記憶のはじまり

苧環草

第1話 記憶のはじまり

記憶のはじまりは母の実家。昔話に出てくるような茅葺き屋根だった。囲炉裏があって薪がパチパチ爆ぜている。祖父の膝に座って囲炉裏のそばにいた記憶が一番古いもの。その次の記憶は祖父の葬儀(自宅で)。母や母の姉妹達が皆喪服を着て泣いている。大人が泣いているのを見るのははじめて。棺には祖父。顔のまわりには菊の花。悲しい気持ちは無く、どうしてお花を棺に入れるのだろう?どうして皆黒い着物を着ているのだろう?そんなことを考えていた。


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