第15話:プロの甘味と、秘めたる音

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@CrimsonShield_Official 2025/07/28 10:00:00 JST

#オフの顔 #リーダーの苦悩 #音楽と共に

今日から朝まで会議。

プロの世界は甘くない。

それでも、ステージに立つために。

時には甘いもので糖分補給…?(笑)


@CrimsonShield_Ritsuka 2025/07/28 10:30:00 JST

#癒しは猫 #メンバー愛

ライブの合間は、みんなでスイーツ食べるのが楽しみなんです!

晶さんの意外な一面、見ちゃった♪

薫もいつも猫の写真見せてくれるし、みんな可愛いんです!


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怜はカウンターの奥から、

カフェスペースを静かに見つめていた。

陽光が窓から差し込み、

埃の粒子がキラキラと舞う。

規則正しい空調の音が、

店内に微かに響く。

クリムゾン・シールドのメンバーが、

練習の合間に休憩している。

彼女たちは、プロを目指す

ストイックなロックバンド。

その佇まいからは、

一切の隙が見えない。

だが、怜は知っている。

彼らが全員大の甘党であることを。

スタジオの冷蔵庫には、

メンバーそれぞれが持ち込んだ、

大量の限定スイーツが隠されている。

その事実を知っているのは、

おそらくこのスタジオで

一番長く働いている怜だけだ。

彼女は、そんな小さな秘密を

どこか微笑ましく思っていた。


【プロの隠れた素顔】

神崎 晶が密かに、

大きなパフェを食べているところを、

怜に見つかった。

チョコレートソースと

クリームがたっぷりの、

いかにも高カロリーそうなパフェだ。

晶の頬には、

わずかに白いクリームが可愛らしく付いている。

晶は一瞬、子供のように気まずそうな顔をした。

その視線に、戸惑いの色が浮かぶ。

次の瞬間、彼女はすぐに表情を取り繕ったが、

その動きは怜の目には

明確に捉えられていた。

怜は無言で、

淹れたてのブラックコーヒーを

晶の前に差し出す。

香ばしい湯気が立ち上り、

甘いパフェの香りと混ざり合う。

晶はコーヒーを受け取り、

小さく「…サンキュ」と呟いた。

普段の彼女からは想像できない、

柔らかな声だった。

怜の視線は、

プロとして厳しくも、

人間らしい一面を持つ彼女たちに向けられる。

(完璧に見えても、所詮、人間は甘いものには弱い。

その本質は、誰もが同じだ。

だが、それが、彼らの人間味か。

かつての私たちには、

そんなささやかな余裕さえもなかった。

甘いものに手を出す時間も、

それを隠す必要も。)

彼女たちの意外な素顔に触れ、

怜の心に静かな興味が湧いた。

どこか、かつての自分に足りなかったものを

見ているような感覚だった。

それは、孤独だった過去の自分には

理解できなかった、

温かい感情の兆しだった。


【リーダーの苦悩、怜の視線】

リズムガーデンのカウンターで、

神崎 晶が疲労困憊の様子で

スマホを操作している。

目元にはうっすらとクマ。

常に鳴りっぱなしのスマホの通知音に、

疲労の色が濃い。

眉間の皺が、

彼女の抱える重圧を物語っていた。

楽曲制作の締め切り。

メンバーのスケジュール調整。

ギャラの交渉。

ライブのブッキング。

プロの道は、

音楽を奏でるだけではない。

彼女はリーダーとして、

その全てを背負っている。

怜は、そんな晶の苦労を静かに観察していた。

晶の指が、

スマホの画面を滑る。

その動きには、

微かな苛立ちが感じられた。

その指先から、

張り詰めた緊張感が伝わってくるようだ。

晶がふと顔を上げ、

怜と目が合った。

怜は表情を変えず、

ただじっと晶を見つめ返す。

晶は少し居心地悪そうに視線を逸らした。

冷たいコーヒーのカップを握る。

(プロの道は、常に茨の道だ。

甘くない。

…お前は、この重圧にどこまで耐えられる?

この先、かつての私のように、

全てを失う恐怖を味わうことになるのか。

仲間との軋轢、

純粋な音の喪失、

そして、自分自身の居場所さえ見失う痛みを、

お前にも味わうのだろうか。)

怜の脳裏に、

かつての自身の苦悩がよぎった。

重い、鉛のような感覚が、

胸の奥に広がる。

プロとして高みを目指すことの厳しさを、

怜は再び実感する。

しかし、同時に、

晶のその苦悩の先に、

かつての自分にはなかった

新たな道があるのではないかという

微かな予感も抱いていた。

それは、晶が自分とは違う、

新たな道を切り開くことへの、

かすかな期待だった。


【途切れない音楽への情熱】

カフェの奥のラウンジから、

クリムゾン・シールドの

話し声が聞こえてくる。

彼女たちは次のライブに向けて、

新曲のアイデアを出し合っている。

熱のこもった声が響く。

鳴海 律架がテーブルを指で叩き、

新しいリズムパターンを試している。

その音が、空間に心地よく広がる。

氷室 楓は、理論書を片手に、

冷静にフレーズの構成を提案する。

朝倉 薫はスマホを使い、

その場でキーボードアレンジを試していた。

柔らかな光が、彼女たちの横顔を照らす。

移動中の車内でも、

指でリズムを刻んだり、

スマホで音源を聴き込んだりしている姿を、

怜は何度か目撃していた。

どんなに忙しくても、

音楽に対する情熱を失わない彼女たちの姿に、

怜はわずかに心を動かされた。

彼らの真剣な眼差しは、

まるで夜空に輝く星のようだ。

怜はかつての自分たちブレイズの姿を重ねる。

(あの頃の衝動か。

まだ、失われてはいない。

いや、むしろ、より強固なものになっている。

そして、彼らはあの痛みを乗り越えられるか。

私にはできなかったことだ。)

その思いが、

怜の心に静かに広がる。

彼女たちの音楽へのひたむきさが、

自身の心に温かい感情を呼び起こすのを、

怜ははっきりと感じた。

それは、まるで凍っていた心が、

ゆっくりと溶け出すような感覚だった。

新たな希望の光が、

怜の心に灯り始めていた。


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@CrimsonShield_Official 2025/07/28 13:00:00 JST

#オフの顔 #リーダーの苦悩 #音楽と共に

今日から朝まで会議。

プロの世界は甘くない。

それでも、ステージに立つために。

時には甘いもので糖分補給…?(笑)


@CrimsonShield_Ritsuka 2025/07/28 13:30:00 JST

#癒しは猫 #メンバー愛

ライブの合間は、みんなでスイーツ食べるのが楽しみなんです!

晶さんの意外な一面、見ちゃった♪

薫もいつも猫の写真見せてくれるし、みんな可愛いんです!


@RhythmGarden_Ray 2025/07/28 14:00:00 JST

#プロの現実 #甘味 #人間模様

所詮、人間は甘いものには弱い。

だが、それが悪いとは言わない。


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【次回予告】

響:「オーナーさん、また無茶ぶりかな…?」

神崎 晶:「合同練習?望むところだ」

奏:「き、緊張するね…!」

怜:「…手加減はしない」


次話 第16話:熱狂の共演、音の激突

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