第9話 教会



ミロンと別れた俺達が次に向かうのは宿泊施設だ。



「海の満腹亭…か。海鮮楽しみだなぁ」


「新鮮な魚も市場で簡単に手に入るのも魅力ですよね!」



冒険者ギルドに向かう際に、ミロンに色々と情報を聞いていて、おすすめの宿に紹介されたのが、海の満腹亭だ。


レストラン兼、宿屋でもある場所だ。

ミロンの思う一番美味いところを紹介してとお願いした。

なんでも魚介系が中心で、猫獣人プラス高ランク冒険であるミロンが言うので、否が応でも期待してしまう。



てか、なんか会話に違和感あったな。

俺の返事してなくね?直接は言えないからって遠回しに作れと仰りたい…?気にしすぎか?



「とりあえず今日はレストランで済ませて、明日は和也さんが作ってみませんか?」


「ちゃんと言うじゃん!? いい傾向だ、任せろ!!」



びっくりしたぁ。ある程度カリナからの信用を得られたのかな?素直に嬉しいよ。


そうして海の満腹亭に着き、宿を予約することができた。

ゲーム時代にもクエストの関係で何回か来たことがあったので、迷うことなく行けた。

ヌンティスは庭だからね。任せてほしい。



まだ日も高いうちに宿の確保もできたので、これから協会に向かうことにした。


図書館か迷ったけど、探すの大変だろうし教会だったら対面だから教えてくれるかどうかは微妙だけど、聞くだけ聞いてみようかなって。


それで解決しなかったら、図書館に行こう。



そうして俺達は宿泊先からは少し離れた、街外れにある教会を目指す。


街外れって教会疎まれてるの?とか、そういうわけではない。

孤児院も併設しており、庭で野菜を作ったりもしているから、街外れじゃないと土地の確保が…。


とか、確かそんな設定だったと思う。違っても遠からずかな。

祈りも出来る大聖堂は別にあるし、ここ以外にも教会はいくつかある。


ここに決めた理由としては、なんとなくなんだけど街外れの方がちゃんと話しを聞いてくれそうってだけで決めた。



教会に向かってカリナと歩いていると前方に、木剣で稽古をしている子供たちが見えた。


こちらに気付いた教官?の男性が俺達に会釈をし、子供たちに声を掛けるとそのうちの一人が教会に入っていった。



「こんにちは。教会に御用ですか?」


「こんにちはー。そうですね、転職に関してです。」


「なるほど。そうしましたら、中で伺います。案内いたしますね。」


「ありがとうございます。」


「みんな素振りの続きで。僕の戻りが遅くなるようだったら止めて戻っておいで」



男はこの場を離れる前に、こどもたちに指示を出していた。

こどもたちは男女合わせて8人かな、一人は中に入ったっきりだから元々は9人か。

教会が教官とかを雇うとは思えないし、ボランティアかな?



「面倒見がいいですね、生徒さん達ですか?」


「いえ、弟妹ていまい…家族ですかね。元々は自分もここの孤児院出身なんですよ。」


「ああ、なるほど。俺とそう歳が変わらないように見えるのに…。すごいですね。」


「そんな大層なことはしてませんよ?いまは冒険者をやっているので、そこで得た経験を家族に教えてるだけなので」



ご立派ですねとかだと上からっぽくて、語彙力死んだわ。

うん。かっこいいわこの人。



応接室っぽいところに通され待っていると、子供に手を引かれてやってきたのは年配のシスターだった。


まず挨拶か。と立ち上がったところで、案内をしてくれた男性がシスターに近付き俺達の来訪用件を伝えてから子供と共に部屋から出ていく。



「では、自分は戻りますね。」


「あ、はい。案内ありがとうございました。」



応接室に残されたのはシスターと俺達二人だけになったな。



「ようこそいらっしゃいました、この教会の責任者ライムです。お気軽にシスターとお呼びください。」


「よろしくおねがいしますシスター。おれは、和也です。こちらはカリナです。」


カリナ「よろしくおねがいします。」


和也「お世話になります、こちらを。あと、こっちのはお菓子が入ってます。」


「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。」


「早速で申し訳ないんですが、色々聞いても大丈夫ですか?」


「はい、私で答えられることであればお答えしますよ。」



実際に転職士であるシスターに見てもらったところ、俺は戦闘職のジョブに就くことが出来ない稀有けうな存在らしい。


エクストラジョブの人間に多いそうだ。転職士もそうで、シスターも別のジョブにはなれないらしい。



俺のジョブチェンジだけ着せ替え機能があるのは、なんでだろうと色々話はしたんだけど、可能性としてはインベントリを持っている影響っぽい?

とはなったが、正確なことはわからないので迷宮入りかな。謎だ。



戦闘職はだめでも!!!と、俺自身わかっているジョブ以外のものがないか確認したところ何も無いとのことだった。


生産職と採集職カンストしてるのも見えるようで、大層驚かれてどんな人生を…と心配気に見られたが、そういう反応が欲しかったわけじゃない。


結果、俺はせっかくゲームの世界に来たにも関わらず何にも成長出来ない人間であることが判明した。


自然と涙が出た。みんなは戦闘職を上げておくことをオススメするよ。和也からのアドバイスだ。



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教会からどうやって戻ってきたのかあんまり覚えてないな…。


割とショックがでかかったし、周り、特にカリナには空元気を見せていた気がする。

ストーリーの進行度、決戦の対策とか…。とにかく考える事が多すぎた。



そんな俺がいま居るのはたぶん宿のベッドの上だ。


のそっとベッドから降り、備え付けの窓を開けると酒場からだろうか。

暗い夜の中、賑やかな声が聞こえる。



「魔法…使いたかったなぁ」


「和也さん」


「うおっ!カリナ!? 居たのか。」


「はい。-----大丈夫でしょうか?」


「ごめん、心配かけたね。------ ああ、約束は守る。一緒にってのは叶わなくなったけど、カリナのレベルアップの手助けはするよ。」



自分でも、ちょっとぎこちないかもって笑顔作ってるけど、ちゃんと笑えてる?


でも、レベリング一人じゃ心配だな。なにか手を考えないとな…。

なんて考えてると、カリナに手を引っ張られてベッドへダイブした。


そしてカリナはベッドの縁に座り、そのまま俺の頭を乗せて膝枕の完成だ。


もうそこまでは落ち込んでいないんだが、頭撫でられるのは落ち着くな…。



「ありがとう…」



結果知ってちょっと泣いちゃったから母性刺激したのか…?なんて冷静になりつつ、膝枕された状態から上を見上げてもカリナの顔は見えなかった。でかいな…。


助兵衛すけべえな気持ちは抑えられなかったよ。


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