×16のマジックチューブ!やれるのか?あのミミックを!!
(手に持った偽装解除の鈴が、ロクの固く握りしめた拳の中だけで空しくコンコンと鳴っている。)
「ガチャ衛門!レイスは何処にいった!?」
(ロクは、焦燥に駆られ、あたりを見回した。)
「あなたの鈴が鳴っていないのでレイスは消えてしまいましたよ」
(ロクは何も言わず、荒い息を吐きながら鈴の紐を腰のベルトに結び付けた。その途端に、高鳴る鈴の音が、薄暗い通路に再び響き渡る)
(リリーン)
「あれです!間違いなくこちらに向かって来ていますよ」
《完全に来てるよ》
《早く銀食器を出しなさい!ロク早く!》
《うわ……終わった》
《RUNRUNRUN》
そ、そうでした、助かります。さっき手に入れた銀製品でもレイスのダメージを与える事は出来るはずです。見つけた!このカプセルのはず!
(グフワシャァーと血液を凍らす様な悲鳴が、まるで耳元で響くかのように迫り、そこまでレイスは飛んで来ている。)
(リリーン)
銀製なら何でも行けます!何でも投げつけてやりましょう。カプセル内では小さくなっていますから、こうやってくださいね!
(カプセルから飛び出したナイフやらフォークなどが『ポンッ、ポンッ』と音を立てて元の大きさになっていく。)
(リリーン)
《そんなたくさん入っていたのか》
《これでレイス倒せる?》
もう、力いっぱいに投げてやりましょう。投げナイフスキルがあれば最高なんですけどね。『数打てばなんとやら』で行きますよ。
(キシュズワギォォォンワァァチブブブブゥ)
うあぁ。なんだこの悲鳴は……それとも何かの振動でしょうか?
(リリーン)
見て下さいレイスが消えていきますよ。これは勝利でしょうか?
《やったー!勝利!》
《え、マジ?終わった?》
「あの~、まわりの偽装がどんどん剥がれていってますよ。
どうやら今のレイスも偽装だったみたいですね」
「おいーそれはないだろう。それじゃあ俺たちはどうなるんだよ」
《ロクさん、落ち着いて!》
《偽装ってマジかよ…》
「あいつらに食べられてしまうと思います。わたくしは物理攻撃には弱いですから」
あーその。あいつらと言うのはあれですね。ミミックです。ほら、あっちにもそこにもいますね。いやー『群れを成しているミミック』何て聞いた事ありませんよね。ははは……。
「これがうわさに聞く『ミミックの巣』だと思いますよ」
「そ、そんなのがあるのかよ!」
《うわーやばいなー》
《初めて聞くんですけど『ミミックの巣』って》
「なんで囲まれているんでしょうねー『鈴』を過信していたのでは?」
「それはいいから、すぐガチャガチャやるぞ!何でもいいから全部出してこの場を抜け出すぞ!!」
(ロクは、ガチャガチャをしては『ポン』と開けて、またガチャガチャする)
「ガチャ衛門、よくまわりを見ていてくれよな」
「はい、右側に七匹……左側に四匹……」
「いや、数えなくていいんだが……で、真ん中には?」
「あなたが邪魔で見えません」
(ガチャガチャをしていた手を止めて、ロクはゴクリと喉を鳴らすと、ゆっくりと後ろに振り返ってみた。)
ミミックがすごい数いますね~。皆さんも生きているうちに見る分のミミックをここで見たと思いますよ。そして……あれを見て下さい……他のミミックと比べるとわかりずらいですが――あのデカいやつもミミックです……よね?
《やばい大きさだって!》
《x26さん待ってるので連絡ください》
《ここから願っています。助かりますようにと》
「あれは『ミミック・クィーン』ですね、わたしら一口でペロリだと思いますが何故か襲ってきませんね」
「ガチャ衛門……どうしてだと思うんだ。この状況は僕の生前いた世界でだって聞いた事ないぞ」
「そんな事よりあっちを見て下さい」
(ガチャ衛門のライトアイで照らされた先には、わずかに光が差し込む通路がある)
ここにいても仕方ありませんので、あの通路に向かいますね。罠でない事を願っていてくださいね頼みます。
(ロクとガチャ衛門は、すぐそこにひしめくミミックたちに、刺激を与えないように、息を殺してゆっくりと歩き出す。)
《まさか、逃げるとは思わなかった》
《生きて帰ってこいよ!》
はぁーはぁー。何とか通路まで来ましたけど、この先はどうしましょう?
「フフャガヒョウウウ」
うわぁ!ミミックの一匹が……付いて来る。走れ~!
(その動きは、先ほどまでの群れの鈍重さとはまるで違う。ガタガタと小さな足が床を叩く音が、ロクの鼓動に重なる。)
ハァッ、ハァッ!なんでこんなに速いんだ~!?
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