三題噺参加用紙

五來 小真

三題噺「キウイ」「懐中電灯」「溶岩」

 夜中に鳴る非常事態を知らせるアラーム。

「溶岩だ、溶岩が来るぞー」

 その異常事態に、一気に目が醒めた。


 急いで逃げなければ……。

 ——あいつはどこだ?


 家の中を探すが、どこにもいない。

 懐中電灯を片手に、心当たりを探して回る。


 あいつなら、野生の勘で先に逃げてるかも。

 ……いや、あいつはどちらかというと。


 そして、あいつは思ったところにいた。

 マタタビ科のキウイの樹の下で、無邪気に枝を噛んで酔っていた。

 

 ——まったく、お前は。

 呑んだくれの家族でも持った気分だよ。

 

 そう思いつつ飼い猫を抱えあげると、避難を開始する。

 猫は持ち上げた際に落としたキウイの枝を求めて非難の声をあげたが、私は足を止めなかった。

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