第3話 幼かった頃

ここで私たちが着ている衣装を説明しよう。


さっきも言ったように、下は水着のパンツを履いている。

いわゆるビキニの下のやつだ。


さっき言った得点の書かれた短冊状のヒラヒラした紙の裏には、糊が付いている。

それをパンツの周りにいっぱいつける。


パッと見は腰蓑を付けているみたいだ。

ここには1000点の他に、5000点や10000点の高い得点も混じっている。


そして胸の方には、1000点のヒラヒラを、左右に一枚ずつ貼る。


これをスターたちが取っていくんだけど、そうなのだ。


胸にはブラジャーはない。

肌の上から直接紙を貼っている。

私たちの胸は1000点のヒラヒラによって隠されているだけ。


つまり、スターたちが紙を取ってしまうと、私たちのおっぱいは丸出しになってしまう、というわけだ。


あとは両手のポンポンを振って踊りながら、番組を盛り上げる。

それがボウリング・ガールなのだ。



あれはまだ私が幼かった頃。


自宅で何気なくテレビを見ていたときだ。時刻は多分、夕方とかそんな頃。あるいは日曜日の昼下がりだったかもしれない。


スターの人たちが、ボウリングをやって盛り上がっていた。


私はボウリングのゲームそのものにはあまり興味を惹かれなかったけど、そこには私の目を釘付けにするものがあった。


フラダンスみたいな格好をした、二人のお姉さんが踊っていたのだ。


球を投げ終わったスターがお姉さんのところに来て、胸に付いているヒラヒラを一枚取っていった。


わっ、て私は思った。

大人の人のおっぱいだ、と。


そのときのお姉さんの嬉しそうな顔は、私の脳裏に今もはっきりと焼きついている。


今となってみれば、そのときの私はよくわかっていなかったと思う。


でも、それがすごく楽しいもので、嬉しいもので。

女の人にとって喜ばしいものなんだ、という印象を強く持った。


番組はそのまま進み、お姉さんたちは二人とも両方のおっぱいが丸出しになって、にこやかに踊っていた。


中には、ヒラヒラを取ったあと、おっぱいをタッチしていく人もいた。


ああ、いいなあ、って思った。

私もあんな格好で踊りたい。

おっぱいを見せたい。

おっぱいにタッチしてほしい。


大きくなったら、将来ボウリング・ガールになるんだ。


でもその後、番組は終了し、私の夢は夢で終わったかに見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る