【40,000PV突破御礼】古医術で診療所やってたら医術ギルドに潰されそうになり、闇バイト先が魔王軍で魔族たちに溺愛されてます(R15)
第23話 サキュバスの胸で癒されてたら、竜将軍がつがいを傷つけられたとブチギレた件
第23話 サキュバスの胸で癒されてたら、竜将軍がつがいを傷つけられたとブチギレた件
ようやく落ち着いて、俺はまだラナの胸に顔をうずめたまま、動けずにいた。
指の間から感じるのは、絹のようにしなやかな肌。
頬を押し返してくる柔らかさが、心の底にまで沁みていく。
鼻先をくすぐる、ほんのり甘くて懐かしい香り。
たぶん、焚きしめた香草と、ラナ自身の匂いが混ざったものなんだろう。
耳の奥には、どくん、どくんと規則正しく刻まれる鼓動。
それが俺の荒れた呼吸を包みこみ、静かに整えてくれる。
……まるで、
ひとときだけ世界のすべてを忘れさせてくれる、柔らかな聖域のようだった。
魔族につくべきなのか、人間につくべきなのか。
もう、誰も傷つけたくない。
──それが、甘いかもしれないとも思っている。
見透かしたように、ラナが言った。
「でも、せんせぇは、今のままがいいんだよね」
──そう。人間でも。魔族でも。
治療が必要なものたちに等しく。
医術ギルドにも与したくない。
軍医長にもなりたくない。
それが俺の望みだった。
「なら、それがいいよ」
ラナが、そっと俺の髪に口づける。
ぬくもりと香りと、鼓動と、優しさに包まれながら。
俺は、ようやく、ひとつの決心を抱きしめるようにして、目を閉じた。
***
翌朝、診療所にはまだ、焦げた匂いが残っていた。
裏手の棚は黒く炭になり、薬草のストックも多くが燃えた。
何より──ラナのやけどが、俺の胸に深く残っていた。
「せんせぇ、診療所の入り口、これでいいかな?」
ラナが包帯を巻いたまま、ほうきと板切れを持って振り返る。
「無理はするなよ。……まだ痛むだろ」
「うん。だいじょうぶだよ♡」
笑ってみせたラナの笑顔が、昨日より少しだけ柔らかく見えた。
こいつ、こんなに可愛かったか──一瞬そんなことを思って、俺は小さく首を振った。
(……いや違う、患者だ。患者だぞ)
俺は診療所の中に戻り、焦げた机の下から黒くなった診療録を拾い上げる。
ページの半分は焼け落ちていた。
けれど、墨の滲んだ字をなぞる指先は、確かにここに生きた日々を覚えていた。
「……大体、覚えてるな」
そこに、扉の外から声がした。
「セレン、ラナ。無事か?」
振り返ると、そこにはアスリナがいた。
「ああ、ラナが火傷をしたが、大丈夫だ」
のとき、不意にアスリナの眉がぴくりと動いた。
「……セレン、その額の傷」
「ああ、ちょっと火の粉が当たって……大したことは──」
「それは……誰の仕業だ?」
低く沈んだ声だった。その場の空気が、ぴたりと凍る。
「……まだ、はっきりとは分からない。でも、多分、医術ギルドの……」
そこまで言いかけたとき、アスリナの気配が変わった。
その背後にあった魔力が、ふつふつと沸騰しはじめる。
「わしの“
アスリナの瞳が、灼熱の金色に燃え上がる。
その足元から、地を這うような魔力が溢れ、焦げた床をビリビリと震わせた。
まるで竜の咆哮が、腹の底で唸っているようだった。
「愚かな人間どもめが……」
その声は低く、冷たく、けれど確実に怒りで震えていた。
「街ごと、壊滅させられたいか?」
「ちょ、ちょっと待て、アスリナ!」
俺は慌てて手を広げて立ちふさがった。
「お、落ち着け、大丈夫だ……! ほんのかすり傷だ!
それに、まだ断定は──」
「……止められると思うなよ?」
「止める!止めるから!だからせめて、燃やす前に一度話し合おう!」
アスリナの口元はまだ引きつっていたが、
ラナが「せんせぇ、人気者だねぇ♡」と笑って割り込んでくると、
彼女はようやく落ち着いた。
やれやれ、と俺は深くため息をついた。
──朝っぱらから、命がいくつあっても足りない。
***
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https://kakuyomu.jp/works/16818792435685695540
(新作紹介)ゲーム開発者転移無双!俺つええですが、美女AIに溺愛されてます。
PvP、戦記好きの方ぜひ!
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