助けてくれたあなたの下でこの世界に馴染みます!

戸部

第一章

第1話スライムの恩返し

この世にはさまざまな世界線が存在し、その中の一つの世界線に、一匹のスライムがいた。


 「待てー!スライム!お前を討伐して、レベル上げの材料にするぜ!」と、一人の初級冒険者が追いかけてきている。


 スライムは草が生い茂る草むらに入り、「クソ……厄介なところに入りやがった!」と呟きながら、剣で草を刈り始める。


 その瞬間、絶体絶命かと思ったが、謎の穴を見つけて中に入り込むと、別世界へとたどり着いた。穴はそのまま閉じてしまった。


 スライムは、街を歩いていると、カラスに餌と間違われて襲われてしまう。


 その頃、ブラック企業で残業続きの田中太郎は、ため息をつきながら帰宅途中だった。


 「はぁ……ほんとに仕事は嫌になっちまうな……20日連続で3時間の残業なんて厳しいよ……」とつぶやきながら歩いていると、スライムがカラスにいじめられているのを見つけた。


 「やめとけ。ほら」と太郎はカラスを追い払うと、「なんだこれ?スライム?」と不思議そうに呟いた。


 だが、疲れていたため、そのまま家に帰っていった。


---


 翌朝、早起きして支度をしていると、インターフォンが鳴った。太郎がドアを開けると、そこには水色の髪をした美少女が立っていた。


 「えっと……どなたですか?」と太郎が尋ねると、


 「昨日の夜は!ありがとうございました!助けていただいたスライムです」と美少女は答えた。

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