第7話 舞踏会③
大和と楓。昴と薫はそれぞれ決まったことを発表することにした。
「まず、食事だけど、一人ひとりが席について食べられるようにしようと思うの。」
「例年は少しつまむ程度じゃなかった?」
「ええ、でも、総理がもうお年だし、参加者の平均年齢が上がってきてるの。それに座ったほうが長話もできるじゃない」
「いいと思うけど、ダンスができなくならない?」
「だから増築しようと思うの」
「それなら問題ないな」
「私もいいと思います」
皆賛成だ。
誰もお金を気にしないのがこのメンバーあるあるなのだろう。
「建築家だれにするんだ?」
「それはもちろん、星宮家専属の建築家に」
「花ノ宮家の方が良いと思います」
(まずい!)
(まずい!)
男性陣は喧嘩になると思いすぐにそれぞれの恋人に不意打ちのキスをする。
女性陣は顔を真っ赤にしてビンタをするのであった。
「何するのよいきなり!」
「いきなりは困ります!」
ダメージが大きいのは大和の方で薫よりも楓の方が力が強いためである。
昴は爽やかな顔して
「ごめん、薫が可愛すぎて」
と、余裕そうだが大和は左頬を真っ赤にさせて
「しゅ、しゅまないかへでがうしゅくしすぎて」
と、しっかりと言えていない。
大和は楓に負けないぐらい強い。当然ビンタを避けることは可能だった。しかし、自分が避けたら、楓の手が壁に当たりケガを!なんて考えたのであろう。
「まぁあ大変!大和、早く直して会議を始めますよ」
「ああ」
この光景を見て薫と昴は将来の結婚生活が大変であろう、恐らくかかあ天下だろうと思うのであった。
「建築家は後にして、食事ですが、黒毛和牛のステーキをメインにしようと思います
。詳しくはコチラの資料を」
楓が配ったのは高級食材しか書かれていない資料。
神戸牛のローストビーフや
トリュフ、アワビ、北海道産のカニなど、
庶民が簡単に食べることのできないものばかり。
「デザートは和菓子にしようと思うの、高等部1年に老舗和菓子店の砂糖冬也という人がいて、最近業界でも有名らしいので、その人に作ってもらおうかと」
「本人からの許可は?」
「もちろん取ったわよ、なんなら自分からやりたいと」
「なるほど、いいと思うが舞踏会に和菓子って大丈夫か?」
「私もそれは思ったけど、砂糖さんが和菓子だけど舞踏会に合うものを作ると」
「一応第2候補作らないとだめじゃない?」
「最低、星宮家専属シェフが作るわ」
珍しく薫も納得したようだ。
「珍しいな薫はそれでいいのか?」
「うちは、その、、料理が和食メインなので」
確かに花ノ宮家は京都出身の名家で、明治維新になっても和食しか食べない家として有名であった。
「洋食を初めて食べたのも6歳の時でそれまで卵を食べたこともなかったの」
驚きの発言に皆言葉が出ない。
「あっ、今はそんな事いいから会議の続きを」
「そうか…今ではどれぐらい洋食を口にするんだ?」
「今では学園でよく食べるし、洋菓子も食べるけど、家での食事で洋食を食べることはないかな」
「そうか…」
すると楓が
「なら、ぜひ今度うちに来て洋食を食べに来てちょうだい。これから洋食を食べる機会が増えると思うから慣れといたほうが良いのでは?」
「確かに、洋食のマナーを私は知らないので教えて欲しいです」
学園で食べる洋食はコース料理ではない。そのためフォークとナイフで食べるというよりフォークだけ、というのが多い。
マナーが完璧では無い。
「ええ、もちろん!」
「それで、ワインですかこちらの資料通りです。洋食に合う日本酒もこちらに記載しました。」
この資料はワイン好きが見たら目を輝かせて喜ぶようなもので、イタリア産の有名ワイン、高級ワイン、日本ワイン、素晴らしい品揃えで会った。
「飲んだこと無い私達が見てもあまり分からないけど品揃えは確かだし、値段も産地も申し分ないと思います。」
いくら名家のお嬢様、御子息でも、まだワインの味は知らない。それでも将来の為に産地やワインの名前などは把握している。
「次に来賓だが、このリスト通りだ」
リストを見て薫と昴は驚く
「過去一番の舞踏会になりそうだな」
「今回は中東の方が多いですね」
「ああ、今回は歴代で一番レベルが高い来賓が来る。恐らくは日本の1、2、を争う星宮家と一条家の次期当主が女王、国王だからであろう。それに加え、日本で新たな巨大プロジェクトが計画されている。いろいろと重なったんだ。」
「なるほどな」
「増築に加え改築もしたほうがいいのでは?」
「確かにそうだな」
「私もそう思う。」
「私もです」
「決定だな」
「でも、私達が考えたセッティングが〜」
「改築、増築が終わったらまた頼む」
「ええ、お願い」
「わかったわ、任せて」
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