第6話 それぞれの確執

 被害者の身元が分かると同時に、

「死体発見現場に建っているということから、まんざら無関係ということではないはずである」

 ということから、警察が、

「一応の、建前的な捜査」

 ということで、聞き込みもしていた。

「時間がかなり経っているし、被害者が誰かは分からないんですが、殺人事件の捜査なので」

 と、秋元刑事が、話に来ていたのだが、秋元刑事は、その特徴として、

「話をすれば、相手が何を考えているのかということが分かる」

 というのがあった。

 そこで感じ取ったのが、話を聞く際に、

「面倒くさそうにしている」

 ということもあって、もっといえば、

「探られたくない腹を探られているようで嫌だ」

 という思いであった。

 最初は、秋元刑事もそのあたりの気持ちはよく分からなかった。

 まだ、秋元刑事は、刑事としては、新米に近く、

「それだけに、相手の気持ちが分かる」

 という気持ちがあるということからの、ジレンマのようなことがあるというものだ。

 そもそも、

「警察としての立場」

 そして、捜査の際にかかわる、

「一般市民」

 というものは、それぞれに、

「圧倒的な考え方の違いというものがあり」

 さらには、

「それがまったくの正反対」

 ということから、

「交わることのない平行線」

 ということなのだ。

 警察はその気はないのかも知れないが、よく言われることとして、第一発見者などが、警察の捜査にうんざりすることとして、

「また最初から言えってのか?」

 ということである。

 というのは、

「第一発見者」

 というと、まず最初に、

「駆けつけてきた制服警官に事情を説明する」

 ということになり、さらに、今度は、初動捜査の時、やってきた刑事が、また、聞くということになる。

 その時、

「また最初から言えってのか?」

 ということになるわけで、警察は、判で押したように、

「これが我々の職務ですから」

 ということで、

「職務」

 という言葉を出して、警察手帳を示せば、まるで、

「水戸黄門の印籠のごとく」に、

「庶民はいうことを聴かないといけない」

 とばかりに考えているのではないだろうか?

 そんなことを考えると、当然、

「警察なんか当てにならない」

 ということになるだろう。

 だから、遺族が、

「いまさら」

 と考えるだろうということは、普通に、一般市民であれば、想像がつくというもので、

「気づかないのは、警察だけ」

 ということで、

「そんな警察が犯罪捜査をするのだから、下手をすれば、片手落ちの捜査になるのではないか?」

 と考えると、

「そりゃ、冤罪が増えたり、警察が悪者扱いされる」

 というのも分かるというものだ。

「パチンコ屋」

 であったり、

「反政府組織」

 が、

「必要悪だ」

 と言われるのに反し、

「警察」

 や、

「政治家」

 というのは、本当の悪党だということになるのだろう。

 そうなると、

「何が悪で、その悪の定義とは何になるのか?」

 ということを考えさせられるというものだ。

 今回の事件も、被害者が特定されると、

「ペンションが怪しい」

 ということが分かってきた。

 しかも、その怪しい人間が、前のオーナーで、つまりは、今のオーナーの

「番頭」

 ということであった。

 彼は、

「必要悪」

 と言われる団体の、いわゆる、

「番頭」

 ということでもあり、実際に親会社とは関係はないが、

「正義と悪の両面で、その才能をいかんなく発揮していた」

 ということなのだ。

 何やら、殺された男は、

「ペンションで、女性へ暴行を行い、それを見かねた人たちが彼を殺害した」

 ということが動機だったようだ。

 ただ、彼には、

「助かりたい」

 という思いはなかったようで、偽装工作に見える部分は、皆から助けてもらった部分ということだったのだ。

 それこそ、

「必要悪」

 というものではないだろうか?

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