ユニゾン×ユニゾン!

東郷 連太郎(とうごう れんたろう)

プロローグ① カレイドスコープ

 世界で最もアツいゲームは何かと聞いたら、きっと誰もが口を揃えて同じゲームを上げるだろう。

 カレイドスコープ──万華鏡まんげきょうを意味するそのゲームは、名前の通り、プレイする人によってその無限大の姿を映し出してくれる。

 自身でデザインした武器やスキル、魔術を駆使して相手と戦う一見単純そうな対戦型VRゲームは、圧倒的な拡張性スケーラビリティ独創性クリエイティビティの高さから、瞬く間に世界で大ヒットを記録し、発売から6年経った今でもVRゲーム市場を独占している。

 ゲーム性により大ヒットを記録したことは勿論もちろんだが、日本だけで言えば、恐らくそれ以上に重要な要因が存在した。

 それは、発売から二年後に開催された第一回カレイドスコープ世界大会で、当時小学五年生だった少年が優勝した、という驚愕きょうがくの事実だった。

 第一回世界大会で、日本人の小学生が優勝。という肩書だけでも話題に上がる十分な要素だったが、優勝した人物にはそれ以上に驚くべき偉業いぎょうを成し遂げていた。

 世界の頂に立った少年、花園はなぞの 四季しきは、なんと大会全体を通して一回たりとも攻撃を喰らわず、予選から世界大会優勝までの何十試合全てを無傷で勝利して見せた。

 その異次元な日本の勝利は、一瞬で多くの日本人の心を奪い、同時に野心を焚きつけた。

 それから二年後の夏、また一人の少女が、その輝かしい万華鏡に心を奪われてしまう。

 それは、偶然ではあるものの、必然的な出会いだった。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る