29 あれ?前と違う??
ぽちっとな。
ピンポン。
「お、きましたね!行きますよ!」
都合が良いのか悪いのか、サシャさん達の目の前に出てしまった。もちろん、行くと決めて準備もしたんだから、早く合流できるのは良いことなんだけど、やっぱり行きたくない気持ちもあるわけで⋯。
「行く⋯んだよね?やっぱり」
「行くに決まってるじゃないですか!準備万端ですよ!ほら!」
普段は持っていない荷物を持っている所を見ると、何かしらの準備はしたようだ。となると、行かないって選択肢は残念ながらないだろう。
「そうだよね⋯」
「ユウジ、行くぞ!」
今回は他の人が増えているかと思いきや、いつものメンバーだった。俺、ダヌさん、サシャさん、ミラさん。となると、魔法での攻撃がメインとなるだろう。パーティーとしてのバランスは悪いと思う。魔法が使えないとか、魔法が効かないなんて状況にならなければいいんだけど。⋯まぁ、その時は鉄パイプを見舞ってやるしかない。
もう、ここまで来た以上は腹を括るしかない。⋯というよりは、諦めているというか、無駄な抵抗はしないというか、なんというか⋯⋯。とりあえず、行きます。はい。はぁ⋯⋯。
「じゃあ、入りますよ!」
って、どうしてサシャさんが先頭を行くんだよ!?魔物が襲ってきたらどうすんのさ?!好奇心の塊め!
慌てて、ダヌさんと一緒にサシャさんの前に出る。何故かサシャさんがまた前を行こうとする。
「ちょっと?!魔物でたら困るから後ろにいてよ!」
「えぇ?!いいじゃないですか!?」
「いやいやいや、襲われたら困るって!」
「ユウジの言う通りだぞ。後ろにいてくれ」
「えぇー」
「「えぇーじゃない」」
前回と同じように洞窟らしいゴツゴツとした岩肌のところを抜け、集落の廃虚に出るかと思いきや、出なかった。
⋯洞窟を抜けると、そこは雪国だった。
目の前の景色を見て、どっかで聞いた事があるような、微妙に違うような文章が頭に浮かんだ。
「前の廃虚じゃないっ?!」
「おいおい!?どうなってるんだ?!」
「雪ですよー!!」
見渡す限り、何もない雪の平原だ。建物どころか、木すらもない。遠くの方に黒いモヤが見えるのは魔物だろう。
「⋯⋯あれ??」
一面の雪景色から、それなりの寒さを覚悟したが、全く寒くなかった。試しに雪を触ってみると冷たくない。体温で溶けるような事もない。雪とは似て非なるものということだろうか。
「なんだろね、ここ⋯」
少し困惑していると、遠くにいた魔物が近づいてくるのが見えた。お互いに丸見えの状況なのは逆に助かった。とりあえず、退治しておこう。
「ダヌさん、お願いしていいですか?」
「あいよ!」
届く距離まで来たところをダヌさんが魔法を放つ。
『炎』
倒せなかった時を考えて備えるも、問題なく倒せたようだ。魔物が燃えていく。火が消えてから近づいて確認してみると、周りの雪っぽいものは溶けていなかった。
「やっぱり雪じゃないのかな」
「っぽい何かって事ですね」
「何だかわかんないけど、寒くないならいいか」
防寒対策なんて考えてもいなかったから助かった。ただ、歩いてみると雪と同様に足をとられてしまい、進むのに結構体力を使いそうだ。
「あ、ユウジさん。地図は?」
「あっ」
言われて思い出してスマホをいじる。圏外表示になっているから普通なら使えない。が、マップアプリを起動してみると、少し時間はかかったけど地図が表示された。後ろの洞窟っぽい通路、目の前の景色と地図を見比べてみると、表示に間違いはないようだ。
進行方向の方へ地図を動かしてみると、何もない空間が広がっている。それがどれくらいなのか、パッと見はわからない。
「⋯マジか」
「どうしました?」
「いや、しばらくこんな感じの何もないとこが続いてるっぽい」
「えー、何もないんですかー」
がっかりしているサシャさんを横目に、更に地図を進めてみると、徐々に狭くなっていく地形を見つけた。普段使うのと同じように、そのあたりを長押しして目的地に設定してみると目的地まで約ニ時間と表示されている。
「地図を確認してみると、このあたりは何もないところが続くみたい。地形が変わるところをみつけたんだけど、そこまで二時間位かかるみたい」
「二時間ですか⋯」
「でも、行くんでしょ?」
「やらいでか!」
「や、やらいでか?なにそれ⋯」
あれ?ミラさんがポカンとしている。こっちにもある言葉じゃないの?
「じゃあ、行くしかないね。ダヌさんも大丈夫ですか?」
「あぁ、いいぞ!」
「あ、ミラさん、これどうぞ」
「はい?」
買っておいた防護盾を渡す。透明な盾なんて、こっちにはないだろう。
「盾がわりになるかなって。何があるかわからないし」
「ありがとうございます!」
「え?!ユウジさん、私には?!」
「え?」
「えぇ?!」
「じゃあ、行きますか」
「ちょっとぉーー!?」
さてさて、何が出るやら⋯。
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