第56話 マダム・パピル
セイヴァース総帥ライザスの招待を受け、気獣士達の無人島サバイバルの賭けに参加していた謎の美女、マダム・パピル。
彼女は賭けの途中でセイヴァースとの通信を遮断し、本来の目的を遂行させようと連絡を取っていた。
相手はブラックウッド五樹木の一人ダミアンであり、無人島へ先に潜伏させたクリストファー、フェイロ、ソニアがそれぞれ敗れ去ってからダミアンに気獣士捕獲を命じていた。
無論、ソニアがセイヴァースの雇ったスパイである事も察していた彼女はソニアを完全なるブラックウッドの戦闘マシーンに変える事も考えていた。
しかし、セイヴァースが仕掛けた無人島の映像をジャックし、ダミアンが敗れ去る姿を垣間見たパピルは、その表情を歪ませる。
「ダミアンが倒されるなんて…。誤算だったわ…。」
無人島サバイバルの全ての戦いの勝敗を的中させてきた彼女の予測が最後の最後で打ち破られた。
「セイヴァースに集められた正規の気獣士達…。彼らの強さは私の想定を大幅に上回っていたようね…。」
ブラックウッドの最高傑作とされる五樹木の一人ダミアンを打ち破った彼らの連携にパピルは驚きを隠せなかった。
ユーリー、レイラン、ユキリナ、そしてヒロノスケ。
次々に映像に流される正規の気獣士達にパピルは、苛つきを覚えた。
特にダミアンを相討ち覚悟で倒した志摩寛之介の力にパピルは脅威すら感じる。
「あれが戦場の狼と呼ばれる傭兵…志摩寛之介の力か…。一瞬とはいえ、あのダミアンの闇の力を凌駕するとは…。所詮は坊やだと力を読み誤った私の完全なるミスだわ…。」
滞在する部屋のベッドに倒れ込み、悔しさを露にするパピルだが、それはすぐに不敵な笑いに変わった。
「フフッ、良いわよ…志摩寛之介…。あなたの事がもっと欲しくなった…。必ず私の物にしてあげるから…。」
パソコンのモニターだけが光るパピルの寝室に四つの人影が浮かび上がる。
「マダム・パピル…ご安心下さい。あなたにはまだ私達が付いてるではありませんか?」
四つの影の一つが彼女に声を掛け、他の三人も同意を示す。
「ええ。何も心配はしていないわ…。あなた達四つの樹木が必ず正規の気獣士達を捕獲してくると信じてるわ。」
「それは勿論…。私達はダミアンのような失態は犯しません…。それよりダミアンが奪い損ねた進化の輝石の方はどうなさいますか?」
「すぐにあの無人島周辺の海域を捜索させるのです。ダミアンと共に海の藻屑となる前にね…。」
パピルの指示を承諾した四樹木は、消え去るかのようにパピルの寝室から居なくなった。
「セイヴァース…私達ブラックウッドを嵌めようとしたようだけど、それは大きな間違いだわ…。この戦いで正規気獣士と闇の気獣士の力の差は歴然であると分かった…。ブラックウッドの総力を持って全てを奪い去るまでよ…。」
パピルは、セイヴァース率いる正規気獣士との本格的な戦いを決意していた。
一方、サバイバル終了後の無人島。
その夜、一人の男が海から這い上がって来る。
「私は…悪魔より魂を受け継がれた…。悪魔は私を死から蘇らせた…。」
独り言ながらボロボロの姿で海から這い上がって来たダミアンは、砂浜に仰向けで倒れ込む。
「志摩寛之介…そして、私を死の淵の手前まで追い込んだ気獣精霊を宿し者達よ…。私は再び蘇り…お前達に永久の快楽を与えてやる…。」
蘇りしダミアンは、不気味な笑いと共に右手に握りしめた赤き進化の輝石を天に翳した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます