第53話
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🎭 配信終了のアラーム音が鳴る…
🔔ピロリンッ…!
👦主人公「──あ。
そろそろ終了の時間か」
📢コメント:
> 「えっもう!?」 「体感10分だったんだが」
「きょうも最高だった」
👦主人公(画面を見つめながら、少し照れたように)
「本日は、未明の大劇場に俺と一緒に参加してくれたリスナーたち、演者たち……ありがとうな!」
「また、次回の配信まで──」
👦「あっ、デュオー酢」
📢コメント:
> 「なんでスが酢なんだよ!!w」
「ついに“ありがとう”にまで奇行が」
「デュオー酢は草」
👦(笑いながら配信画面を閉じる)
「……よし、終了っと」
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🏠配信外:帰宅後
玄関をくぐり、靴を脱いで、
ボサっとした髪をかきあげる主人公。
👦「ふー……あっつ……」
荷物をぽいっと置いて、冷蔵庫から炭酸を取り出す。
ワンテンポでぷしゅっ、といい音。
ソファに倒れこむように座る。
👦「は〜〜……やっぱ配信終わったあとのこの瞬間だよな」
背中から沈み込むソファの感触。
疲れもあるが、リスナーとの時間が楽しかったことは確かだ。
机の端に置かれた、先ほどの招待状の写し。
『未明の大劇場 第二章 開幕通知』と書かれている。
👦「……また来るんだろうな。
変な舞台。変な告白。変な仮面」
でも、ふっと笑う。
👦「──ま、悪くねぇか」
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カーテンの隙間から差し込む街灯の光が、
静かな夜の中で、彼のシルエットをほんのりと照らしていた。
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主人公は、静かな部屋の中、配信機材の前に座り、モニターを見つめていた。
画面には自分の過去のアーカイブ。はじめて配信を始めた、ぎこちない姿――
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🎥 最初の配信。
「えーっと、ど、どうも……初めまして、かな?」
マイクの前でやや声が震えていた自分。
右も左も分からず、画質も音質もグダグダで、コメントもほとんどなかった。
それでも「誰かと何かを共有したい」という一心だったことは覚えている。
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そして──
🧭カシムとの出会い。
謎多き男。
強く、冷静で、そしてどこか掴みどころのない存在。
初めて出会ったその日、彼は言った。
> 「君は“奇行”に光るものがある」
「だから少し、人とは違う行動をしてみるのはどうだ?」
その言葉を真に受けた主人公は、翌日の配信で
・タピオカ片手に檜の棒でダンジョンに挑む
・謎の巫女服を着て駅前から登場する
・モンスターに愛を囁かれてガチ説教を始める
などの、今でこそ“伝説”と語られる奇行の数々を残した。
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しかしそれは、
「ただ奇抜なだけの行動」だった。
再びカシムと再会したとき、
彼は主人公の目をじっと見て、こう言った。
> 「君がやってきたことは、すべて間違いではない。
だが、“奇行”とは演じるものではなく、滲み出るものなのだ」
そのとき、主人公はようやくわかった。
──奇行とは、自分を偽って作るものじゃない。
自分が本気で何かに向き合ったとき、“自然と現れる”行動なのだと。
笑って、焦って、叫んで、悩んで、泣いて、
全部本気だったからこそ、それが“奇行”として光っていたのだと。
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👦主人公(ソファに座りながら)
「俺は、変なことをしてたんじゃない。
本気でやってたから、変に見えただけだったんだな……」
モフ蔵が膝に頭を乗せ、ぐうと寝息を立てる。
主人公はその頭を撫でながら、ぽつりと呟いた。
「──奇行も、ここまで来たか」
画面の中では、懐かしい兎やリス太郎、仮面舞踏会、変態ボスたちが
次々と登場し、主人公の旅路を彩っていく。
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そして次の招待状は、もうすぐ届くだろう。
次なる舞台、「未明の大劇場 第二章」。
それは、奇行の主人公が次なる“本気”をぶつける場所。
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