第47話青龍ルシアの願い

 青龍ルシア。彼はガイアの熱心な信者である。


「ガイア様、今日もかっこいいです!!」


 ルシアはガイアの写真に向かって叫ぶと、勢いよく家を飛び出し黒野の家へ向かった。


「ガイア様! 今日はバターコーン味噌味のカップ麺を買ってきましたよ!」


 玄関先でそう叫ぶと、黒野が中から顔を出す。


「何!?。良かろう、入れ」


 ルシアが部屋に入ると、黒野が問いかける。


「どうした? 何か用か?」


「ガイア様……オレと一緒に異世界へ帰りませんか?」


 唐突な誘いに黒野は即答した。


「帰らん。オレはこの世界……いや、カップ麺とこの生活が気に入っている。異世界では味わえないことだ」


 しかしルシアは食い下がる。


「帰りましょう! オレたちドラゴン軍にはガイア様が必要なのです! 今の異世界は、魔神ダイヤとドラゴン軍の戦争が停戦となっています。しかし戦いが再開すれば、ドラゴン軍の敗北は確定します! ドラゴン軍にはガイア様という強力な存在が必要なんです!」


 黒野は深く息をつき、きっぱりと言い放つ。


「帰れ。争いは好まん。ただ、オレの“今”を邪魔する者が現れるのであれば――そいつを消すだけだ」


 これ以上説得は無理だと悟り、ルシアは肩を落として立ち上がった。


「……ガイア様。オレは異世界に帰ろうと思います。もし戦いが再開した場合、もうこの世界に戻ってくることはないでしょう。でも……また帰ってきますよ」


 そう言い残し、ルシアは静かに去っていった。


「はぁ……やれやれ、面倒なヤツだ」


 黒野はため息をつくと、ルシアが置いていったバターコーン味噌味のカップ麺を手に取り、湯を注ぎ始めた。

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