外の世界に染める
カルタ・ヘンデル。
彼もまた、『悪魔化』した哀れな運命を辿る
だが、彼が少なくとも、このまま誰からも助けられるず、哀れで、悲しき運命はない――。
何故なら、我々アルコンが保護したからだ。
「……」
カルタ君は先程から俯き、前をみるどころか、
「もう大丈夫だよ、僕達が君を――導いてあげるから」
そう言いながら、カルタと打ち解けようとする。
しかし、彼の心の傷は深すぎるのか、はたまた既に壊れてしまっているのか。
人形のように従順で、無表情で無口だ。
――扱いやすいと言えば簡単だが、僕達の目的は……。
このままでは、カルタ君を
森を抜け、土だが、舗装された道に出ることが出来た。
「さっ、もうすぐだよ」
だが、カルタは反応を示してくれない。
「ねぇ……お兄さん」
しばらく歩いていると、カルタが話かけてくれた。
「なんだい?」
「……僕は、悪い子?」
――ッ!
右目の奥がズキズキと痛くなる。
「いいや、君は良い子だよ。君は十分強い子だよ。」
「う……ん」
悪い子か、か。カルタ君は何も悪いことはしてない。
だが、『悪魔化』のせいで、多くの人から嫌われ、畏怖される。
本人も望まない『悪魔化』。
病気ということにはなっているが、実体はまだそのほとんどを見せていない。
病気のせいなのか、悪魔の仕業なのか、それともただの体質なのか。
『悪魔の力』は人成らざる力を与える。
その影響は、人により変わるが、その大半が不幸な運命を辿る。
解決方法もない状態の、――不治の病。
アルコンの目的は――。
「どこへ向かっているの?」
「駅だよ。僕らはこれから素敵な場所へ向かうんだ。」
だから、『悪魔化』など無い方が良いもの。
「大丈夫だよ、カルタ君。僕は、君を助けるから」
建前だ。机上の空論だ。ただ希望に過ぎない。
僕は、心を助けられても、『悪魔化』からの呪縛から解き放つことは出来ない――。
だが、今の彼には、
「駅だよ、カルタ君。」
「……うん」
それは、少しだが、ほんの少し雪が溶け始めた証だった。
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