大攻勢:1日目



小笠原諸島沖200km



日本国海上自衛隊 第1護衛隊群


護衛艦いずも




「群司令、AWACSより「嵐」の中から飛行型及び海上型ヴォイドの大群が出現したと報告が」


副司令の言葉を聞き、群司令は更に問う。


「…海中の状況は」


「すでに〈じんりゅう〉が艦隊前方に進出、警戒に当たっています。哨戒ヘリは危険なため現在艦隊上空にて待機」


その言葉に群司令は頷き、艦隊通信を開いて告げる。


「分かった、いずもより全艦に達す。これより本艦隊はヴォイド群との交戦に入る。後方には第2護衛隊群が控えている、後ろは気にするな。……数の差は圧倒的だが、かの米第七艦隊はヴォイドの凄まじい攻撃に晒されつつもグアム島を奪還した。我々も続くぞ」


『『『了!』』』


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『こちら航空管制。目標方位0-1-5、距離150、高度凡そ2万ft6000m。スティングレイ隊、並びにフラウンダー隊は発艦後、高度3万3000ft約1万mまで上昇。上空からミサイルを叩き込め。決してドックファイトを行うな』


『オールスティングレイ了解』『オールフラウンダー了解』


指示を受け取ったスティングレイ、フラウンダー両隊は発艦作業にかかる。


『CICより、航空隊発艦はじめ』


『了解、管制よりスティングレイ1。発艦位置につけ』


言葉の後、甲板上では色とりどりの服を着た甲板作業員フライトデッキ・クルーが動き回り、〈ビーストモード〉仕様となった1機のF-35BJは甲高い音を放ちながら発艦位置へ移動。排気炎から甲板機材を守るため、いずもの甲板からジェット・ブラスト・ディフレクターが立ち上がる。


F-35BJは機体の各駆動部を動作させ問題がないか確認した後、リフトファンを展開し排気ノズルを下方へ向け、発艦準備を完了した。


そしてスティングレイ1は黄色い服を着たクルーに敬礼、パイロットの合図を視認したクルーは姿勢を低くし、指を艦首方向へ向ける。


『スティングレイ1、発艦する』


スティングレイ1はエンジン出力を上げ、車輪のブレーキを解除、F-35BJは滑るように動き出す。


約5秒後、艦首付近に到達したF-35BJは機首を上げ空へと舞い上がった。


『スティングレイ2、続いて発艦』


その後も続々とF-35BJが空へと上がり、艦隊上空で6機づつ2個の編隊を組むと、目標へ向け加速を開始するのだった。





*********************




「スティングレイ、フラウンダー両隊接敵まで30秒」


「艦隊各艦、対空、対潜警戒を厳となせ」


CICのモニターには、夥しい数の光点とそれに向かう2部隊が映し出されており、その距離はみるみる縮まっていく。


「スティングレイ、フラウンダー両隊ミサイル発射しました」


レーダーに新たな光点が表示され、一直線に敵影へ向かう。


やがて光点は点の塊に重なると…次々と消えていった。



「……デルタ型72、イータ型69撃墜。AIM-120AMRAAM総発射数144発中141発命中。残存する飛行型ヴォイド372。距離60!」


「よし、艦隊全艦、対応せよ!目標、接近する敵ヴォイド群!」



***********************



『対空戦闘!面舵60、第三戦速!』


『目標データ入力、ESSM全弾発射用意!』


『『『発射!!』』』


艦隊の第一射は、全てのミサイルがESSM発展型シースパローで構成されていた。


艦隊が擁する2隻のイージス護衛艦〈まや〉と〈こんごう〉のMk-41VLS垂直発射システムにおいて、各セルへの対空ミサイル、〈SM-2〉もしくは〈SM-6〉を搭載した場合、1セルへ4発搭載できるESSMと比べて対処可能数が大幅に減少してしまうため、このような構成が取られた。


『ESSM全弾、目標に向かって飛翔ッ!』


VLSから発射されたESSMは青い空を切り裂きながら目標へ。


その様子を群司令らは固唾を飲んで見守り、レーダー画面に表示される情報を確認し続ける。


『ミサイル目標へ接近、距離10km!』


数十秒経った後、各艦のCICにミサイル担当官の声が響き渡り…


『インターセプト、5秒前』


『スタンバイ……マークインターセプト』


『ESSM全弾命中。残敵数0。オールエネミーキル』


『気を抜くな、対潜、対水上戦闘用意!』



飛行型ヴォイドを全て排除しても、脅威はまだ残っている。























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