真紅のセカイ
てとらぐらむ
第一章 Initium
第一話 邂逅
一瞬の光の後に、凄まじい轟音が耳を裂く。
まるで原子爆弾が落ちたかのような熱風が、あたりを包む。
暫くして舞い散る粉塵が収まるにつれ、熱源の中心には彼女の姿が浮かび上がる。
なびく髪と瞳は深い赤を帯び、その様相はマグマの様に、
深く、冷めない怒りを彷彿とさせる。
彼女の服は赤茶けた返り血に塗れ、
右手には同様に血濡れた、黒紫色の結晶のような物を掴んでいる。
その姿に僕は、見惚れていた。
僕の目に映る事実だけを切り取れば、
彼女が行った行為は殺人と同意義と言えるだろう。
殺人者に対する嫌悪感と、彼女の内包する怒りの美しさ。
相反する感情が僕の中で渦巻き、僕の心を狂わせる。
そして、僕の意識は闇の中へと落ちた…。
――――――
身体全体の浮遊感と地面に迫る感覚が身体を支配する。
空を見上げると誰かが僕を見下ろしている様な人影が映る。
その影は僕に向かって、手を伸ばし、僕を救わんとする。
しかし、間に合わない。
背中に迫る地面の感覚は、時が経つにつれ強くなる。
まさに、背中に地面がぶつからんとするその時、いつも決まって夢から目が覚める。
激しい胸の動悸と全身に至る冷や汗。
この夢を見た朝はシャワーを浴びざるを得なくなる。
全く、迷惑な夢だ。
とはいえ自分が生み出したものではあるが。
迷惑な事に、いつからか始まったも覚えがないこの悪夢は、
近頃、その頻度を増している。
まるで、何かを予兆しているようだ。
特にこの、”C.O.R.E”という能力に目覚めてからは高頻度で夢を見る。
「Central Of Resonant Essence」、通称「
人の感情エネルギーを抽出、変換し、様々な力に変える能力。
本人の潜在的な性格特性や願望によって様々な姿を見せる。
現状では科学的に体系化されておらず、能力者によってその力の差異は大きいようだが、詳しい事は一般的に周知されていないのでわからない。
なにせ、この能力を得てまだ一ケ月も経っていない。
故にわかるはずもない。
この能力は基本的に先天性のものであり、
僕のように後天的に目覚める例はかなり珍しいようだ。
そして、僕は今日から特別な学校に通わなくてはならない。
C.O.R.Eを得た人間だけが通う学校へ。
僕は、朝の用意を済ませ、
誰に言うでもなく「言ってきます。」と一人呟き、家を出る。
いつもなら、家を出て左に曲がる道を、今日からは右へと進む。
些細な変化ではあるが、僕にとっては大きな変化だろう。
僕は、いつもと違う景色を見ながら、転校書類に記載された住所へと足を運ぶ。
いつもなら、道の途中から幼馴染の女の子と合流して、喋りながら通うのだが、今日からは違う。
少しの孤独と、少しの緊張と、少しの期待を抱えながら、
僕は目的地へと辿り着いた。
私立
実際の所はC.O.R.Eの適性が認められた人間を集めて、その能力を磨く為の場所に見える。
能力を磨く為と言うのは建前で、殆ど能力開発の実験に近いだろう。
近年見つかったこの新たな能力は、
使い方次第では世界を揺るがしかねない物とも言われており
その能力開発の出来次第で今までの兵器を全て無に帰すかもしれない可能性を秘めている。
当然、この日本に限らず、どの国も秘密裏に開発を進めているとされる。
噂ではあるが、既に軍事運用がされている能力者がいるとさえ言われている。
建物自体は元来、大型の研究所を無理やり学校に改築したようで、外から見た様子こそ、立派な学校ではあるが、
その内装はおおよそ一般的な学校の雰囲気とはかけ離れている。
何も知らない人が内装を見た時、病院、実験場、研究所、そう受け取るだろう。
いざ、校門の前へと来ると、その学園の雰囲気に圧倒される。
しかし、意を決して、少し不安な気持ちで門をくぐる。
まぁ、くぐったからと言って何かあるわけではない。
さっさと、足を進めて指定された教室へ向かう事にした。
指定された教室へと近づくと、気安い雰囲気の教師がドアにもたれかかりながら、僕を手招きする。
「ここだよ、真クン。」
恐らく、彼が僕の担任教師だろう。
彼は先に教室へと入ると、教室の中からドアの外にいる僕へと再度手招きする。
「
僕がその言葉を受け、意を決して教室に入ると、数多の視線が僕へと突き刺さる。
「では真クン、自己紹介をよろしく頼む。」
一呼吸おいて僕は自己紹介を始める。
僕は過度に目立ちたいわけではない、無難な自己紹介で構わないだろう。
僕は、顔に余所行きの笑顔を張り付けながら、自己紹介を始める。
「始めまして、僕は
「現状知らない所が多く、この学園について色々な事を聞くことになるとは思いますが、よろしくお願いします。」
可もなく不可もなく、と言った所だろう。
担任の御堂を横目に見ると、満足そうだ。
「ちょっと真面目すぎる気もするが良い自己紹介だね真クン、じゃあ早速席を決めようかな?」
「とはいえ空いてる席は…あ〜柏木くんの隣しか無いかな。まぁ、じゃあそこで。」
そう言いながら御堂の指差す先には、気だるげで目つきの悪そうな男子生徒が座っている。
僕の方を一瞥すると数秒ほど睨んだ後、目を逸らす。
あまり友好的な人種では無いことが伺える。
しかし、決まったものは仕方ない、僕は意を決して隣の席に座り、声をかける。
「よろしくね?柏木くん。」
僕は一応挨拶をしたが、結果は予想通りで返事はない。
余程の恥ずかしがり屋か、それとも無視しているのか。
まぁ大方、後者だろう。
僕は、初日から面倒な展開だな…と考えていると、
突然、後ろの席から明るい声が僕の耳に響く。
「よろしくね?平坂君!」
初めて会うはずだが、その爽やかな声に、どこか懐かしさを感じる。
振り向くと茶髪のモダンな感じで少し気の強そうな女子生徒が、握手を求めて、右手を差し出す。
彼女の服装は制服を少し気崩した、カジュアルな感じのファッションで、気のよさそうな雰囲気のする少女であることが伺える。
僕は反射的に、握手を交わすと、彼女は満足そうな顔をする。
「私は
「ま、転校生のセンパイって事で、これからよろしくね?」
どうやら後ろの席の影葉という女子生徒は、友好的な人種のようだ。
「始めまして、影葉さん。こちらこそよろしくね。」
僕は無難に挨拶を返すと席に座る。
それを確認した御堂は授業を始める。
授業の内容は通常の学校に比べてかなり基礎科目の配分が少なく、殆どがC.O.R.Eについての理論を学ぶようだ。
御堂はコギトや無意識やらと、恐らく心理学におけるC.O.R.Eとの関係性についての説明をしているが、転校して間もない僕には言葉の意味すらわからない。
本来であれば、一貫校であるこの学校では、小中の授業でC.O.R.Eについての基礎知識を学んでいる前提での授業のカリキュラムなのだから仕方ないと言える。
元来、C.O.R.Eは先天的な能力なのだから、途中で入ってくる生徒を考慮する必要が無いのだろう。
そして、言葉の意味すら分からない、退屈な授業で眠気が限界になった頃、放課後の鐘の音が聞こえた。
「転校したてだと、わけわかんないよね~。あの授業」
影葉は肩をすくめて、呆れたような顔をしている。
「私も最初はさっぱりだったよ、だって他の子は小学校から習ってるわけだし。すぐに追いつけるわけないっての。」
「後天的に発現する生徒が少なすぎて専用のカリキュラムもないし、自主的に頑張れって感じだからね。」
「まぁ安心して、平坂君にはアタシが教えてあげる。同じ転校生のよしみでさ。」
自分にとって利益の無い事なのに、
会って初めての僕に対して手間を割く人間…。
どうやら、影葉はお人好しの性格のようだ。
僕にとってはこの上なく、ありがたいことだ。
当然、僕はこの提案を快く受け入れる。
「あ、あと君の横の柏木君」
彼女は放課後になってすぐに居なくなった柏木の席を指で指す。
「彼にはあまり近寄らない方が良いよ、この学校の制度を悪用して何人か殺してるみたいだから。」
彼女は明るい顔をしながら物騒な事を話す。
でも、彼女の顔は冗談を言っているようには見えない。
「ビックリした?ビックリするよね~、私も最初はそうだったし。」
「別に彼も
「まぁ、言って所詮雑魚狩りしかしてない大した事無い奴なんだけどね。」
「私とかには一切突っかかってこないし。ダサいよね~。」
「あ、私こう見えても結構強いんだよ!驚いた?」
影葉は目をキラキラさせながら、褒められ待ちのような顔をしている。
「うん、そうだね。」
が、僕から思ったような反応が返ってこなかった彼女は少し落ち込んだ。
どう反応すれば良かったんだ…、頭でも撫でれば良かったのか?
流石にその勇気は僕は持ち合わせていない…。
「ともかく彼には近寄らない事、そして誘いには乗らないこと。それだけ意識しておいてね。」
「今の平坂君だと流石に彼には勝てないからね、とはいえ彼は私には到底及ばないとはいえ、そこそこ強い部類だから。」
ともかく、お人よしの影葉のお陰で、この学校における処世術を一つ学んだと言える。
まぁ、僕が彼に喧嘩を売る気も、関わる気も一切無いので、この処世術が役に立つかは怪しい所だが…。
とはいえ、隣の席がそんな厄介な生徒になるとは、少し運が悪いのかもしれない。
いや、親切な影葉が後ろの席と言うことも踏まえるとトントンなのかも知れない。
そんな事を考えていると。
「あ、御堂先生が平坂君を呼んでるみたい。転校の手続きじゃないかな?私は準備があるから先に帰るね。」
「平坂く~ん、じゃあ、
そう言い残して僕に手を振った後、彼女は帰ってしまった。
そして、彼女の残した言葉の違和感を覚える間もなく
「真ク〜ン、早くきたまえ。」
痺れを切らして僕の眼の前まで来た担任の御堂によって、僕は職員室に招かれた。
僕は、御堂からこの学校に転校するに当たって、説明を受けた。
端的に言えば、転校手続きの書類の説明とこれから住む場所の手配の話だった。
どうやら僕はこれから
本来九条寮はこの学校の指定寮では無いようだが、空き部屋を確保できないらしく、
学校が管理していて使われていない建物を充てがうようだ。
御堂からの説明が終わった後、早々に職員室を追い出された。
手続等の諸々の用事を済ませ、九条寮へ向かうため、学園の校門から出ようとした時、
この学校と違う制服を着ている見知った黒髪の女の子が目に入る。
こちらに気づいた顔をして、小走りしてくるのを見るに僕が来るのを待っていたようだ。
「待ってたよ…真。」
落ち着いた雰囲気を放つ彼女は
いつも気づけば僕のそばにいて、朝も一緒に通学していたが、
僕がC.O.R.Eに目覚めたせいで同じ学校には通えなくなってしまった。
なにか僕に用事があったんだろうか?
「特に用事があったわけじゃない、ただ顔を見たくて。」
彼女は僕の表情から、言いたいことを察して言葉を紡ぐ。
「今から帰るんでしょ?ついて行って良い…?」
特に断る理由もないので承諾し、御堂から言い渡された九条寮の住所を頼りに二人で歩いて帰る。
「新しい学校はどう?困ってない?」
僕は新しい学校での困った出来事や、親切な人が授業の遅れを助けてくれる事になった話をする。
「親切な人?…そう。女の人?」
そうだよ、と返すと彼女は少し不満そうな顔をする。
そんな話をしながら歩いていると、目的の九条寮が見えてくる。
「古風だけど、立派な建物…。」
香織がそう言葉を漏らした。
九条寮、見た目こそ荘厳だが、年季は相当のものらしい。
元々は華族が住んでいたとかなんとか。
中の造りまで古いということはなく、
現代の様式に従ってリフォームは行っている様子だ。
香織と談笑しながら正門をまたごうとした時。
「わっ!」
門の陰から勢い良く飛び出し、僕を驚かせてきた。
僕は驚いて後ろずさり、香織の肩にぶつかった。
彼女は悪戯な顔を僕へと向けた後、
僕の後ろに香織がいることに気づく。
「は?…なんでアンタがここに…。」
影葉の顔からは先ほどまでの、悪戯な顔から一変して
香織の顔を見て、死人を見たかの様な顔で呆然としている。
その様子を見るに知り合いなのか?と思ったが
香織本人はきょとんとしており、何がなんやらといった様子。
影葉が一方的に知っているだけで、知り合いという訳では無い様だ。
「この人は?誰なの?真…。」
香織は我を取り戻すと、静寂を破るように僕に問いかける。
「さっき言ってた親切な人、影葉さんっていうんだ。」
香織は訝しげに影葉の方を見る。
影葉本人はまだ狼狽えているようだ。
「そう…。で、貴方は真にとっての何?」
敵を見る目で香織は影葉に詰め寄る。
「何?って…。クラスメイトで、同寮よ。」
少し落ち着きを取り戻した影葉が、香織を睨みながら不躾に答える。
「同…寮…?」
香織は眼を細める。
「そうよ。あ、言い忘れてた。同寮でこの寮に今まで住んでいたのは私だけ。」
「平坂君も今日から住むから二人きりね。よろしくね、平坂君。」
香織を煽るような口調のまま、影葉は衝撃的な事を告げる。
この寮に二人きりという事もそうだが、なにより横に立つ香織が
僕が未だかつて見たことのない静かな怒りの表情を浮かべている。
「まぁそういうことだから、さようなら。
影葉は名乗ってもいないはずの香織の名前を告げ、ニヤリと笑みを浮かべて、寮の中へと僕の手を引く。
僕は後ろ手を引かれながら静かに俯く香織が遠ざかるのを眺めていた…。
――――――
その後、僕は影葉によって九条寮の案内を受けた。
本来、学生寮ではない建物なだけあって、一部屋が2LDK程あるらしく、おおよそ学生に充てがうような部屋では無いことが分かる。
影葉曰く元々桐華条学園と関係がある九条という華族が住んでいた建物だそうだ。
それゆえに九条寮という名前が付いたそう、とても安直なつけ方だ。
それはさておき、過去に華族が住んでいたからか、部屋に備え付けの家具があるらしく、それは決して、そこらの家具屋で手に入る程度のものではないらしい。
「ビックリしたでしょ?私も最初はビックリしちゃった。」
「転校してから授業についていくのは辛かったけど、唯一良かったのはこの寮の設備ね。」
「一介の学生が住むような場所じゃないってことは私にもわかるし。結構気に入ってるの。」
影葉はおどけた様子で寮の説明を続ける。
「で、肝心の平坂君の部屋はここ、201号室。」
僕の部屋は二階に上がって直ぐの部屋、一階部分は共用のラウンジになっているため、部屋番号は2から始まるようだ。
影葉は僕の部屋の鍵を開けた後、その鍵を僕に渡して、部屋の中に入る。
「へ~、予想はしてたけど部屋に置かれてる家具も私とは違うんだね。なんか黒っぽい家具ばっかり。」
僕の部屋は黒を貴重とした部屋で、アクセントとして金の装飾がなされている。
重厚感があり、おおよそ学生に似つかわしくない部屋のように思える。慣れるまでは中々落ち着きそうにない装飾だ。
「まぁ、生活に必要なものは1階のラウンジから持っていって良いから、ここでの生活を楽しもうね、平坂君。」
そう言うと影葉は僕の部屋を出て、自分の部屋に帰っていった。
僕はベッドに腰掛けると今日一日の疲れがどっと体に来る、初めての場所に慣れていない環境、当然、精神的に疲れるだろう。
僕は部屋に備え付けのシャワーを浴びて汗を流し、早々に寝て疲れを癒す事にした。
――――――
また夢だ…。僕は夢を見ていることを自覚する。
しかし、いつもの夢とは違う。
どうやら僕は誰かと喋っているようだ。
僕は横を見るとモヤのかかった小学生ぐらいの少女が座っており、僕に対して話しかけている。
「あのね…くん、わたしと違っておねえちゃんは凄いの!前の検査ではね…」
モヤのかかった少女は楽しげに話している。肝心の名前は聞こえない。
夢の中の僕は「そうなんだ」や「うんうん」などと相槌を打って少女の話を傾聴している。
モヤのかかった少女の他愛もない話を聞き続けていると、どうやら刻限が来たようだ。
「ごめんね、…くん。わたしそろそろ戻らなくちゃいけないみたい…。また今度いっぱいおはなししようね!」
少女がそう言うと、夢の中の僕の眼が閉じる。
そして、再度目を開くと、ベッドの上で僕は目覚めた。
いつもの夢と違って自然に目が覚めたが、僕はこの夢が例の
でも、いつもと違って寝汗はかいていない。
何故いつもと夢の種類が違うのだろう?
僕は頭に疑問を浮かべながら、朝の支度を始めた…。
――――――
「お~い、平坂く~ん、朝だよ~起きてる~?」
僕が朝の着替え支度を済ませた頃、ドアの方から影葉の声が聞こえる。
まだ学校に行くには早い時間だとは思うが…。
僕は起きていることを伝えると
「おはよ~、一階で待ってるから来てね~。」
影葉は僕が起きていることを確認すると、階段を降りて行った。
僕は学校の支度を済ませた後、彼女に言われた通り一階へと向かう。
すると、一階の食卓テーブルの上に、二人分の洋風の朝食が用意されていた。
「改めておはよう、平坂君。」
「どうかな?勝手に作っちゃったけど、苦手なものとかある?」
僕は「苦手なものは無いよ」と伝えると影葉はホッとした顔をする。
「まぁ、平坂君も座って食べちゃってよ、私も食べるし。」
「じゃ、頂きま~す。」
二人で向かい合わせで食卓に座り、手を合わせ朝食を食べる。
シンプルにパンとスクランブルエッグとサラダと焼いたベーコン。
僕達はこの朝食を美味しく頂いた後、
そのまま二人で他愛も無いことを喋りながら学校へと向かう。
何故か、彼女とは初対面だというのに、彼女との通学は初めてな気がしなかった。
その事に僕は少し、違和感を覚えた。
いわゆる、波長が合う。という奴なのだろうか?
――――――
僕は影葉と談笑しながら、学校の廊下を歩き、教室へと向かっていた。
どうやら僕の教室の掲示板の前で生徒たちが集まって騒いでいる。
掲示板を見てみない?と影葉に提案する前に、
女は既に掲示板の元へと向かっていた。
影葉は掲示板を確認した後、
「今日、転科してくるらしいよ、それも特科から。なんと、私達のクラスに。」
特科?そもそもこの学校に別の科なんてあった覚えは無いが…。
僕は、特科について影葉に聞いた。
「ま~、特科は入りたくて入れる学科じゃないからね~。」
「その学科の性質上、学校側も
影葉によると、
または、C.O.R.Eについての研究で一定以上の成果が認められた者のみが入る事の許される学科のようだ。
当然研究内容や、特殊な適性というのが外部、
いわゆる、他国にその情報が盗まれないように、公には存在してない事になっているそうだ。
「まず特科の生徒と会うことなんて早々無いから話題になってるんだろうね~。」
「というか特科の生徒がわざわざ普通科に転科する意味って…。なんか訳アリかもね。」
そんな話をしていると朝のホームルーム開始の鐘が鳴る。
教室は件の話題でザワザワし続けている中、担任の御堂が声を上げる。
「よ~し、その様子だと、キミ達も既にご存知だろうけど、昨日転校してきた平坂クンに引き続き新たなクラスメイトだ。」
「じゃあ、入ってきたまえ、|アイオンクン、
御堂がそう言うと普通の制服と装いの違う生徒が教室に入ってくる。
一人目、アイオンはドールのように無機質な美しさを持つ女子生徒、銀髪金眼で世にいう典型的な美少女を言って差し支えないだろう。
二人目の九重は…
彼女を見た瞬間、僕は取り込まれそうな感覚に陥った。
いや、実際に僕の眼を見ている。
明らかに僕の方を見て、微笑んでいる。
僕が自意識過剰なわけでは、無い。はずだ…。
「じゃ~自己紹介よろしくね、お二人さん。」
御堂の声で我に返る。どうやら最初はアイオンから自己紹介するようだ。
「私はアイオン。紅様の所有…いや召使いの様なもの。よろしく。」
とても簡潔な自己紹介、素っ気ない仕草。
その冷たい視線から、誰とでも仲良くする気は無いのだろう、と伺える。
次は九重だ。
「始めまして、私は
「アイオンと共に特科から転科してきた。同様に転校してきた者がいると聞く。似た者同士、よろしく頼む。」
彼女は、胸と腹の中腹に右手を添えて、
左手を横に広げ、右足を引いて身体をかがめて、頭を下げる。
その優雅な振る舞いは、位の高い貴族のようだ。
彼女は言葉の上では全体に向かって呼びかけているが、
明らかにその眼は僕を捉えながら、呼びかけている。
その眼は、まるで僕の心の中まで見ているように感じられる。
「なんか、凄いね…紅さん…。」
「でも、なんでボウ・アンド・スクレープなんだろ…。」
影葉も、彼女特有の荘厳な雰囲気に充てられたようだ。
そして、ボウ・アンド・スクレープ?
C.O.R.E関連の用語か何かだろうか…。
少しすると、御堂が僕の時のように席を決めようと、声を上げる。
「じゃ~、アイオンクンと九重クンの席は空いてる後ろの~」
御堂がそう言いかけた時
「御堂教諭、私はあの席に座らせて頂きたい。」
そう言って彼女は僕の隣の席を指差す。
その席には、下に俯いたまま寝た様子の柏木が鎮座している。
「う~ん、まぁ別に良いっちゃ良いんだがねぇ…、柏木クンが聞いてくれるかどうか…」
御堂は困った顔をしながら答える。
すると、九重は柏木の所まで歩いて肩を叩く。
「柏木と言ったかな?すまない、その席を明け渡してくれないかな?」
当の柏木はムクっと顔を上げた後、再度顔を下ろす。
僕の時と同様、無視を決め込む様だ。
すると九重の後ろにいるアイオンが柏木の机の前に来ると
「起きなさい。」
そう言って、柏木の机を蹴り飛ばした。
先ほどまでザワザワしていた教室に突如、
緊張した空気が走り、静寂が辺りを支配する。
机を蹴られた当人の柏木も、椅子から立ち上がると、
警戒した様子で、アイオンを睨む。
「なんだお前。」
柏木君は苛ついた様子でドスの利いた声を発する。
彼の表情を見るに怒っていることはクラスの皆が分かっている事だろう。
「ああ、その席を譲ってくれないかな?柏木とやら。」
九重は怯えること無く席を譲ってもらおうと要求する。
「は?なんでお前に譲る必要があるんだよ。つか、お前誰?」
イラつきながら柏木はそう返す。まぁごもっともな意見だ。
突然、机を蹴とばされて場所を譲れと言われている現状、
別に彼でなくともイラつくのは当然だろう。
その上、彼にとって、席を譲るメリットは全くない。
「…いや、いいだろう。ただし条件はある。」
柏木は何かを思いついたようで、ニタリと笑う。
「1つは俺に頭を垂れて懇願する。もしくは
「俺としては1つ目をおすすめするが、嬉しいのは後者だ。選べよ、転校生。」
柏木はかかってこいと言わんばかりに、人差し指をクイクイと2回折って、九重を挑発し、下卑た顔で彼女にガンを飛ばす。
僕はその様子を傍観していると、
肩を指でツンツンと押されて、後ろを振り返る。
影葉が、僕の耳に口を近づけると、小声で
「なんか、柏木君。寝てて話を聞いてないせいで、彼女を転校生と勘違いしているみたい。」
「特科の生徒ってわかって喧嘩売る訳がないもん…。」
「多分君の自己紹介の時も寝てて、特科の生徒が突然今日来るって事も知らなかったんじゃないかな…。」
「これは、面白いことになるかもね…。ちょっと楽しみかも…。」
そういって、影葉は悪戯な笑みを浮かべながら、見物人に徹する。
僕も、彼自身の勘違いをワザワザ訂正するつもりも、してやる義理も感じない。
あくまで一人の見物人だ。何が起こるかを見送るとしよう。
少し気になって、担任の御堂の方を見ると
素知らぬ顔で、窓から顔を出して煙草を吸っている…。
見て見ぬふりを決め込むようだ。
彼にも柏木の素行に思う所があるのだろう…。
彼の勘違いを知ってか知らずか、紅は怯む様子はない。
「頭を垂れるというのは貴様が垂れるという事かな?」
「私が後者以外の選択肢を選ぶとでも?冗談にしては面白い。」
九重は柏木の挑発に乗る。
彼女の表情は少し楽しそうで、不穏な微笑を浮かべている。
「良いねぇ、転校生だかなんだか知らないが、粗方、新しい力に目覚めたばかりで、自分は無敵だって、調子乗ってんだろオマエ。」
「その勘違いで自惚れた鼻っ面、俺のC.O.R.Eでへし折ってやるよ。」
「紅様は転校生では…」
「いい、アイオン。」
アイオンが柏木の言葉に弁明しようとするも、紅はアイオンの口を遮る。
「まぁ、君のような雑魚と戦うのは構わないんだが。普通に戦っては興を削ぐだろう。」
「どうだ?
紅は楽し気な様子で、条件の追加を柏木に提案する。
安全装置とは一体何なんだろうか?僕は小さな声で影葉に尋ねる。
「安全装置っていうのは、C.O.R.Eを使うにあたっての、実習棟の機能の一つで、実習用のフィールド上での身体的ダメージから命を守るその名の通り安全装置だよ。」
「基本的にはこの安全装置はつけながら実習するのが一般的だね、そうじゃないと死んじゃうわけだし。」
「まぁでも、戦う当人同士が望めばこの安全装置を外すことも出来るんだよ。」
「これが昨日少し言っていた、柏木のルールの悪用による人殺しの方法だよ。」
「安全装置が無い状態でその試合が行われて死人が出ても、罪にはならないんだよ。異常でしょ?」
「この学校の本質は研究機関だから、仮に死人が出ても良いデータが取れればそれでいいのよ。」
「何せ、命の危機に瀕した方が能力がより激しく発現するからね…。脳内のアドレナリンやドーパミンはC.O.R.Eに影響を与えるだとか、なんとか…。」
「当人に強制はしないけど、本人が自主的にやりたいってのを止める理由は学園には無いわよね、当然。」
この学園にとっての常識を影葉は淡々と話す。
ちゃんと異常な事という認識があるあたり、
この学校の生徒は全員この制度に対して割り切っているようだ。
まぁこの制度がある代わりに、高価な設備や、質のいい教育等の、
学園からの恩寵も得ているわけで、ある種の等価交換とも言えるのかもしれない。
「ま、でも。実際、どちらが勝つかは何とも言えないわね、特科でも優れた能力を買われた場合と、研究者として優秀な場合」
「前者なら柏木に勝ち目はないだろうけど、九重さんは噂では後者の様だし…。」
「前者で特科に選ばれた、アイオンさんじゃなくて、命拾いしたわね、彼。」
そう語る影葉の様子は、明らかに柏木に対して嫌悪感を示している。
「良いのかな?柏木クン、
「一応先生としてやめておいたほうが良いとだけ言っておくよ。」
御堂は忠告をしつつも、
その顔を見るにこの状況を楽しんでいるように見える。
言葉と裏腹に、一切止める気は無い様だ。
「構わない、
「命を懸けた戦いじゃないと、やる側も見る側も楽しくないだろ?そういう事だ。」
柏木はまるで自分が負ける事など一切想像していない様子で堂々としている。
「俺が新参の転校生如きに負けるわけないだろ。」
「実戦経験の数が違うだろ、あまりにも。出不精の引き籠り風情が俺に勝てるとでも?」
柏木は余裕綽々と言った表情で、九重を挑発する。
彼は未だに九重を転校生と勘違いをしているようだが、
それを指摘する生徒は誰もいない。
恐らく、彼は今までに敵を作り過ぎた。
誰からも嫌われると、こういった不利益が被ることは、
今まで味わったことが無かったのだろう。
「そうだな。君のようなか弱い存在が、経験の浅い私にどうやって勝つんだろうな?」
「いやぁ、可哀想だ。頭も生き様も…。弱いのに頑張って吠えて、何を目指してるんだ?」
「社会に相容れる努力もしない、かといって体制に対して大きな反抗をするわけでもない。」
「お前はただの悲しい非行少年だよ、踏みつぶす価値すらないお前を周りは避けているだけで、誰もお前を本当の意味で恐れてなどいないさ。」
「が、優しい私が踏みつぶす価値のないお前を慈善の一環で踏みつぶしてあげるとしよう、感謝してくれたまえよ?」
九重は聖母マリアの様に手を前にして祈る仕草をしながら、哀れな目を柏木に向ける。
傍から見るに、いかにも相手を煽る為の演技である事が伺える。
当然、それを聞いた柏木は無言になりながらも、怒りに肩を震わせている。
「いいだろもう、さっさとやろう。」
「殺してやるよてめぇ。」
そう言って柏木は、苛立った様子で、一足先に実習棟へ向かった。
「そうだな、では行こうか。」
九重がそう言った
どうやら、御堂としてはコレも授業の一環にするようだ。
実習棟へ到着し、目的のフィールドに到着する。
一般的な1対1の戦いで用いられるフィールドで、地面は土で出来ており、荒野が広がるシンプルなフィールドと言える。
フィールドを囲むように観客席があり、その様相はローマ時代の闘技場を彷彿とさせる。
どうやら、観客席の人数を見るに、僕のクラスの人数より多くの生徒が集まっているように見える。
「まぁ、問題児の柏木と特科の生徒のマッチングなんて珍しいから、野次馬が来てるみたいね~。」
「当の柏木本人が、特化って気づいて無いのが滑稽だけど。まぁ自業自得よね~。」
「まぁ当人は頭に血が上って、観客席の人の数なんて気づいていないだろうけど。」
茶化すような声色で、影葉がそう評する。
「あ、ついに始まるみたいよ。」
「では、この時を持って、実習棟のD-4区画荒野フィールド、対象者は柏木瀬名と九重紅、セーフティは無し、実戦を開始する!」
御堂の高らかなアナウンスコールで試合の開始が告げられた。
開始の音と同時に柏木は、
右手に持つ刀を胸の前に突き出し、目を閉じて意識を集中させる。
「あれは、
「Emotion Resonance Amplification Device」 通称「E.R.A.D」
影葉曰く、簡単に言うと、感情のエネルギー抽出を補助する器具。
その形は剣、本、杖、銃、眼鏡と多種にわたるそうで、各々が各自適性に従って使い勝手の良いものを選ぶのが一般通用的らしい。
「私だったら弓だし、平坂君は何だろう?適性検査が楽しみだね。」
そう言って影葉は肩に担いだ弓型のE.R.A.Dを見せてくれる。
所謂コンパウンドボウと呼ばれる機械弓のE.R.A.Dだ、無機質かつ無駄のない設計にある種の美しさを感じる。
「私のC.O.R.Eはね~…、またのお楽しみってことで!お、とか言ってるとE.R.A.Dの顕現が終わったみたいだよ。」
影葉がそう言うと柏木の右手の刀から血のような物が滴り落ちる。
「あれが柏木君の能力、まぁ、おそらく血に関するC.O.R.Eじゃないかな?分かりやすくていいよね。」
何が良いのかはよくわからないが、C.O.R.Eはその人の欲望や深層心理を反映することが多いそうだ。
考察するに、柏木にとっての血は何かしらの意味を持つのだろうという事が想像できる。
「おい、お前は顕現させなくていいのか?」
顕現が終わった柏木が九重に問いかける。
「どこにその必要が?」
「早く来たまえ、非行少年。」
そう言うと、九重の右手にどこからか直剣が現れる。
銀色に青のラインが入ったシンプルな物だ。
「どこまでも俺の事を舐め腐りやがって…、まぁいい。力の出し惜しみをして後悔するのはお前だからな。」
そう言って柏木は徐々に九重に対して距離を詰める。
「一応忠告しておいてやる、俺に一回でも斬られたらお前は終わりだ。」
「じゃあ、そろそろ死んでくれるか?そのまま、動かないで切られてくれると、俺は助かるね。」
柏木は、勝ちを確信した様子で、九重を挑発する。
「長話は終わりか?あまりに長いので今夜の献立を考えていたよ。」
九重はそう言うと、柏木は
「終わりだよ、献立なんて気にしてんじゃねぇ。どうせ今日までの命だろうがぁ!」
そう言って柏木は九重の方に走り出して斬り掛かった。
「やっと始まったか、ではこちらも容赦なく行かせていただこう。」
そう言うと、九重は足元の砂を左手に掴んで柏木の方向に投げた。
「はぁ!?てめぇ!!!」
まさか柏木も九重が搦め手から入るとは予測していなかったのだろう。
しかし、なんとか反応できた柏木が、砂から眼を腕で防御しようとしたその時。
柏木の持つ刀が落ちる。いや、刀が落ちたのではない、柏木の手首から先が落ちている。
恐らく、九重の剣によって切られたのだろう。
「ぐ、あぁぁぁっ……!!」
「まずい!九重クン
アナウンスを用いて、御堂が制止するも、九重はそれを聞く様子もなく、
「ああ、なんだったか?一回でも斬られると?」
「申し訳ないな、私の剣は君と違って、なまくらでね。何回も切るとするよ。」
そう言って九重は地面に蹲りながら悶える柏木の右足に剣を指す。
柏木はその痛みに耐えかねて、身体が跳ねるように一瞬浮かぶ。
「で、次はどうしようか?ここかな?」
九重は剣を勢いよく引き抜いて、柏木の左足を付け根から切り飛ばす。
「う~ん、左腕は残す?残さない?どうしようか?観客席にアンケートでも取るか?」
「なぁ、柏木君。君はどうしたい?」
そう言って九重は苦しみに悶える柏木の顔を踏みつける。
「なぁ、痛がってるフリしてないで、早く答えたまえよ。」
そう言って九重はより足に力を込める。
「わはった…
先ほどまでの勢いは何処へ行ったのかと思うような、弱々しい声が柏木の口から漏れる。
「ああ、それで?どうしたい?」
九重は柏木に問う。
柏木の顔には恐怖の顔が張りついている反面、
九重の顔には特段、笑顔が浮かぶわけでもなく
つまらなそうな様子で柏木に問いかける。
「
柏木は九重に懇願する。
「ああ、なんだそんな事か、もう死にたいといえば望み通りにしてやったものの…。つまらん奴だな。」
「御堂教諭、終わりで構わないぞ。止めるフリをするのも疲れただろう。」
そう言って、九重は後ろに振り返って、場を収めようとする御堂に声をかける。
「なんだ、バレてたのか。ボクもボクで立場止めないとまずいんでね。中々面白かったよ。」
御堂は自身の持つ生徒が惨い姿になっているにも関わらず、軽い口調で言葉を返す。
「では、後の処理はお任せします。御堂教諭。」
そう言って、九重はフィールドの出口へと歩く…。
今回の戦いにおいては、時間こそ短くはあったが、強く印象に残るものだった。
最初は活気づいていた観客席も、柏木が手首を失ってから、
九重による一方的な残虐ショーを目の当たりにして、殆どの生徒が顔を背けながら観戦していた。
今や、観客席にいる人数に対して、とても静かな異様な空間になっている。
僕の横に座る影葉も、あまりの衝撃に呆然とした表情をしている。
少しして、キィと観客席の扉が開かれる音が聞こえる。本来さほど大きくない音のはずが
静寂が支配する今の状況にとっては特徴的な音であり、皆が注目する。
それは、先ほどまで戦っていた九重の姿だった。
観客席越しの姿と違い、柏木を斬った際の返り血が彼女の制服に鮮明に刻まれている事がわかる。
彼女は、首を巡らせ辺りを見渡すと、その瞳は僕を射止める。
彼女は僕を見るに、明らかに僕に向かってコツコツと、足音を立てて近づく。
そうして、彼女は僕の目の前まで来ると。
正面から僕を抱き寄せる。
彼女の背は僕よりも高く、抱き寄せるというよりも殆ど抱擁のそれに近い。
そして、そのまま僕の顔を掴み、僕の初めての唇を奪った。
「ちょっ…え、ハァ!?」
横にいた影葉は驚きの声を上げる。
僕は唇を奪われながらも、彼女の眼を見つめる。
彼女も僕の眼を見つめている。
なぜか、初めてのキスなのにも関わらず、僕は安心して、とても穏やかな気持ちになっていた。
本来あるべき場所に戻ったかのような安心感を感じている。
少ししてから九重は顔を離す。
「どうだ?真。私の初めては?」
九重に、そう言われて少しすると
突如、恥ずかしいという気持ちが雪崩のように押し寄せて、
僕は大きな気持ちの波に翻弄される。
先ほどまでの冷酷な彼女の姿と、
今僕の前にいる情熱的な彼女の姿。
この時、僕の心に
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