第20話 水の魔物

波打ち際で対峙する麗蘭とロザリィ。

激しい肉弾戦は一歩麗蘭が押していたが、ロザリィは不敵な笑みを浮かべながら再び麗蘭に格闘を挑んでいく。

二人の拳、手刀、膝、上段蹴りが次々とぶつかり合い火花を散らす。

「麗蘭さんとか言いましたわね?私の体術はまだまだこんなもんじゃなくってよ!」

「確かに山中の時よりも鋭さが増してるようね…。でも、まだまだ私の方が速い!」

麗蘭は白金、ロザリィは水色の気力オーラを放出し、高速で砂浜を左右上下と移動しながらその影と影が何度も火花を散らしてぶつかり合った。

戦いは一歩も譲らずと思われたが、空中で麗蘭の蹴りがロザリィを捕らえて落下させる。

「くっ、更に速度を上げましたわね…。」

ロザリィは身を翻して砂浜に着地するが、上空から竜巻を纏って急降下蹴りを仕掛けて来る麗蘭に流石に身をかわす暇がないようだった。

「龍翔斬空脚っ!」

麗蘭必殺の蹴りがロザリィに炸裂しようとした時、背後の荒波から水で作り出された鮫が飛び出し、横から麗蘭に食らいついた。

「貰いましたわ!シャークバイツ!」

「ぐふっ!す、水圧を鮫に…。」

そのまま砂浜に叩きつけられた麗蘭にロザリィは更に気力によって作り出した水圧の弾丸を連射する。

「アクアマグナム!」

水圧の弾丸の連射を受け、砂浜に撃沈する麗蘭。

流石の彼女もダメージを負って立ち上がれずにいる。

「フフッ、形勢逆転ですわ!」

ロザリィの両目が水色に輝き、再び打ち寄せる波が鮫の背鰭となって砂浜を泳ぐように麗蘭へと迫る。

再び水圧が鮫を象り、シャークバイツが麗蘭に襲い掛かったが、両目を白金に光らせた麗蘭は波風に乗って鮫の襲撃をかわす。

「まさに水の魔物だわ…。でも、私もこんな所でモタモタしてらんないのよね…。」

風の龍が麗蘭の周囲を漂い、風力によって彼女を宙に浮かせる。

「よく逃げましたわね…。しかし、宙に逃れても私の『マーメイド』の能力からは逃れられませんわ!」

ロザリィは荒波の飛沫を宙に舞わせて雨を降らせる。

「オーシャン・ザ・レイン…。海辺で私と戦う事になった事を後悔させてあげますわ!」

「海水の雨…。確かにあなたのテリトリーになってしまったようね…。」

麗蘭は竜巻を周囲に回転させ、降り注ぐ雨を弾いていたが、雨の中に水鮫が具現化されて空中の麗蘭に襲い掛かった。

空中で鮫の襲撃をかわす麗蘭は砂浜に着地し、突風を起こして砂を巻き上げる。

「海辺には風も豊富だって事を忘れてないかしら?」

砂を含んだ竜巻が空中から急降下してくる水鮫を相殺させた。

「風砂で水を吸収させるなんて!?」

「ここからが勝負よロザリィ!」

麗蘭は手刀から真空の刃を生み出し、それをロザリィに飛ばした。

「奥義・疾風真空斬!」

ロザリィはかわすも、真空斬に太ももを切りつけられる。

「くっ、負けてはいられませんわ…。」

ロザリィも雨からの水圧をカッターのように飛ばし、麗蘭の脇腹を切りつける。

「ウォーターカッター!」

ロザリィの水圧刃と麗蘭の真空斬が空中の至るところでぶつかり合う。

弾かれたそれぞれの刃がそれぞれの体を掠め、同時に倒れる。

「フフッ、雨が弱まってきたわね…。気力を使いすぎて来たんじゃないの?」

麗蘭は気力オーラを更に燃焼させながら更に風を周囲に停滞させる。

「くっ、まだこれだけの気力を…。長期戦は不利ですわね…。」

ロザリィは足元を流れる水を持てる気力によって集中させていく。

「麗蘭さん…あなたのような気獣士がいるとは正直驚きましたわ…。ですが、最後はやはり私が勝たせて頂きますわ!」

水色のオーラと共に水流がロザリィを包み込む。

「この気力…一気に決める気ね…。」

麗蘭も白金のオーラを放出し、風を巻き起こす。

「勝負ですわ!」

「望むところよ!」

両者は同時に飛び出し、風圧と水圧が正面衝突する。


「ディープブルー・インパクト!」

ロザリィが繰り出す津波の衝撃波に麗蘭の風圧が掻き消され、麗蘭は一気に吹っ飛ばされた。

「や、やりましたわ…。私の持てる力を持って…。」

ロザリィは勝利を確信するも、次の瞬間に下から突き上げる竜巻に呑み込まれてしまった。

「ば、馬鹿な!?じ、時間差で風圧を…。」

「昇龍風神衝…。」

水圧で吹っ飛ばされた麗蘭が竜巻に乗ってロザリィの頭上に現れる。

「強かったわ…ロザリィ…。でも、私とは戦いのキャリアの差が勝負を分けた…。」

竜巻の中で繰り出される旋風脚がロザリィを沖合いまで吹っ飛ばす。

「ぐはっ!み、見事ですわ…。ですが、何れはあなたを必ず…。」

全ての気力を使い果たしたロザリィは海へと落下し、そのまま沈んでいく。


「良い勝負だったわ…ロザリィ…。でも、私はまだ負けられないの…。」

麗蘭もロザリィの大技を受けてかなりのダメージを受けてはいたが、ヒロノスケとユーリーに先取りされるのを防ぐべく、再び島の中央を目指した。



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