第9話 幻想郷全力バトルⅡ
◆魔理沙パート —
爆風が森をえぐり、木々が倒れ、焦げた土が舞う。
魔理沙の星弾、獅刃が生み出す武器、その衝突であたりは戦場と化していた。
「はぁ……はぁ……アンタ、武器多すぎなんだよ……!」
魔理沙が息を切らすと、獅刃は肩の傷を押さえながら笑った。
「お前も大概だろ。魔法の火力、化け物じみてんぞ」
手をかざすと、
バキィッ!!
空中に黒鉄の槍が一本生まれる。
裂け目のような空間から武器が生成される光景は
魔理沙にとっては未だに理解しがたい。
「まだ……出すのかよ……」
「当然だろ。俺に“弾切れ”なんて概念はねぇよ」
槍、盾、斧。武器群が回転し、魔理沙に向かって飛ぶ。
魔理沙は避けながら叫ぶ。
「アンタさ、なんでそこまで戦うわけ!?
いい加減倒れてよ!」
獅刃は笑わず、真顔で答えた。
「————理由なんて単純だ。
強ぇ奴と戦うのが好きなんだよ」
「うっわー……理解不能……」
「褒め言葉だと思っとく。」
獅刃が手を握ると――
空間がバリッと裂け、
その奥から巨大な
「そろそろ締めにするぞ。
俺の“最大武器”だ。耐えられっか?」
魔理沙は八卦炉を握り、口角を上げる。
「当たり前だろ?
“最強で普通の魔法使い”を舐めんな!」
光が収束し、熱が森を焦がす。
魔法と武器、双方の最大出力がぶつかる瞬間――
魔理沙が叫ぶ。
「恋符――
『マスター・スパーク・レゾナンス』ッ!!」
超強化された大光線。
通常のマスパの“密度”を上げた、魔理沙の本気技。
獅刃が対抗して巨斧を振り下ろした瞬間――
ズガァァァァァァァン!!!!
巨大爆発が森を飲み込み、木々が一瞬で吹き飛ぶ。
衝撃で地面が波打ち、砂煙が空に立ち昇る。
煙の中、魔理沙は膝をつきながら息を吸った。
(……勝った、か?)
武器の破片が雨のように散り――
中心で、獅刃が斧を砕かれたまま倒れていた。
「ちっ……まじで化け物か、お前は……」
魔理沙は立ち上がり、帽子をクイッと上げて言う。
「当然だろ?
アンタより“派手”なんだからさ!」
獅刃は悔しそうに笑いながら、気絶した。
戦いは――魔理沙の勝利。
◆霊夢パート ―影妖―
一帯が闇に沈み、影の濃度が極限に達した世界。
霊夢は辺りを見渡すが――影妖の姿はどこにもない。
「……完全に影に溶けてるわね」
影妖の声だけが四方八方から響く。
「影はどこにでもある。
つまり、俺はどこからでも攻撃できる」
その瞬間、背後の影がナイフ状に伸び――
ザッ!!
霊夢は結界で受け止める。
「くっ……!」
続けざまに、左右、足元、上空——
四方向から影の槍が襲いかかる。
「
「
「
影の技が連続で襲う中、霊夢は結界を保ちつつ
少しずつ“影妖の癖”を読み取っていた。
(……この人、影を“自在に操ってる”んじゃない。
既存の影を“延長・変化”させてるだけ……)
つまり――
影そのものを“消せばいい”。
霊夢の口元がわずかに笑う。
「そろそろ終わりにしましょうか?」
影妖の声が響く。
「……まだ余裕があるのか」
霊夢は空へ舞い上がり、
札と御幣を同時に構えた。
「博麗の巫女として――影ごと、浄化する!」
影妖が焦ったように声を上げる。
「何をする気だ!?」
霊夢が唱える。
「神霊『
パァァァァァァァァァッ!!
昼のような光が神社裏一帯を包み込む。
影が薄くなり、形が消え、影妖が隠れる場所がなくなる。
「……っ!!」
闇が剥がれ、影妖の身体が露出した瞬間――
霊夢が札を投げ放つ。
「封印!!」
ズドンッ!!
札が影妖の胸に貼りつき、
影妖の操っていた影が全て霧散した。
「……やるね、巫女。
本物の“影の性質”を理解しやがった……」
影妖は膝をつき、そのまま倒れ込む。
霊夢はひらりと着地し、
御札を整えながら溜息をついた。
「はぁ……厄介だったわ。
影が使えるのって、めんどくさすぎ」
「いや~楽しかったよ。」
影妖は小さく笑いながら意識を失う。
戦いは――霊夢の勝利。
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