第38話 電光の獅子

空中からレイモンドの間合いに入ったハリーの鋭い二段回し蹴りだが、レイモンドのサングラスを掠り飛ばすだけで直撃にはならなかった。


「よくかわしたな…。まぁ、只者じゃなさそうだがな。」

砂浜に着地したハリーはワイルドジャッカーを背後に出現させ、気力オーラに包まれていく。

「俺はセイヴァースのレイモンド…。威勢が良いな…ハリー・ウィルソン。」

「既に俺の事をご承知だったようだな。だったら俺の目的も分かってるよな?」

ハリーはレイモンドが手にする進化の輝石を指差した。

「トレジャーハンターか…。この輝石の噂を嗅ぎ付けて来るとはな。だが、誰であろうとも俺はここで阻止するまでだ。」

レイモンドは残像を残すスピードでハリーに飛び込み、ムエタイのような足技のラッシュを繰り出した。

「へへっ、ムエタイか…。なかなか正統派な奴が出てきたもんだぜ。」

ハリーはそれを余裕で見切ると、レイモンドの蹴りを蹴りで相殺した。

「俺の蹴りを見切るとは…やるな。」

「見切るだけじゃあ、ねぇぜ!」

ハリーは蹴りでレイモンドの足を払い除け、一気に間合いに入っていく。

「バブルスマッシュ!」

ハリーのボクシングラッシュに泡の砲弾が混じり、弾ける衝撃と共にレイモンドに炸裂していく。

「くっ、炭酸を衝撃波に!?」

ハリーのラッシュをガードしつつも数発喰らったレイモンドは、吹っ飛ばされながらも宙を旋回して着地する。


その様子を浜辺に倒れながら見守るユキリナは、その凄まじさに感動していた。

「す、すげぇや!ハリーはやっぱ強ぇぇ…。」


レイモンドが体勢を直すのを確認しながら構え直すハリー。

「余裕ぶってる場合じゃないぜ…。あんたもさっさと気獣聖霊を出しな…。」

「フフッ、久しぶりに俺の中の気獣を解放出来る相手に出会えたぞ…。」

レイモンドは両目を光らせ、青白い気力オーラを放出させる。

それと同時に全身に電撃を纏わせながら彼は、獅子の気獣聖霊を出現させた。

「へへっ、大した気獣聖霊をお持ちじゃねぇか…。」

「百獣の王ライオン…。俺はこいつを雷獣王(ライジュウオウ)と名付けた…。」

咆哮を上げる雷獣王と融合したレイモンドは、電光石火のスピードでいきなりハリーを蹴り飛ばした。

「ぐはっ!こ、このスピードは…。」

「悪いなハリー…。俺が勝たせてもらうぞ。」

全身から電撃を発したレイモンドは、右手から電撃を繰り出した。

「雷獣電光撃!」

「ぐああっ!」

凄まじい電圧のエネルギー波を受けたハリーは、感電しながら吹っ飛ばされる。


「ハリー!な、何て強さなんだ…。レイモンド…まさかライオンを体内に飼ってたなんて…。」

ユキリナは電撃のオーラに包まれるレイモンドを目にし、驚愕する。


「さっきの威勢はどうした?ジャッカルでは所詮獅子には勝てんか?」

余裕のレイモンドはゆっくりとハリーに近づいて行くが、彼の前をシャボン玉が通り過ぎていく。

「ん?このシャボン玉から感じるエネルギーは…。」

シャボン玉に秘められた気力オーラに危険を感じたレイモンドはハリーから距離を取ろうとするが、既に無数のシャボン玉が彼の周囲を舞っていた。

「くっ、俺の攻撃を受けながら気力強化したシャボン玉を!?」

「へへっ、ジャッカルはただじゃやられねぇぜ。ライオンが食い散らかした獲物だろうが何だろうが…自然を勝ち残る為には何でもやってのける!」

ハリーの気力がシャボン玉に伝わり、一斉に弾ける衝撃がレイモンドに炸裂する。

「ぐあはっ!」

更に水酸化ナトリウムを気力と共に右手に集中させたハリーは、気合い一閃と共に繰り出す。

「スパークリング・オーバー!」

流星のように繰り出された砲弾の嵐がレイモンドを天高く吹き飛ばす。


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