようとするのだ。

 しかし……


「くっ、なんだこいつら。この辺の魔物じゃねぇ!」


「強すぎる……Aランクのやつはいないのか!」


「ここにいるのは良くてBランクのやつしかいねぇ」


「くそ……どうしたらいいんだよ……!」


 そう嘆きながら、冒険者たちは目の前の魔物オークの群れと対峙していた。

 

 冒険者にはランクが与えられる。

 一番低いランクがGランク。

 Bランクの冒険者も決して弱くない。

 むしろ強い冒険者に位置づけられる。

 冒険者が集うダズリンでは高くてもBランクの冒険者ばかり。


 しかし、そのBランクでも届かない敵の強さに、居合わせた冒険者たちは絶望していた。

 あまりに強い魔物相手に、死を覚悟するものすら出てきている。

 そして、一体の魔物が一人の冒険者に襲い掛かろうとするのが見えた。


 そんな屈強な男たちが死ぬなんて……私は許さない!

 死なせる訳にはいかないのだ。

 私は一気に駆け出し、腰に携える細い剣を抜く。

 その冒険者と魔物の間に入ると、聖属性の魔法をまとった斬撃を魔物へ放つ。


「皆さん下がってください! ここからは私が!」


 魔物の群れの中に飛び込み、剣を構える。

 その光景を目にした冒険者たちは、言われた通りに下がりつつ歓声を上げた。


「おぉ、聖女様!」


「聖女様が来てくれた! これでもう大丈夫だ!」


「フィオナ様!」


 正直、そんな歓声なんてどうでもいい。

 魔物の群れも眼中にない。

 私はに戦うまで。


 再び聖属性の魔力を剣にまとい、魔物たちに襲い掛かる。

 軽い身のこなしで魔物の攻撃をかわし、閃光のごとく斬撃をお見舞いする。


 斬りつけられた魔物の傷口には、金色に輝く魔力が覆われた。

 これは聖属性魔法の特徴である浄化だ。

 魔物が持つ悪しき魔力を浄化し、無力化させることのできるもので、聖属性魔法を使える人は限られている。


 しかし魔物の数が多い。

 Aランク相当の魔物がまだ2体、Bランクのが4体残っている。

 一気に片付けた方がいいかもしれない。


「リュミエール・ティウィーヌ!」


 左手をかざし、強烈な聖なる光を放つ。

 光を浴びた魔物たちに金色の炎がまとい、苦しそうにする。

 これを食らった魔物は、金色の炎によって浄化され、抵抗できなければ消滅するというのもだ。


 恐らくBランク程度の魔物であればこれだけで一掃できるが、Aランク相手になるとそうとは限らない。

 中でも、オークロードがこの中で一番強そうであり、この群れの支配者なんだろう。

 他にもハイオークの亜種であるソルダーオークもまた、踏みとどまっている様子。


「やはり、Aランクはしつこいですね。でも……!」


 再び駆け出し、オークロードへと突っ込んでいく。

 大きな鉈が振るわれるが、ひらりと身をかわして懐に潜り込む。

 そしてオークロードの腹部に剣を突き刺し、再び距離を取る。


 苦しみに咆哮をあげ、再び私に鉈を振りかざす。

 剣を使って受け流すと、オークロードの正面から聖魔法を放つ。


「ジュジュモン・ディヴィン!」


 裁きを下す聖なる雷をオークロードに浴びせる。

 私が使える聖魔法の中でも強力な魔法であり、これを食らえばまともに立てないはず。


 結果は想像通り、オークロードは耐えきることなく浄化され、その本体が消滅していく。

 それを見たソルダーオークは怯えた様子を浮かべるが、これを放っておく訳にはいかない。


「これで終わりです」


 再び聖の魔力を剣にまとい、ソルダーオークの首を胴体から切り離す。

 ソルダーオークの体はそのまま地に倒れ、消滅していく。

 残ったものは、魔物を倒した際に現れる魔石のみだ。


 辺りを見ても、もう残っている魔物たちの姿は無く、全滅させたことが分かる。


「さ、流石です聖女様!」


「聖女フィオナ様に感謝を!」


「危ないところをありがとうございました!」


 冒険者たちから感謝され、称賛を受ける。

 私を見る冒険者たちの目は、純粋な尊敬と慕いの目をしており、不純なものなど一つもない。


 そう、しかないのだ……


 ――――――――――――――――――――


「どうして誰も私をいやらしい目で見ないのぉぉぉ!!」


 私は自室で服を脱ぎ棄て、下着姿のままベッドに倒れながら叫ぶ。

 抱いている不満を爆発させるように、誰もいないこの場所で声を上げる。


「純真で、こんな格好をした聖女である私を! なんで誰も汚したいって思わないの!? ちゃんとチ〇コついてるの!? そのたくましい肉体で私を犯しなさいよ!!」


 私の不満は止まらない。

 そして、このことを知る者は他にいない。


 聖女である私、フィオナ・アシュモーデが本当は誰かに犯されたいと思っていることを。

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