第11話 裸エプロン?

 買い物袋を両手に提げながら、俺たちはタワーマンションのエントランスを抜け、エレベーターに乗った。

 目指すは最上階の20階。到着してから見える風景は、かなり遠くまで見渡せる。この近隣では一番大きなマンションだ。


「はい、認証完了」

 如月きさらぎがスマートキーをタッチすると、ドアが開く。


 広々としたリビングが俺たちを出迎えた。床は白い大理石調で、マンションなのに天井が高い。この部屋に漂う空気に高級感がある感じがした。


「ただいまぁ~♡」と白雪が真っ先にリビングに入っていく。

「いや、お前は三番目の住人だろ。先輩をうやまえ」

 と如月が眉間にしわを寄せて言う。


「……えへ♡ここに住むのは三番目だけど、平太さんと結婚したらその順番って変わりますかぁ?」


「クソビッチめ、言ってろ」

 如月は口元をへの字にして、俺をじっとにらんできた。

「矢口……お前が白雪を甘やかすからこうなるんだよ」


「え?……俺? 白雪がクソビッチなの俺のせいにすんなよ」


「ちょっとぉ~♡平太さん、なんで私のことエロビッチとか言うの~?」


「いや、エロビッチとか言ってねえよ。クソビッチだって!」

 と、俺はこれまでの人生でしたことのない弁解をする……。

「あ~ん♡そんなこと言わないでよ。へ・い・た♡」

「オイ、白雪ィ。矢口のこと、呼び捨てで呼んでんじゃねえよ……って、矢口、お前まんざらでもない顔してるな……!!」

 如月が俺の顔を見るなり、口元はひきつり気味になった。


「矢口お前……どんだけ嬉しそうな顔してんだよ……」

「そ、そりゃ、そうなるだろ!女子とこうして一緒にいることだけでも、俺にとってはとんでもないことなんだよ。それで、下の名前で、あたかも彼氏のように親しみを込めて言ってくれるなんて……」

 すると白石が真正面から急に抱き着いてきた。

「あぁ~ん平太ぁ~♡好きィ」

「クソビッチとスケベ童貞が」と如月は顔をゆがめた。

 如月の目にはうっすらと『ドン引き』の文字が浮かんでいた。


「……はいはい、バカップルは勝手にイチャついてろっつーの」

 如月が吐き捨てるように言って、キッチンへ向かった。


「あれぇ~アカネさん、もしかして焼きもち焼いてますぅ?♡」

「は?ふざけんなアホ」

「さすが炎のギフト持ってるだけあって焼きもち焼きですねぇ」

「付き合ってられるか」


 如月はフライパンを片手に、手から真っ赤な火を出す。

 ジュウゥウゥゥ~!

 その炎の上でフライパンを振る姿が様になっていてかっこいい。

「如月の出す火で作ったメシはうまいからな」

 俺は如月が作ってくれた弁当や焼きそばのことを思い出す。

 確かに、うまかったのだ。


 俺が如月に見とれているのが、嫌だったのか白雪がすり寄ってきた。

「ジュウ~だってぇ……いい音~♡」

 白雪は俺の腕に頭をちょこんとのせる。

 今は如月の火加減より、白雪が気になって仕方がない。


「ねえ、平太。キッチンは燃えるおサルさんが使ってるから、私たちはリビングのテーブルの上で、カプレーゼの盛り付けしましょう♡」


 そこで如月の怒号がほとばしる。

「だぁぁぁっれが、燃えるおサルさんだ!燃やすおサルさんに訂正しろ!!!」


 ……サルはそのままでいいのかよ。如月はこれを冗談ではなく本気で言ってるから、笑えない。


「アハハ、無視無視♡」

 そして白雪は黒髪ロングヘアをポニーテールにした。

 う……黒髪ロングからのポニーテール。めっちゃいい……。

 そして、まさかのエプロンを着用した。白いフリフリがついたエプロンだった。

「ねえ、平太ぁ♡このエプロン似合いますか?」

「ああ……う、うん」

 ぶっちゃけ白雪くらいの美少女であれば何を着ても似合う。

「じゃあ今日寝る前には……裸エプロンとかしちゃおっかなぁ~?♡」

「は……裸っ!」

 反射的に声に出してしまう。

 白雪の裸エプロン…………最高である。

「さあ、白雪。一生懸命にカプレーゼを作りましょう」

 俺は自分が考えうる限り、紳士的に申し出た。

「……アハハ♡平太なんで急に敬語?おもしろ」


 ああああ~!!!!!!!

 白雪の裸エプロン想像してしまうぅうぅううう!!!!




 白雪ノノの、裸エプロン姿……。


 

 身長は小柄で百五十ちょっとくらい。

 白くて透き通るような、もちもちとした肌。スラリと伸びた足、ふんわりした黒髪。それが今はポニーテールにまとめられている。

 そして、エプロンのレースからのぞく胸元の谷間……。

 少しでもかがめば、胸の先端が見えてしまうような……そんなゆるいエプロン。


 白雪のおっぱいは、如月ほどバカでかくはない。

 しかし、その「ちいにゅう」だからこそのちょうどいい感。

 そこにおっぱいの美学の一つがある……。


 腰のあたりからエプロン越しに覗くくびれ。

 そして、エプロンのすそからチラッと見える太もも……ッ!!!

 エプロンを引っ張ったらそこにあるのは……完全な裸体……。 

 やばい、脳が溶ける。





「ん?平太ぁ?」

 そこで俺は現実に引き戻される。

「あれれぇ?もしかして私でエッチな妄想してましたぁ?♡」


「いいえ、してございませんですよ」


 ――――俺は紳士的にふるまった……ぜ?





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