恥部に葉っぱ一枚ついた姿で異世界召喚されました。
地雷源のチワワ
第一部 旅立ち編
第一章 異世界召喚
第1話 出会い
喉を伝うぬるい酒。
薄暗く仄かに灯るランプは今にも消えてしまいそうだ。
こんな世界でカウンター席に一人だけにもかかわらず店の中は賑やかだ。
悪くはないな。
そんな俺は働いて得た日銭で今日も同じ夜を過ごしていた。
周りのテーブルについているのは仕事帰りと思われる甲冑姿の兵士達の姿。
腰には剣、背中には盾といったコスプレでしか見たことのないような装いをしている。
別のテーブルには軽装の鎧に、これまた剣を身に着けた男。
そして神官っぽい装いの女性にローブの男と弓を背負っている男がいる。
ゲームや異世界ファンタジーで言う所の冒険者みたいな人達だ。
冒険者ギルドとかあったりしてね。
その他は町の人達が今日もワイワイと楽し気に酒を飲んでいる。
そんな赴き深いコスプレバーみたいな飲み屋に違和感を覚えることなく見慣れてきてしまったのはつい最近の事。
そんな中で平然と酒をあおっている俺はどうかしていると思う。
かくいう俺も今は腰に一本の刀を身に着けているのだから慣れというのは怖いものだ。
どうしてここにいるのか。
何をしたらいいのかわからない。
どう生きたらいいのかも。
「マスター。もう一杯頼むよ」
「おいおい、あんちゃん。今日も飲みすぎだぜ? ここんところ毎日じゃねえか」
「いいんだよ。どっちみち酒に酔ってられるのも今だけだし、ちょっと寝ればすぐ抜けちゃうんだから」
「お、おう。そうか。まあ、あんちゃんがここで潰れて寝なきゃそれでいいけどよ」
「大丈夫大丈夫!」
こうして普通に言葉も通じるのも違和感しかない。
どう見ても日本人じゃない見た目の人達なのに日本語が伝わるし日本語が返ってくる。
こんな現実を見せられても未だ夢見心地だ。
異世界に召喚されたなんて質の悪い冗談だ。
そして一杯、また一杯と飲むごとに日本のお酒の味が恋しくなる。
この感覚がより一層、異世界に召喚されたことが現実であることを強調してくる。
ああ、また飲みたいなぁ。
ウィスキーを適量入れ氷を躍らせてから注ぐ冷ややかな炭酸水でつくる喉越しの心地良いハイボール。
甘いカクテルもいいなぁ。
ブランデーにオレンジのリキュール、レモンジュースを入れてシェイクしたサイドカー。
キリっとしたあの味わいも捨てがたいなぁ。
ジンにドライベルモットをステアし癖になるオリーブを添えたマティーニ。
甘いものと一緒に飲むアイラも良かったなぁ。
今となっては……。
飲んでいるのは一杯が格安のフェーテという異世界酒。
甘酸っぱくてベリー風味が特徴だけれど正直味はあまりよくない。
まあ酔えれば良いようなお酒だろう。
けれどそんな酒でも飲まずにはいられない。
懐かしいお酒の味を思い出しながらため息交じりに異世界のお酒を飲む。
もうあの味を味わうことができないのだろうな。
この酒は今のどうしよもない自分を表しているみたいだ。
その時だった。
店のドアに備え付けられた鈴が響いた。
「いらっしゃい……ませ!」
マスターの態度がどこか丁寧になるのがわかる。
その瞬間、賑やかだった店内も一瞬だけ静かになり入ってきた客が一瞬で注目の的になった。
偉い人でも来たのだろうかと考えたけど、その予想は概ね当たっていた。
入ってきたのは金色の長い髪をなびかせる一人の少女。
俺はこの人を知っている。
名前はアメリア様と呼ばれているいわゆる貴族のお嬢様だ。
まっすぐとカウウンター席へと来てマスターに挨拶をする。
「こんばんは」
「お一人ですか?」
「はい」
やっぱりいつ見てもすごいな。
綺麗な容姿に綺麗な青い瞳。
異世界にも勝組というものはいるものなんだなと思い知らされるような奴だ。
それから俺は異世界へ来て少し前にひどい目にあった事を思い出す。
「こちら、ご一緒してもよろしいですか?」
酒を飲もうとした手が止まる。
冷静になりもう一度、アメリア見た。
やばい、動揺して二度見してしまった。
綺麗な青い瞳はなんとまっすぐに俺を見ていたのだ。
さっきより少し静かになってしまった店内がより一層緊張感を捲し立ててくる。
「ど、どうぞ」
「ありがとうございます」
俺はとりあえずカウンターの椅子を引いた。
にこっと可愛らしい笑顔を作ってから座りずらい椅子に腰かけるお嬢様。
どう見てもまだ20代じゃないだろう。
どうしてここに来たんだ?
わからない。
俺はどうしてこうなったのか隣の少女がマスターへと飲み物を注文している間に必死に思い出すことにした。
この国、アーグレンはメールヴァレイ帝国という魔王が支配する国と戦争をしている。
つい一週間くらい前のことだ。
そのメールヴァレイがこの王都に攻め込んでまるで地獄を絵にかいたような中で俺は召喚された。た。
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