第22話 漫画「出ていくか、払うか」

 このタイトルに見覚えはないだろうか?

 カクヨムで筆者が愛読していた連載だ。

 正式名は「出ていくか、払うか 家賃保証会社の憂鬱」という。


 作者は鶴屋なごみんとなっているが、これは漫画を描いた人だろう。

 原案協力は0207で、こちらはカクヨム作家だ。


 筆者はずっとカクヨムの連載を追いかけていた。

 家賃を払わない人たちに辟易しながら。

 内容は絶望的だけど商業出版に漕ぎつけたカクヨム作家がいるというのは希望でもある。


 最初は死体部屋の話だ。

 家賃の督促に行って嫌な予感がしたので警察を呼んだら案の定。

 住民は中で死んでいた。

 死後何日か経っていたのか腐乱死体だ。

 

 確かに死体部屋の多い地域はある。

 が、裕福な地域なら死体部屋はないのかというと、そんな事はない。

 筆者も「死」を取り扱う仕事だから、その事は良く分かる。

 この漫画の主人公は「今週だけで3度目の死体部屋だ」とボヤいていた。


 そんな感じの陰鬱な話が延々と続く。


 家賃保証会社というのは家主と賃借人の間に入る立場だ。

 もし賃借人が家賃を払わなかったら、立て替えて家主に払う。

 もちろん立て替えた分は後で賃借人から取り立てる。

 とはいえすんなり支払う人は少ない。

 皆、それぞれに言い訳をする。

 雨が続いたから仕事がなかったという日雇い派遣。

 財布を落としたから払えないという20代独身女性。

 母親の治療代に生活扶助費を充てたという生活保護の40代女性。

 なぜか主人公は家賃を踏み倒す人間に逆ギレされてしまう。


 で、作者は10年間の家賃保証会社勤務で得た知恵というのを我々に教えてくれる。

 それはお金にルーズな人間をどうやって見分けるか、という秘伝。


 玄関扉の蝶番にテープが貼ってあったら要注意だ。

 住民と連絡が取れなくなった督促者が使う手で、ドアの開け閉めでテープが剥がれる。

 剥がれていれば、時々は帰ってきているという事だ。


 次にポストに注目しよう。

 大量の通知が来ていたらその中に債権回収会社や弁護士事務所、ひょっとしたら裁判所からの通知があるかもしれない。

 そういう事は別にしても溜まった通知を処理しないのはルーズな証拠。


 とはいえ、頑張って働いていても家賃が支払えない人がいるのもまた現実だ。

 とくに夜の女性が典型的。

 作者は彼女たちに同情することが多い。


 一方、さすがの主人公も「いい加減にしてくれ」と言いたくなる人間もいる。

 ある65歳の生活保護の男性。

 なぜか家賃のために生活保護費を取っておくことが物凄く難しい。

 だから、家賃を滞納する。

 そうなると家賃保証会社も部屋から追い出さざるを得ない。

 こういった人は何処にいっても家賃を滞納するから、もう人間ババ抜きになってしまう。


 ということで、救いようのない話が次から次へと続く。

 一体、どうしたらいいのだろうか……


 

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