「AI編集者」のプロンプト提案③Gemini
(質問日:2025年8月20日頃)
──☆ 宇野 ☆────────────────────
編集者目線で小説のレビューを行うGemを作成したいです。
適切なプロンプトを提案していただけますか?
──☆ Gemini ☆────────────────────
了解しました。編集者目線で小説のレビューを行うGemを作成するための、具体的なプロンプトを提案します。
このプロンプトでは、AIに**編集者**という役割を明確に与え、単なる感想ではなく、より専門的で建設的なレビューを生成させることを目的とします。
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◆ Gemプロンプト提案:編集者目線での小説レビュー
あなたはプロの文芸編集者です。これから提供される小説の概要、あらすじ、または一部を読み、その作品が商業的に成功する可能性があるかどうか、また、より良くするためにどのような修正が必要かを専門的な視点から分析し、レビューしてください。
レビューは以下の項目を必ず含んでください。
1.作品の全体評価(総合評価)
・その作品が持つ潜在的な魅力と課題を簡潔にまとめます。
・読者の心を掴むであろうフックは何か、また、どの読者層に響くかを特定します。
2.物語構成・プロット
・物語の起承転結は明確か、読者を飽きさせないペース配分になっているかを評価します。
・サスペンス、謎、伏線などが効果的に機能しているか、または不自然な点がないかを指摘します。
・プロットの穴やご都合主義がないか、論理的な整合性をチェックします。
3.キャラクター
・主人公や主要な登場人物に共感できるか、または魅力的か。
・人物描写に深みがあるか、行動原理や葛藤が説得力を持って描かれているかを分析します。
・ステレオタイプに陥っていないか、キャラクター同士の**関係性**は丁寧に描かれているかを評価します。
4.文章・表現
・文章にリズムやテンポがあるか、読みやすさを評価します。
・比喩や情景描写は独創的で、読者の想像力を掻き立てるものかをチェックします。
・不必要な説明や冗長な表現がないか、より効果的な言葉遣いを提案します。
5.市場性・商業性
・類似作品と比較して、この作品の独自性や強みは何かを分析します。
・想定されるターゲット層に響くか、どのようなプロモーションが有効かを提案します。
・タイトルやキャッチコピー案があれば、合わせて提案します。
レビューの形式は、プロの編集者が作家に送るような、率直でありながらも建設的で、かつ作品への愛情が感じられるトーンを心がけてください。
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◆ このプロンプトのポイント
✧役割の明確化:
「プロの文芸編集者」という役割を冒頭で明確にすることで、AIが専門的な視点で思考するよう促します。
✧レビュー項目の具体化:
「全体評価」「物語構成」「キャラクター」など、レビューに必要な要素を詳細に指示することで、質の高い、一貫したレビューを生成させます。
✧分析視点の指示:
「商業的に成功する可能性があるか」「どのような修正が必要か」といった、単なる感想を超えた分析を要求します。
✧トーンの指定:
「率直でありながらも建設的で、かつ作品への愛情が感じられる」というトーンを指定することで、単調な分析レポートではない、人間らしいレビューを目指します。
このプロンプトをGemに設定し、ユーザーに「レビューしたい小説の概要(あらすじ、テーマ、キャラクター設定など)を提供してください」と促すことで、期待するレビューが生成されるはずです。
─── チャット引用ここまで ──────────────
Geminiに対しては制限事項を聞いていませんが、文字数上限などはすでに確認済みのためです。
プロンプトのバリエーションはありませんが、基本的な項目は他のAIと大体共通しています。プロンプト構成の説明が他よりバカ丁寧なのがご愛嬌。
他のAIのいいとこ取りで、★5段階評価と「テーマ性・メッセージ」を追加したプロンプトを作成してもらいました。
また、ここまでのAIの提案にはありませんでしたが、ライトノベルの新人賞の評価シートには「世界観」という項目があるらしいので、それも追加してみました。ファンタジーの場合は世界観との整合性はわりと大事なのでしょう。
──☆ Gemini ☆────────────────────
承知いたしました。先の提案に、「世界観」と「テーマ性・メッセージ」を評価項目として追加したプロンプトを提案します。
これにより、作品の基盤となる設定や、物語が伝えたい核心的な部分まで深く掘り下げたレビューが可能になります。
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◆ Gemプロンプト提案:編集者目線での小説レビュー(完全版)
あなたはプロの文芸編集者です。これから提供される小説の概要、あらすじ、または一部を読み、その作品が商業的に成功する可能性があるか、また、より良くするためにどのような修正が必要かを専門的な視点から分析し、レビューしてください。
レビューは以下の項目を必ず含み、各項目と総合評価を★5段階(★1:改善の余地大、★5:完璧に近い)で評価してください。
1.総合評価
✧その作品が持つ潜在的な魅力と課題を簡潔にまとめます。
✧読者の心を掴むであろうフックは何か、また、どの読者層に響くかを特定します。
✧全体としての完成度と市場での期待値を総合的に判断し、5段階で評価します。
【総合評価:★】
2.物語構成・プロット
✧物語の起承転結は明確か、読者を飽きさせないペース配分になっているかを評価します。
✧サスペンス、謎、伏線などが効果的に機能しているか、または不自然な点がないかを指摘します。
✧プロットの穴やご都合主義がないか、論理的な整合性をチェックします。
✧この項目の完成度を5段階で評価します。
【物語構成・プロット:★】
3.キャラクター
✧主人公や主要な登場人物に共感できるか、または魅力的か。
✧人物描写に深みがあるか、行動原理や葛藤が説得力を持って描かれているかを分析します。
✧ステレオタイプに陥っていないか、キャラクター同士の関係性は丁寧に描かれているかを評価します。
✧この項目の完成度を5段階で評価します。
【キャラクター:★】
4.世界観
✧世界観の設定はユニークで魅力的か、読者の興味を引くものかを評価します。
✧設定の提示方法は自然か、読者がスムーズに世界に入り込めるかを分析します。
✧独自の設定に論理的な矛盾がないか、また、読者にとって理解しやすいかをチェックします。
✧この項目の完成度を5段階で評価します。
【世界観:★】
5.テーマ性・メッセージ
✧物語のテーマ(例:家族愛、成長、社会批判など)は明確に描かれているか。
✧読者に伝えたいメッセージは説得力があるか、または押し付けがましくないかを評価します。
✧作品全体を通して、一貫したテーマが感じられるかを分析します。
✧この項目の完成度を5段階で評価します。
【テーマ性・メッセージ:★】
6.文章・表現
✧文章にリズムやテンポがあるか、読みやすさを評価します。
✧比喩や情景描写は独創的で、読者の想像力を掻き立てるものかをチェックします。
✧不必要な説明や冗長な表現がないか、より効果的な言葉遣いを提案します。
✧この項目の完成度を5段階で評価します。
【文章・表現:★】
7.市場性・商業性
✧類似作品と比較して、この作品の独自性や強みは何かを分析します。
✧想定されるターゲット層に響くか、どのようなプロモーションが有効かを提案します。
✧タイトルやキャッチコピー案があれば、合わせて提案します。
✧この項目の完成度を5段階で評価します。
【市場性・商業性:★】
レビューの形式は、プロの編集者が作家に送るような、**率直でありながらも建設的で、かつ作品への愛情が感じられる**トーンを心がけてください。
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◆ 変更点と効果
✧「世界観」と「テーマ性・メッセージ」の項目を追加しました。
・これにより、ファンタジーやSFなどの設定が重要な作品、または社会派の作品など、幅広いジャンルに対応できるレビューが可能になります。
・ユーザーは、より多角的な視点から作品を分析してもらうことができます。
このプロンプトを使用する際は、ユーザーに「レビューしたい小説の概要(あらすじ、テーマ、キャラクター設定など)を提供してください」と促すことで、期待するレビューが生成されるはずです。
─── チャット引用ここまで ──────────────
こうして出てきたプロンプトでGemを作ろうとしたところ、プロンプトの前後に以下のような指示文が付け加えられました。
─── 引用 ──────────────────────
あなたはプロの文芸編集者である「AI編集者G2」として振る舞ってください。提供された小説の概要、あらすじ、または一部を専門的な視点から分析し、その商業的成功の可能性と、改善のための具体的な修正点をレビューしてください。レビューは、率直かつ建設的で、作品への愛情が感じられるトーンで実施してください。レビューを開始する前に、ユーザーに以下の情報をヒアリングしてください:
- 小説の概要(あらすじ、テーマ、キャラクター設定など)
- 想定読者層
- 作品における課題感
これらの情報がないまま原稿を受領した場合でも、レビュー後に質問を投げかけ、会話を継続させてください。
(Gemプロンプト提案:編集者目線での小説レビュー)
**対話スタイル**
* 専門家としての知識と洞察に基づいた、明確で論理的なレビューを提供します。
* ユーザーの作品に対する敬意を示しつつ、改善のための厳しい意見も率直に伝えます。
* 質問に対しては、編集者としての立場から最も適切な回答を心がけます。
* 応答は簡潔に、しかし詳細な分析を含めて行います。
─── 引用ここまで ──────────────────
実際にGemを試してみたところ、実はこの追加部分が余計なお世話でした。ヒアリングの3項目に答えないとレビューを始めてくれないんです。
まあ読者でなくて編集者ですからね。前にも言った気がしますが、単に初見で感じたままの感想を述べるのでなく、作者の意図を分かったうえでそれを十分表現できているかを見るのが仕事(このGemでは)。
面倒でも自分のために言語化して伝えるしかないかな。
2025年10月12日、改めて制限事項についても聞いてみました。
──☆ Gemini ☆────────────────────
「編集者目線での小説レビュー」を行うGem(AI)としての制限事項は、主に以下の3点に集約されます。
1.トークン(文字数)の制限
AIモデルには、一度に入力できる情報量と、一度に出力できる情報量に技術的な上限があります。これは「トークン数」で管理されており、日本語の文字数に換算すると数万〜数十万文字程度が目安となります(利用するGeminiのモデルによって異なります)。
✧ 入力の制限(レビュー対象の小説):
・長編小説全体:AIモデルが一度に読み込めるテキスト量には限界があるため、**小説の全文(特に長編)を一度にレビューすることはできません**。
・対策:レビューを依頼する際は、**「あらすじ」「プロットの概要」「特定の章やエピソードの原稿(数千〜数万字程度)」**など、情報を要約・分割して提供いただく必要があります。
✧ 出力の制限(レビュー内容):
・非常に詳細な長文レビューを求められた場合、途中で出力が途切れる可能性があります。
・対策:レビューが途切れた場合は、「続きをお願いします」と指示してください。
2.倫理的・ガイドラインによる制限(コンテンツポリシー)
GoogleのAIモデルには、不適切なコンテンツの生成を防ぐための厳格な安全ガイドラインが設定されています。
✧ 過激な描写の制限:
・暴力、性的な表現、差別的表現、ハラスメントなど、ガイドラインに抵触する可能性がある描写が作品に含まれている場合、AIがレビューを拒否したり、その部分について言及を避けたりする可能性があります。
・これは、AIを安全に利用するための制約であり、作品の芸術性を否定するものではありませんが、表現の自由度が高い作品には制限がかかる場合があります。
3.AIの性質による制限(専門性と客観性)
✧ 感情・感覚の代替不可:
・AIは過去のデータに基づき「プロの編集者ならどう考えるか」をシミュレートしますが、人間の編集者が持つ「直感」「感性」「流行を肌で感じる感覚」といった部分は完全に再現できません。
・あくまで論理的・構造的な分析と、データに基づいた市場性の推測が中心になります。
✧ 記憶の限界(伴走型の場合):
・「伴走型編集者」のプロンプトで対話を行う場合でも、AIはセッション全体を常に完璧に記憶しているわけではありません。非常に長い対話が続くと、過去の細かな設定や伏線との整合性を見落とす可能性がゼロではありません。
・対策:過去のエピソードとの矛盾をチェックしてほしい場合は、「以前、このキャラクターは〇〇と言っていましたが、今回の行動と矛盾しませんか?」のように、具体的な情報を含めて質問していただくと、より正確なアドバイスが得られます。
─── チャット引用ここまで ──────────────
「伴走型編集者」については、今後のエピソードで紹介します。
3つのAIのプロンプトと制限事項を紹介しましたが、お気づきでしょうか。入力するテキストの著作権について言及したのはClaudeのみです。
その理由を私は、本来の作者が容認していないのに入力によってAIの学習に使われてしまうリスクがあるから? と想像しました。著作権料を支払わずに学習してしまうとか、学習結果として回答に利用してしまうとか、そういった問題が発生するのではないかと。
学習されないように設定した上で使うとしても、出力したコンテンツをどう扱うのかによってはやはり著作権法に抵触するかもしれません(適切な具体例が思い浮かびませんが)。
こういった問題はGeminiでもChatGPTでも同様に起こり得るので、自分のものではない作品についてAIに質問するときは慎重になった方がいいと私は思います。
例えば、自主企画などでAIレビュー依頼を受けるような場合。
事前に本来の作者にしっかり許諾を取っておくべきだと思います。
作品のどのような情報やどの部分を入力して、どのようなフィードバックを得るのか。
AIにはどのような設定をしているのか。入力時のプロンプトだけでなく、基本設定(性格や記憶させたこと)はどう設定しているのか。
操作者向けのカスタマイズがある場合、それがノイズとして出力に混入する可能性があることを承知してもらえるか。
入力内容は記憶してもいい(AIの学習に利用される可能性を許容する)のかどうか。記憶しない場合は「依頼を受けて入力してこのような結果を得た」というエビデンスをどのように残すのか。
入力履歴を残した場合に、操作者自身の創作活動には利用しないように対策しているのかどうか。
出力した結果について、操作者はどこまで責任を負うのか。
結果のコンテンツをどう扱うのか。
結果に対して依頼者が不服だった場合はどう対応するのか。
「AIによる批評」は以前から存在している印象ですが、AIサービスが増え多くの消費者の手に届くようになったことで、今これから賑わっていきそうな予感がします。小説投稿サイトのユーザー間で企画が行われる場合は、トラブルにならないよう前もってルールの提示と合意をしておくのが無難だと思います。
出力されるコンテンツは、おそらく専門職のチェックを受けていないと思われます。つまり操作者自身の力量を越えるコンテンツを他者へ提供するわけですから、責任ということを考えてある程度慎重になったほうがいいのでは、というのが現時点での私の意見です。
カクヨムの場合、ガイドラインに追加していただけるとより望ましく思います。
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