ヴァンパイアの詩

ほほ しず

the Dusk

図らずも

吸血鬼にされてしまった青年が

永遠の生という孤独に耐えかねて

長い長い旅に出た


昼間を避け

夜露をワインの代わりにし

梟に艶やかな歌声を聴かせ

その強靭な脚で

たくさんの川と山を越えて


ある月の明るい夜

ヴァンパイア殺しが居るという

古城に辿り着いた


そこには青年と同じような歳にみえる

若者がひとり住んでいた


蝋燭の炎が揺らぐたび

その若者は

男にみえたり女にみえたり

嬉しそうにみえたり

悲しそうにみえたりした


彼は言った

僕の血は特殊でね

君を永遠に眠らせることができる


でも寂しくはないよ

ずっと僕が眠る君の側にいる

この世界が終わるまで


青年は幸せのあまり

ルビーの涙を一粒

ぽろりと落とした


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