緑上 葉言(3)
ドサドサドサッ!
「痛…く、な、い?」
「葉言?大丈夫?」
なんと目の前には理白くんがいた。なんと、私に覆いかぶさって守ってくれたのだ。
「様子を見に来たら…このありさまだ」
理白くんは笑った。
「りっくん!笑った!」
私は思わず立ち上がった。りっくんがこんなに笑うとこ、初めて見たから…!
「りっ…くん?」
「あ!」
しまった、さっきまで過去を思い返してたから、思わず昔みたいにりっくん呼びしちゃった!恥ずかしいよぉ…!
「ご、ごめんね、理白くん…!」
「そのままでいいよ。」
え…?
理白くんは私をじっと見た。
「りっくんでいいよ。むしろそっちのほうがいい。」
ドキン
私は恥ずかしさとむずがゆさで、いてもたってもいられなくなった。
「あ、そ、そうだ!青はかって知ってる!?」
「…知ってるよ。面白いよね。特に、二巻とか。」
私はりっくんも二巻が好きだと知って嬉しくなった。
「じゃあさ、好きなキャラは…」
「ごはんよー」
私の声にかぶせるようにお母さんの声が響く。まぁ、まだ時間はたっぷりあるんだ。続きはまた今度にしよう。あと、勉強も。
「よし、降りようか。」
りっくんは私の手を引いて歩き出した。
懐かしいなあ。昔はよくこんな風に手をつないで歩いたっけ。
でも、私の手を握る今のりっくんの手は、ごつごつしてて、男の子らしい手だった。
「ごちそうさまでした。」
りっくんが立ち上がり、食器をキッチンまで持っていく。さらに食器を洗い始めた。
「あらーいいのよー私が後で洗うからー」
お母さんがそう言ったけれど
「いえいえ、お気になさらず。それに水仕事は手荒れの原因にもなりますから。」
にっこり笑ってりっくんは再びお皿に目をやった。
本当、りっくんはすごいなぁ。私なんて毎日この家いるのにお皿洗いなんてめったにしないよ…。
私はりっくんに目をやりながら、唐揚げをひとつ口に入れた。
りっくんがお皿洗いを終え、客室に戻るとお父さんが「すごいなぁ」と、お母さんが「よくできた子ねぇ」と感心していた。
思い返せば、りっくんは小さい頃からしっかりしてて、大人びた子だった。たった二歳差なのに、りっくんはよく気を使ってたし、だらけたり、羽目を外しているところは見たこともなかった。
私は「ごちそうさま」と言って部屋に向かった。
「「あ」」
向かう途中りっくんと鉢合わせた。
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