第48話 諸刃の剣
ユキリナの背後に狂暴なグリズリーの気獣が現れ、アルコルを逆に威嚇し返した。
「熊の気獣聖霊!?これほどの気獣を体内に宿していたとは…。」
ダミアンもユキリナの秘められた力に感心する一方、ユキリナはガイアヘルムの能力により、大地からエネルギーを吸収し、その力を上げていく。
「ユキリナ!進化の輝石は奴が持っている!それを手に入れる為にも奴を倒すのだ!」
レイモンドが再びユキリナに指示した。
「そっか…。だったら余計に負けらんないね!」
ユキリナは砂浜を蹴って飛び出し、ダミアンに拳と蹴りを次々に繰り出していく。
「なるほど…。この広大な大地から成る力を自らの力に変えられるのか…。」
ユキリナの力強い拳や蹴りをかわしながらダミアンは、その気獣能力を分析しているようだった。
「うぉぉっ!」
まさにグリズリーの如く凶暴化したユキリナのパワーは凄まじいもので、ダミアンにかわされながらも大気を揺るがす程の衝撃を放っている。
しかし、ダミアンもまたアルコルの気獣能力によって全身の油膜を硬質化させ、ユキリナのパンチを右手で受け止めた。
ユキリナの拳を握るダミアンの右手から煙が上がる。
「くっ、まだまだぁぁ!」
ユキリナはもう一方の拳も繰り出したが、それも左手で受け止められ、そこにダミアンの強烈な膝蹴りを腹に受ける。
「ガハッ!」
まるで無防備の腹部に炸裂したダミアンの蹴りの威力にユキリナのエネルギーは一気に低下していく。
「フフッ、攻撃力は凄まじい物だが…肉体の耐久性に問題があるようだな…。」
腹を押さえて悶絶するユキリナを容赦なく蹴り飛ばすダミアン。
「ユキリナ!もっと大地のエネルギーを吸収させるんだ!中途半端なエネルギーではこの男には通用せん!」
レイモンドのアドバイスの元、砂浜にめり込みながらも更に大地のエネルギーをその身に吸収させるユキリナ。
「うぉぉっ!今度は負けねぇぞ!」
ユキリナの全身の筋肉がまた一段と膨れ上がる。
「凄まじいパワーだ…。更にこの島のエネルギーを吸収したか…。」
ユキリナは猛突進し、再びダミアンに肉弾戦を挑んでいく。
凄まじいパワーでのラッシュにダミアンは防戦し、再びカウンターでのボディブローを彼女に叩き込むが、今度はユキリナは怯む事なく、ダミアンの頬に一撃を叩き込み、次いで豪快な蹴りを叩き込む。
ここまで屈する事の無かったダミアンが宙に蹴り飛ばされたが、すぐに身を切り返して着地する。
「なるほど…。だいたい読めたぞ…。エネルギーを吸収すればするほどその肉体は強靭となっていくようだな…。シンプルだが恐ろしい気獣能力だ…。」
「い、石を渡せ!これ以上はもっと怪我しちゃうから…もうやめよ!」
ユキリナは敢えてダミアンに降伏を勧めるが、ダミアンは更に戦う選択を取った。
「ユキリナ…お前の気獣能力は素晴らしいものだ。しかし、故に諸刃の剣である部分が多い…。」
ダミアンの気力オーラが更に高まっていく。
「戦いは…続行だ…。」
ダミアンはユキリナに突進から肉弾を叩き込み、更に紫炎の波動でユキリナを圧倒し始める。
「ぐあっ!まだこれだけの力を…。」
波動に吹っ飛ばされながらもユキリナも反撃し、砂煙を上げて激突するユキリナとダミアンが拳と蹴りのラッシュの応酬を繰り広げる。
ズババッ!バシッ!ドガガガッ!ビシュ!
ダミアンの紫炎を纏った拳の猛攻にユキリナは怯む事なく、深緑のオーラに包まれながら打ち合っていた。
しかし、徐々にユキリナの勢いが低下し、ダミアンの拳や蹴りが彼女を捕らえ始めていく。
「ガハッ!ぐはっ!」
「フフッ、これがお前の諸刃の剣…。この広大な大地のエネルギーをその肉体で吸収し続けるには限界値があるようだな…。」
「ハァ、ハァ、あたし自身…まだよく分かんねぇけど…何か体が限界みてぇだ…。」
「フフッ、このダミアンにここまで足掻いた事は誉めてやろう…。しかし、格闘家としても気獣士としてもお前は未熟…。自分の無力さを思い知るが良い!」
「ユキリナ!くっ、まだ大地のエネルギーを操るには経験値不足だったか…。」
レイモンドは電撃のエネルギー弾をダミアンに放って援護したが、ダミアンの強大な紫炎オーラに呑み込まれていく。
「セイヴァース子飼いの獅子よ…そこで見ているが良い…。闇の気獣士の極められた力を!」
ダミアンはユキリナの首を掴み、紫炎を発動させて彼女を空中で振り回しながらそのまま地面に撃沈させる。
「デーモン・デスロール!」
ユキリナを砂地にめり込ませ、更に紫の爆炎が上がった。
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