7 能力?

 サシャさんが日本に居られる時間は十分だった。何故時間が違うのか。二人の間で何が違うのか。サシャさんは何か考えているようだった。


「ユウジさんは魔法使えますか?」

「使えないよ。前にも言った通り、日本には存在しないし」

「⋯聞いたらダメかもしれないけど、位階は?」

「位階?何それ」

「位階を知らない?」

「魔法に関わる事なら全く知らないよ」

「いや、魔法っていうより⋯、見せた方が早いかな」

「何を?」

『状態』


 サシャさんが言葉を発した後、半透明の板が浮かんでいるように見える。そこには、文字なのか何か書いてある。


「何、これ?」

「自分の情報が見れる魔法です。この魔法だけは職業に関係なく誰でも使えるんです。ここが自分の名前です」


 と言われて、指をさされたところを見ても読めない。


「⋯言葉は通じてるけど、文字はダメなんだね」

「読めませんか?⋯あー、そういえば、私も本を読めなかったんだ」

「ん?それを使えば、俺もなんかわかるってこと?」

「そうです!なので、使ってみましょう!」

「えぇ?」

「誰でも使えるはずなんで!ほら、こっちにいる間に!」

「どうすんの?」

「最初は知りたいって思いながら『状態』って言ってみて下さい」

「えぇ?じゃあ⋯『状態』」


 言い終わると同時に半透明の板が浮かんでいた。見た感じ、サシャさんと同じに見える。違うのは文字くらい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ユウジ・サトウ


職業  無職

位階  一

体力  満

魔力  満

能力  世界移動 五分間

    学習

     学習による効果 回復

    経験増


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「つ、使えた⋯⋯」

「ユウジさんがやるとニホン語なのかな?」

「あ、そうだね⋯。えーと、職業、位階、体力、魔力、能力って表示されてる」

「表示される項目は一緒ですね。位階はどうなってます?」

「えーと、一かな」

「一ですか。⋯体力、魔力はその時によるし、能力は人それぞれ⋯。私に移動する能力はないけど、私の方が長くいられるのは⋯」


 何やらブツブツ考え込んでいる。


「そろそろ五分経つから、肩触るよ?」


 肩を触って数秒後、自分の部屋に戻ってきた。なんかまだブツブツ言っている。


「⋯あ、こっちでも使えるのかな。『状態』」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    サシャ


職業  聖女

位階  五

体力  満

魔力  満

能力  聖魔法

    世界移動(仮) 十分間

     ユウジ・サトウによる効果


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「!?能力が⋯」

「どうしたの?」

「私は元々、聖魔法の能力だけなんです。でも、世界移動って能力が追加されてて⋯」

「世界移動⋯。あ、俺もあったような」

「そうだと思います。ユウジさんによる効果って表示されてます」

「俺?」

「はい。多分一緒に来る事で一時的に追加されているのかも。仮ってなってるし」

「なんで俺にそんな能力が⋯⋯」


 こっちにいるのに、サシャさんが珍しく真面目な顔をしている。


「⋯⋯神、ですかね」

「神って神様って事?そんなのいるの?」

「もちろんいらっしゃいますよ!その神からの神託でユウジさんを治したんだし」

「⋯へー。いるんだ⋯」


 特に信じている宗教がなく、神様なんて言われると少し胡散臭く感じてしまう。でも、想像してる神とはだいぶ違うようだ。命が助かったのは神のおかげでもあると。まぁ信憑性は高いのかも。


「でも、どうしてユウジさんにそんな能力を授けたんでしょうね」

「教えてくれないのかな?」

「神託はあっても、直接会話はできないと⋯」

「そっか」


 まぁ、いいか。確認のしようがないって事なら仕方ない。⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん?⋯⋯⋯いや、よくないぞ。なんか他にも能力書いてなかったか?


『状態』


 さっきと全く同じものが浮かんでいる。


「あ、俺もこっちで使えた」


 どれどれ⋯⋯学習?学習による効果、回復って何だ?経験増?


「ねぇ、能力って複数あるの?」

「だいたいの人が一つらしいですよ」

「⋯あ、聖魔法だっけ?それって誰でも使えるの?」

「人による、としか。素質があれば、使えて私みたいに聖女とかできますけど」

「そっか。そうだよね。回復って聖魔法なの?」

「はい。そうですけど⋯?」

「俺の能力のとこに書いてあんだけど⋯」

「⋯⋯⋯?!え?!」


 おかしな顔したまま、消えてしまった。


 ⋯タイミングって大事だな。コントかよ。

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