34 一騒動
⋯ゴゴゴッ⋯⋯ズズッ⋯ズズッ⋯⋯ズンッ。
「なんか出てきた!?」
魔物がいなくなったスペースの中央に、地面から台座がせり上がってきた。何故か台座には見たことがあるボタンが置いてあり、その傍らには状態を確認する時と同じような半透明の板が浮かんでいる。こちらの文字で表示されていて読む事ができない。
「サシャさん、この表示はなんて?」
「えーとですね⋯⋯『外に出る場合はボタンを押して下さい。先に進む場合はあちらです↑↑↑』って」
「帰れるって事だね!?」
「多分そうだと思います」
ちなみに、あちらといわれた矢印の方向には、先に進めそうな通路がいつの間にか出来ていた。
「帰れるなら帰りたいと思うんだけど?」
「進みたいけど、ビショビショなので賛成です」
「そうだな。いいと思うぞ」
「盾が壊れたから進めません⋯」
「じゃあ、サシャさん押しちゃって」
「えぇ?!私が?!」
「そんなん誰が押しても変わんないでしょ」
「そうですかね⋯⋯じゃあ、押しますよー。えいっ」
ぽちっとな。
ピンポン。
これまた聞いたことがある音が鳴ったと思ったら、洞窟入り口付近に移動していた。
「⋯魔物の洞窟ってわけわかんない」
最初に入った時とは景色は違ったし、安全地帯は自分の家だったし、合体した魔物は強かったし、見たことあるボタンが出てくるし。⋯それがダンジョンです。と言われれば、はいそうですか。文句言ってすみません。⋯⋯となる。
「おっと、危ない危ない!」
そう言いながら、サシャさんが右肩をガシッと掴む。左肩はミラさんが掴んでいる。
「お風呂!」
「盾!」
「どゆこと?⋯⋯あー、ダヌさん。とりあえず手を」
「ん?あぁ⋯」
一緒に連れて行くけど、何かトラウマが発動しませんように。
「時間はまだなのかな?じゃあ『状態』」
いつもの半透明の板が出てきて、表示された内容を確認しようとした瞬間、部屋に戻って来た。
「お風呂!」
「⋯⋯私もっ!」
「え、今なの?!あまり時間ないでしょうよ!?」
聖女二人は聞く耳を持たず、風呂場へ駆け込んでいった。
「⋯急に戻っても知らないぞ」
「ユウジ、状態の確認しないのか?」
「え?あぁ、そうですね」
状態が表示されたままになっていたので覗き込む。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユウジ・サトウ
職業 無職
位階 九
体力 中
魔力 小
能力 世界移動 十分間+十分間
洞窟内は時間停止
学習
学習による効果 回復
解毒
防御力上昇
突進
炎
水
土
地図
経験増
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お、位階が九になってる」
「まぁ、あんだけ魔物倒したんだし上がるだろうな」
「ですよね。最後は結構危なかったし」
「そうだな。炎が効かないなんて初めてだった」
「炎で倒しまくったから、耐性つけられちゃったとか?」
「よくわからんが、そういう事なんだろう。⋯ん?」
「⋯⋯⋯目に泡が⋯⋯⋯」
「⋯⋯ほら!流し⋯⋯⋯」
風呂場から声が聞こえてくると、何故か黙ってしまった。シャワーの音も聞こえてくる。別に聞き耳をたてているつもりはないのだが。
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯だ、だとしたら、今後もそういう事があるかもって思ってたほうがいいですね」
「そ、そうだな。俺は炎しか使えんからな。⋯⋯いや、普通は一種類だけなんだがなぁ」
「あー、あはは。俺、普通じゃないようで。⋯ん?」
シャワーの音が聞こえてくるが、二人の声がしなくなった。静かにしているだけかと思ったが、時間がきて戻ったのかもしれない。だとしたら、大変な状態で戻っちゃったんじゃないだろうか。
⋯⋯あーあ、知らないぞ。⋯⋯その様を見てみたい気もするけど⋯⋯って、あれ?
「あれ?ダヌさんは位階が十とか超えてます?」
「ん?あぁ、最近十になったけどまたあがってるかもな」
「なるほど。じゃあ、あっちに戻ったら⋯」
「戻ったら??」
「どんな目にあうことやら」
「??なんだそりゃ??」
「まぁ、戻ればわかりますよ。あ、ちょっと待ってて下さい」
急いで脱衣所に散乱しているものを無心で拾い、袋にまとめる。ダヌさんに渡してもらおう。
「この袋をあの二人に渡してください」
「何が入っているんだ?」
中身を確認しようとするダヌさんを制する。
「いけない!あの二人に渡すまで!決して中身を見てはいけません!何をされるかわかりませんよ!!」
「お、おぉ⋯なんなんだ⋯」
困惑したままダヌさんは消えていった。
「おぉ、タイミングいいなぁ」
⋯ダヌさん、頑張ってくれ。無事を祈る。
心からそう思ったけど、
「さて、俺も風呂入ろかな」
切替が大事。
ーーーーー
「やっぱりお風呂は気持ちいいですよねぇ⋯⋯え」
「そうだね。ってサシャ?!シャワー止めた?!まだ頭の泡流してないんだけど!?」
「あ⋯⋯⋯⋯」
「ちょっと?!サシャ?!」
数秒前まで湯船に浸かって温まっていたのに、目の前には魔物の洞窟がある。ミラは目をつぶったままで気づいていないようだ。
「どうしよ」
「なに?どうしたの?!壊した?!」
「戻ってきちゃった」
「戻ってきちゃった?」
「うん」
「⋯⋯⋯戻って⋯⋯。え、もしかしてここお風呂じゃない?」
「うん」
「⋯⋯⋯⋯⋯どうしよ」
「こんな格好はマズイですよ!?」
「マズすぎるっ!!」
不幸中の幸いか、周りに人はいない。魔物もいない。何故かダヌさんもいない。置いてあった自分たちの荷物が目に入り、慌てて肌を隠せるものを探す。
「と、とりあえず布かなんか⋯」
「サシャ!水あったらかけてほしい!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいね」
「早く!目が痛くなってきた!」
「布布布布⋯。水水水水⋯」
と、そこに袋をもったダヌさんが現れた。
「え?」
「え?」
ダヌさん?!どうしよう?!どうしよう?!⋯⋯⋯んーー!ゴメンなさいっ!!あとで治すからっ!!
「えいやっ!!!」
「え?」
見られないように(もう見られているかもしれないが)下から思いっきり、ダヌさんの顎のあたりを目がけて思いっきり頭突きをした。
「⋯ぐふっ!!」
うまいこと、いいとこに当たったのか、ダヌさんを倒す事ができた。と、同時に彼の持っていた袋の中身がこぼれた。
「あーーー!!?それは!!」
「なになに?!どしたの?!水はまだ?!」
「もう少し待ってて!!」
こぼれた袋の中身はさっきまで着ていた服だった。当たり前だけど布を探すよりこっちを着た方が早い。急いで回収して着替えた。少し湿っているのが残念だけど。
「ふぅ、危なかったなぁ。一安心一安心」
「痛っ!サシャ!はーやーくー!!」
「ダヌさんは⋯」
ダヌさんは鼻血をだして倒れたままだ。鼻血の原因は顎への一撃なのか、なんなのか⋯。
よし、まずはミラに水をかけてあげないとね。ミラが着替えたら、ダヌさんを回復してあげようかな。
「さてさて、水はどこかなぁ」
「はーやーくー!!痛いっ!!」
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