第15話 同じ格好

「夜翔なの?」

「ああ、無事で良かった…」


──なんで……夢で見たあの人と、同じ格好……?


混乱する心とは裏腹に、頬に冷たいものが伝った。

っ……私…泣いてる……?


なんで?どうして…?

泣き止みたいのに、涙は止まってくれなかった。

まるで、これは自分の意思じゃないかのように……。


私が泣いていることにびっくりしたのか、夜翔だけでなく影森までもが狼狽えている。


………違う…これは泣きたくて泣いているんじゃない……ただ……涙が止まらないだけ……


そんな言葉も喉がきゅっと締めつけられて言うことが出来ない。


「縛られている手首が痛かったのか…?」


影森は慌てて手首を縛っていたものを解いた。それは布だった。手首を傷つけないようにロープではなく布で縛っていた。


この人……最初は怖かったけど、意外といい人かもしれない……。


「おい、てめえ……沙音に何しやがった」


夜翔は殺気の孕んだ低い声で影山に言う。

影森は怯えるどころか、何も思っていないように夜翔に向き合って答える。


「何もしてないよ。ただ、沙音を誘拐したら夜翔はどんな反応をするのだろうなって」


だからか、『こいつを連れて帰れば、“神牙”も動くに違いない……そうだろ?』誘拐されたときに聞いたこの言葉は夜翔の反応を見るため、だったのか。


口調が怖かったし最初、目覚めたときも正気じゃないような雰囲気を出していたから。狩られるっ……て思ってた。

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