第26話 ミサイル飛来

例の気まずいお風呂事件から5日が経過した。

あれ以降、ワンルーム・ディストピアとザッソウには透明な薄い膜が張られてしまい、打ち解ける事など出来る筈もなかった。革命軍も政府への攻撃準備を進めているためそもそも話しかける機会が減ってしまったのも要因だ。というのも、ザッソウはこの革命軍魔法少女の中ではエースと呼ばれる存在で、攻撃の要とも言える存在なのである。二人でのほほんと話すなんて事は出来なかったのだ。まぁ、何となく二人が避けていたことも理由の一つだが。

そんなこんなで、ワンルーム・ディストピアは今日も訓練場でぼーっと過ごしていた。少ない体力を補うために筋トレでもした方が百倍有意義なのだが、"転移するから平気平気!"とサボっていやがるのだ。

「暇だー。くっっっそ暇。」

ぐで○まの様に寝そべるクソニート。暇なら動けばいいのにそれは嫌だと駄々をこねるので、本格的に救いがない。これでも一応、革命軍の仲間に認定されているので出撃ィ!されるのだが焦りは全く感じられない。その転移が効かない相手に負けたということを忘れているらしい。どうやらクソニートの脳ミソは痴呆老人並みらしい。その歳で哀れなことである。

(作戦も聞かされたけど、纏めればゴリ押しゴーゴー!って作戦だったしな。はぁ〜、やっぱり世の中暴力が一番って事かよ。)

レフからワンルーム・ディストピアに下された使命はただ一つ。

『ワンディスちゃん、君は襲いかかってくる敵を倒すだけでいいよ。他のことは私達が何とかするからね。』

実にシンプルで、短絡的思考クソニートに合った命令である。戦闘、ひいては戦術などはド素人のワンルーム・ディストピアには複雑な指令を任されても達成出来ないのだ。だったらむしろ、分かりやすく脳筋な指令のほうが何倍もやりやすいのである。

「最優先目標はエンヴィーナス、ねぇ。にしても、嫉妬する女神って名前やばすぎるだろ。なかなか香ばしい匂いがしてくるぞ。」

(とはいえ、相手がザッソウみたいに素早く硬い可能性もあるし策を練っといた方がいいな。って、そんなのすぐ出来るわけねーだろ!こちとら部屋でぬくぬくゲームしてるだけのニートだぞ!)

ワンルーム・ディストピアが心の中でそう喚いた瞬間、


どぉごごぉぉぉおおおおおっっっっっっん!!!


建物全体が大きく震える。よほど衝撃が大きかったのか、ぱらぱらと土ぼこりが降ってきた。

耳をつんざくような深いな警戒音が鳴り響き、どたばたと建物が一つの生き物であるかのように揺れ動く。

「各班持ち位置につけぇーーー!武器を忘れるなぁー!!!」

「下の子達を安全な場所に避難させてっ!最優先よ!」

「バリケード班、いそげぇーー!!!とっとと足を動かせ!」

一気に混乱状態に陥った施設に緊急用の赤いランプが点灯し、そこらじゅうから轟音が鳴り響く。

怒号に悲鳴、叫び声…、音の洪水となった施設は平和からひりついた戦の場へと一気に様相を変えた。

「あぃええ?なぁーにこれ?」

起き上がったワンルーム・ディストピアが忙しなく人達を確認し、その危険度を肌で感じ取る。

(あれ、これヤバくね?慌てふためく革命軍になんか襲われてる施設。俺に残ってるのは、万全に回復した体力と気力。…ん?今なら脱出のチャンスじゃね?転移を繰り返すなりなんなりして、愛しの故郷に帰れるのでは?)

コンマ数秒のうちにこの結論に至ったワンルーム・ディストピア。その思考速度は中々のものだ。

「ひゃっほーレッツ・ゴー帰ってやるよっ!!!」

青ざめた顔から一転して生気を漲らせたクソニートがダッシュで階段を駆け上っていく。彼が知る出入り口は初日に通った場所しかないため、正面から出てゆくしかないのだ。

その足取りは軽く、まるでブタ箱から脱獄する囚人のようである。

「どけどけどけっー!」

階段に押し寄せた人々の海を押しのけながら、光の射す方へ向かっていくクソニート。

(逃げてやるぜ、ヒャッハァァァー!!!)

ガンッと扉を開けて地下から脱出をすると、朧気な記憶を辿って出口へと向かってゆく。

(勝ったッ!第三部完!)

民家の玄関へ足を進め、勢いよく扉を開ける。目には希望が溢れており、柄になくキラキラと輝いている。

しかし、珍しく瞳に灯ったハイライトは外の景色を見て素早くフェードアウトしていった。

「………はぁ?」

ワンルーム・ディストピアの視界いっぱいに広がるのは、焼け爛れた大地だった・・・・・・・・・・

今は春だが、連邦にとってはまだ雪景色が美しい季節だ。だから、目に飛び込むのも来たときと同じような真っ白な雪の筈である。

だが、ここにあるのは無残な景色だ。驚愕に目を見開くワンルーム・ディストピアに、聞こえるはずもない声が耳に届く。


「ワンディス殿!」

「ふぃー、疲れたぜ。」


掛けられたのは、久しく聞く事がなかった二人の言葉。

そして、

「いやぁ、ダイナミックだね。」

異様なほどに平坦な革命軍リーダー、レフの声が響く。

焼かれた大地、何故か連邦に居る二人、先程の緊急事態。

猛烈に嫌な予感がワンルーム・ディストピアを襲う。

「えーと…、何が起こったんだ?」

レフが横に居るというのに素の口調に戻るクソニート。まぁ、ミンとINМインムの前なので取り繕うのは恥ずかしいのだろう。親の前では真面目だが、友人といると口が悪くなるようなものだ。

「ワ、ワンディス殿でござる!久しぶりのワンディス殿!」

「言語中枢イカれてんのか?」

要領を得ない回答にワンルーム・ディストピアの辛辣な声が飛ぶ。そんな様子をみかねて、年上であるミンがやれやれとため息を吐い後、説明をしだした。

「まぁまぁ、ハイジンもそう責めるな。これでもINМは頑張ってやって来ただぜ?タブレットで居場所が連邦だって分かったから密入国の準備をして…。」

「待て待て待て、密入国?頭がとうとう花畑になったのか?」

お前だって密入国だろうが。

「ちょっーと色々な所を脅s…、肉体言語で"話し合い"をして何とかここまで来たんだよ。」

「怪しい部分のオンパレードなんだけど?つーか、なんでこんな風になってんだよ。」

「それなら簡単でござる!協力者がいち早くワンディス殿の場所に駆けつける為のぴったりのアイテムをくれたのでござる。」

(ぴったりのアイテム?怪しすぎるだろそのド○えもん。)

「なんだ?地球破壊爆弾か?それとも、銀河破壊爆弾か?」

巫山戯るクソニート。だが、INМしんじゃは驚きと喜びの顔を浮かべる。

「流石はワンディス殿、近いでござるよ!」

「え?」

(うっそだろお前。いや、嘘だろ?そうであってくれ。頼むから…!)

必死に嘘であるように祈るクソニート。心から祈るとは殊勝な心がけだ。テストが楽でありますように、などと欲望丸出しで祈るよりかは遥かに健全的と言えよう。

まぁ残念なことに、この儚い祈りは粉々に砕けたのだが。

ニコニコとした笑顔でINМは信じたくない事実を突きつけた。

「拙者とミン殿は、ミサイルに乗ってやって来たのでござる!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「オーマイガッッッ!!!」

くそにーと は めのまえ が まっくら に なった !


オマケ


作者はドラえ○んが大好きです。最近、の○ハザがようつべで復活してきて嬉しいの極み。





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