恋はグラデーションの背表紙から 〜図書室で始まる静かな物語〜

シリウス Sirius

【1】鈴木 ―「僕の背表紙は、まだ白いままだった」

僕は鈴木。

どこにでもいる、地味な高校一年生。

教室では空気、部活には入っていない。誰にも期待されず、誰にも頼られない。


だけど、昔は違った気がする。

小学校では、笑っていた記憶がある。くだらない冗談に笑い合って、くだらない夢を語り合って。


それがいつからだろう、

誰かに笑われるのが怖くなって、黙ることを覚えたのは。


そうやって僕の毎日は、白紙のまま積み重なっていった。


でも――

一人の背中を見つけたとき、初めて「このページをめくりたい」と思ったんだ。


それが、渡辺沙綾だった。

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