第6話 子育て支援って支援してマスのん?

― 7兆円の温かみで人口減少を包み込む ―



【官邸 地下対話室】


首相:

おい官房長官……ワシ、ちょっとだけ我慢してたんやけどな。

“子ども家庭庁”、7兆円も使うて「少子化止められませんでした」て――

これ、世界初の“高コスト縮小戦略”やないか?


官房長官:

「減るんが当然なのでしゃーないです」って言うた方が、まだ潔いですわ。

今のままやと、「生まれる気力が奪われる国」を国家予算で運用しとるようなもんです。


首相:

資料見たらびっくりしたで。

子育て支援サイトの動画制作・広報コンサルに億単位ドン。

再生数2桁でも予算執行完了や。


官房長官:

あの動画、ワイの甥っ子3歳すら途中離脱ですわ。

“子育て”の名で発注されたプロモが、子どもにも響かへんって、もはや事故です。


首相:

もっとびっくりしたんはな、街頭インタビューで

「子ども欲しいと思いますか?」って聞いて、

「この国じゃ無理っす」って答えてた若者の映像、そのまま政策資料に載せとったことや。


官房長官:

実績より絶望感を納品してどうする気なんですかね。

しかも補正予算は“婚活イベントの強化”って方向に飛びましたやろ。

まだ結婚しとらん層に“さあ育め”って、畑も水も与えずに農業やれ言うてるもんですわ。


首相:

せやけどな、一番笑われへんのが……

あれだけ予算あるのに、なんで“ベビーシッター制度”を国が整備せえへんのや?

なんや、“預けて育てる”ってのは、国家にとってはタブーなんか?


官房長官:

そこがこの国の闇ですねん。

「シッターに頼る=親の怠慢」と見なす旧来価値観が、

制度の土台に張りついてる。

つまり、“楽に育てられる構造”は制度上排除されとるんです。


首相:

ほな、子を預ける自由がなければ、

育てる選択そのものが、“人生ハードモード突入の決断”ってことかいな。


官房長官:

はい。

ベビーシッター制度は、“家庭の外に頼ってええ”っていう国家からの合図になる。

けど今の政策は、親の犠牲ベースでしか子育てを描いてない。

負担を支援でなく、“覚悟”で語らせる制度設計になっとるんですわ。


首相:

あかん……これじゃ、“理想的な子育て”の前に、

“ひとりで育てきるスキル”を求める“罰ゲーム的設計”になってるで。


官房長官:

ベビーシッターを制度化するだけで、親の心理的安全が一段階変わります。

でもそこには、“他人に預ける”ことへの“道徳的不信感”という壁がある。

国はずっと、それを壊す気がないんですわ。


首相:

ほんま、少子化加速させたいとしか思われへん設計やな。

「家庭庁」が聞いて呆れるわ。


官房長官:

少子化は対策やのうて、国家構造のバグですわ。

でも、そのバグに“志”が組み込まれてへん限り、

7兆円投じても、“支援されてる気がしない国”のままです。



📝 官房長官の志語:

志とは、「生め」と言う資格やない。

“預けてええ”と、国家が先に宣言することや。

支援とは、自由の提供であって、忠誠の要求ではない。


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