世にも奇奇奇奇奇奇奇奇奇

小林丸々

宇宙人の価値観

👽️「地球に来るのはもう7回目です。私は地球人が大好きです」

👨「それはうれしいな」


👽️「地球人は優しいです」

👨「そうですか?」


👽️「はい。私が好きだと言うとよろこんでくれます」

👨「それは普通のことでしょう?」

👽️「そんなことないですよ。宇宙での常識ではありません」


👨「理解できないな。

宇宙人は他人から好きだと言われてもうれしくないんですか?」

👽️「はい。うれしくありません」


👨「文化の違いかな」

👽️「文化ですか。たしかにそうかもしれません。

我々の多くは広大な宇宙空間に散り散りに存在しています。

世界を織りなす構成要素の一つとしてより、個体としての意識が強いのかもしれません」


👨「うーん、むずかしい話ですね」

👽️「そうですね。私も理解できているわけではありません。

質問をしますが、地球人はどうして他者から好きだと言われるとうれしいのですか?」


👨「それは、自分の価値を実感できるからじゃないですかね」

👽️「それは理解できます。

需要と供給のバランスが価値を定める。

他者から好まれる物の方が価値が上がります。

それは宇宙でも適用される、一般的な法則です」


👨「だったら、我々の考えをくみ取れますね」

👽️「いいえ。それでも優先順位というものがあります。

自身の価値を上げることがそこまで重要なのですか?」


👨「重要だと思いますけど……。

何よりも重要だと答える人間もそれなりにいるんじゃないかな」

👽️「なるほど。やはり地球人は変わっています。

この惑星の中でもきわめて特別な種と言えるでしょう」


👨「地球でも特別、ということですか?」

👽️「はい。地球上でも特殊な存在です。

だって、もしあなたが好きだと伝えてもーー」


とても大きな顔をした宇宙人は、おだやかな口調のまま続けた。


👽️「牛、豚、鳥、魚は喜ばないでしょう?」

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