意味が分かると怖い話

｢声紋｣

最近、最新のAIスマートホームにした。

｢電気をつけて｣

｢テレビつけて｣

いろんなことを声だけで頼むことが出来る。

なんとこいつは自身が｢マスター｣と認識した人間の声紋だけで動作させることができるのだ。セキュリティも万全さ。

もはや電話も、あらゆるスイッチも、鍵も、俺は声だけで動くようにして快適な毎日。

外からのドアも｢おい、開けろ｣で｢お帰りなさいませ｣と静かに開けてくれる。

なかなかいい買い物をした。

そんなある日、帰ってきたらドアが開いていて、家の中に男が待ち伏せていた。なんてこった！空き巣か？強盗か？

振り向いた男は包丁を持って、俺に｢鍵を閉めろ。｣と言った。

でも残念！この家はスマートホームなのさ。

｢おいAI！110番をしろ！｣

俺は叫んだ。

解説

声紋が鍵になっているこの家で、｢空き巣｣はありえないはずだ。

なんらかの乗っ取りで、この侵入者がこの家の｢マスター｣とAIに認識されていない限りは。

この後、カチャリと主人公の背後で鍵が閉まることだろう。