天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~
水鳴諒(猫宮乾)
第1話 カバンのぬいぐるみ
初秋。
夏休みも終わり、
「スミレ、あのカバンのぬいぐるみなに?」
「今日、深珠神社に
「ああ、人形供養してるもんね」
南が何度かうなずいた。それから教室の前方、窓際の前から二番目の席をちらりと見る。
「深珠神社、かぁ。菅原くんのお
その声に、スミレも視線を向けた。
「はぁ……カッコイイ……」
小声で南が言う。なんでも南が言うには、恋ではなく推しらしい。
スミレが南に視線をもどす。その時だった。
「スミレ、英語の辞書貸してくれ」
教室の入り口から、声がかかった。スミレは思わず
「お兄ちゃん、声が大きいから」
「ん。あと、母さんから伝言で、今日はおそくなるって」
「分かった」
後ろのたなから英語の辞書を手に取り、スミレは和成に渡す。するとひょいと持ち上げて、和成が一年二組の教室から出て行った。和成は二年生だ。ため息をつきながらスミレが机にもどると、南がうっとりしたような顔をする。
「和成先ぱいもカッコイイよね」
「そう?」
「あのちょっと意地悪そうなところが最高」
「ただ意地悪なだけだよ……」
そんなやりとりをしていると、予鈴がなり、朝のショート・ホームルームのために担任の先生が入ってきた。
まだ残暑がきびしくて、教室ではエアコンがついている。
いつもと同じ朝だなと考えながら、スミレは前を向いた。
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