第6話 面影(ナル目線)
「それでも信じたいよ。この世界はまだ優しいって」
そう言っても、決して今までこの世界が優しいだなんて思ったことはない。
そもそも、幸せだった記憶がほとんどないのだから。
するとラエがこう言った。
「そうだといいね」
その短文には、あからさまに感情が亡かった。
この子にも辛い過去があったのだろうか…。
館長とはどんな関係なんだろう。
あの鈴はどんなものなんだろう。
この遺伝子は誰のものなのだろう。
この感じからすると、おかしい。
並の人間ではない。
根拠はないけどそう感じる。
いったいラエは何者?
同じ組織に居たのに、何で何も分からないのだろう?
考えれば考えるほど、分からない……。
「ねえナルってば!早く行かないと!」
「え…?」
「だから!じ!か!ん!」
「あ!」
その瞬間、脳内は、パッと切り替わった。
すっとでてきた。
「遅刻!?」
「遅刻以外でなんだって言うの?」
「やっばー!」
急いで、立ち上がって、猛スピードで駆け出す。
「はあ、、走るの嫌いなのに」
「ごめんごめん!もうそれあとにしよ!」
良い天気でも、空を眺めている暇なんてない。
ただひたすら走るのみだ。
しばらく走っていると、大きなコンクリートの建物が見えてきた。
「あぁ!、、あれだ、、やっとついたー」
「てかさ、息切れしな、ん?あれは?」
「ん?」
ラエの指差したほうを見ると、入り口に紫髪の女が仁王立ちしていた。
あれは…
「誰?」
「え!分かんないの?」
「名前忘れた…というか私も来て4日だし」
すると、紫髪の女が歩いてきた。
「いい加減名前くらい覚えて」
そう言って近づいてきた彼女からは、ただならぬオーラが放たれている気がする。
「あっそちの子は昨日入った子?」
ラエは、短く「はい」と答えた。
「ふーん。面白い。ただならぬ少女だな」
おい。
そっちもだろ。
と思っていたら、ラエが口を開いた。
「うーん。魔女っぽい外見。察するに毒を扱っている。利き手利き足ともに左。視力はA。戦力的に強そう。夜に活動してる。広がった長い髪。武器は、ナイフ型消音拳銃。それから…研究者の娘…」
「なんだこれ?」
「私の偏見!」
「これ偏見の域、超えてるでしょ」
「んで、、」
「まだ続けるの?」
「最後まで言わせてよ!」
仕方ないなあ。
言わせてあげるよ。
「この感じから察すると、伝説の
ディダール・アサシン、又の名を……」
ラエの解釈が正しいのなら…。
この人が…あの…?
「ええ。そう。私は、」
“マーサ・ヴォアザン”
目の前の紫髪の女は確かにそう言った。
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伝説の暗殺者現る!
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