第15話 炎と熱
早くも島の中央の山岳途中で遭遇する六人がそれぞれ一対一で向き合う形となる。
「あの男が戦場の狼と呼ばれる銀影だと?まだ若造ではないか…。」
ユーリーを前にキューロはトモカから聞いた噂の銀影を目にして拍子抜ける。
「おい小娘、他を気にしてる場合じゃねぇだろ?」
「ムッ、何なのじゃ金髪娘!妾は小娘などではない!由緒あるドイツの名門シュトロハイム家の戦士…キューロ・ファン・シュトロハイムなのじゃ!」
「変な訛りのある小娘だねぇ…。あたしはユーリー・ヴェンフォード。米軍特殊部隊の中尉さ…。」
「中尉?嘘つけ!お前のような生意気な女が中尉なわけがない!本当だと言うならどんだけ米軍は見る目がないのか…。」
「別に信じようが信じまいが、あんたはあたしにぶっ飛ばされて終わりだよ。」
「フン、口だけは達者だな…。しかし、妾に喧嘩を売るとは馬鹿な女よ…。ここで貴様はリタイアなのじゃ…。」
「フン、あんたこそ何家だか知らんけど、小娘はとっとと帰りな…。痛い目見ないうちにさ。」
「妾は小娘では無いと言ったであろう!お前こそ妾に倒されぬうちに米軍に帰還する事をオススメするのじゃ!」
「悪いが、ガキの遊びに付き合ってはいらんないね!」
ユーリーはいきなりキューロの間合いに飛び込み、拳と蹴りのコンビネーションを繰り出したが、キューロはかわし、消えてユーリーの背後に回る。
「いきなり来るとは卑怯者め!」
背後からの手刀をユーリーはキャッチして投げ飛ばしたが、木を蹴って静かに着地するキューロ。
「へぇ、変な訛りの割にやるじゃないか…。やっぱりあんたも普通の人間じゃあないね…。」
ユーリーは肩を竦めて余裕綽々と言った。
「ロザリィ以外に妾と同じスピードとパワーを持つ者がいるとは…。であれば手加減する必要はないのじゃ…。」
キューロの両目が紅蓮に光り、手のひらに炎が燃え上がる。
「炎!?あたしに匹敵する熱量はこいつの炎だったのか…。」
「金髪娘!お前も人間ではないなら出すのじゃ…。」
キューロは紅蓮の炎を球体にしてユーリーに投げる。
しかし、ユーリーはそれをボールをキャッチするように取り、握り潰した。
「こやつ!?妾の炎弾を…。」
「この程度の炎じゃあたしは焼けないぜ…。」
ユーリーの両目が金色に輝き、熱のオーラが迸る。
「熱気を支配するあたしの気獣聖霊…キラー・パンサーだ。」
金色の熱気の中に浮かび上がる豹にキューロも目を丸くする。
「気獣聖霊か…。なるほど、では妾も見せてくれるぞ!シュトロハイム家に伝わる気獣聖霊…『サラマンドラ』を!」
キューロの炎のオーラの中に浮かび上がる大蜥蜴が口を開いて牙を剥き出す。
「可愛い顔して狂暴そうな気獣聖霊飼ってんなぁ…。」
「サラマンドラは空気中の火気物質を支配し、それを攻撃のエネルギーに変える!」
キューロは次々と炎の球体を作り出し、ユーリー目掛けて連発する。
ユーリーはかわすも、炎弾が弾けて爆炎となる。
「見たか!フレイムボールの威力!お前が幾ら熱に強かろうが、まともに喰らえば火傷するのじゃ!」
「へへ、確かにね…。だが、面白くなってきたよ!」
金色のオーラと共にユーリーの周囲が熱気を帯びていく。
「なんだか暑くなってきたわ…。」
「キューロがサラマンドラを!?あなたのお仲間も人間の域を超えてますのね…。」
ユーリーVSキューロから少し離れた場所で対峙する麗蘭とロザリィ。
「仲間と言って良いのかは知らないけど、ユーリーは気獣聖霊を持っているわ。どうやらあの赤毛の娘もそのようね…。」
冷静に状況を理解する麗蘭にロザリィも不敵に微笑む。
「気獣聖霊ね…。それを目にして動じないその態度は…あなたも気獣聖霊を持っていらっしゃるって事ですわね?」
「そういうあなたもでしょ?」
「私はロザリィ・ウィリアムズ…。故郷オーストラリアで私の中に気獣聖霊が目覚めましたの…。」
ロザリィの両目が水色に光り、水蒸気が辺りを包み出していく。
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