第3話

第六章 死神の思惑


「へえ、面白い選択だ、この人、君の知り合い⁈」死神は少し意外そうな顔をした。


彩の友達に確かクリニックで働いている人がいると聞いたことがあった。もし、死因が交通事故の出血多量なら、この場で適切な止血が出来れば生きれる。なんの根拠もない、医療関係者と思われるマスクの女性より、若干の可能性に賭けたのだが、正解か⁈違ったか、、


「実はね、君の死因は溺死予定だったんだよ。失神して土手から川に落ちる。田舎の川だから誰も気づかず、そのまま...という筋書きだった」


「彩ちゃん、彼女は泳げないし、川に飛び込む勇気もない。友達たちも同じだろうね。マスクの女性は奈良県在中の専業主婦。」


優也の心は沈んだ。やはり死神は助ける気がないのだ。


「ただし」死神は続けた。「君は写真の『この人』を選んだ。彩ちゃんの友達たちの後ろに写っている海のライフセイバーをね。」

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