第4話 買い物とカリナの過去



まずはいろいろ見て回りたかったので、露店通りを目指す。店舗型のところはあとから必要であればいこう。


現実になったいま、ゲーム画面で見ていたあの賑わいを肌で感じたかったってのが大きい。待ってろ露店!



「カリナ、こっちで合ってる?」


「はい、合ってますよ。迷いがありませんが以前にも来たことがあるんですか?」


「ん~…それは難しい質問だ。さっき説明しておけばよかったな。」



俺の煮え切らない発言に首を傾げるカリナの返事を待たず、頭をわっしゃわっしゃと撫でて誤魔化す。


ちなみにカリナのことは呼び捨てすることになった。

ちゃん付けは嫌だったようだ。おずおずと呼び捨てで構いませんと言われた。ごめんね…。



「あとで説明するよ。まずはいこうぜ!露店が俺を待っている!」



そうして歩いているとチラホラと周りに露店が見え始めた。

まだ入口のはずだ。これからどんどん増えてくるのか。ワクワクするな!


横目にチラっと見た感じ、ここらへんは比較的重そうな物が売られている。鍋が売られていたりした。

露店は場所だけ確保だろうし、品物を運ぶ手間を考えたら…。出来るだけ入口を陣取ってるんだろう。

ああ、アクセとかの小物を売っているところもあった。まあ、自由か。



「おおー!賑わってるな!」



そうして辿り着いた露店通りは、所狭ところせましと露店が広がっている。


道の中央には露店がなく通路になっており、人とのすれ違いには余裕はありそうだけどカリナとはぐれる可能性はありそうだ。



「カリナ、頼むから俺を一人にしないでくれ…」


「はい、失礼します。」



俺が一人になったら言葉通じないから困るよな。と、需要の無いであろうヤンデレ彼氏を演じたけどそこはスルーされた。


カリナちゃんはそう言うと俺の服の裾をちょこんと握る。

あざといね?と思ったけど、これまだ仲良くなれてない証拠か。かなしいね。



「ありがとう、それじゃ色々見て回ろうか!」



そうして、気になる露店をどんどんと回っていく。

カリナも後ろに居られると見失いそうなので隣にきてもらってから一緒に品物を見ていく。


気になる露店の多くは食べ物だ。果物なんかも積極的に見て回る。



「おねえさんこれとこれを味見していいですか?美味しかったら箱で欲しいそうです。」



カリナの通訳によって、買い物がものすごく捗った。ありがとう神様仏様カリナ様!!


店舗じゃなくて露店なので、売られている物はアクセ類が多かった。

全部自分で作れるわってレベルの物しかなかったので、チラっと見るだけに留めてたら結局食べ物しか買わなかったな…。


食った事のない品物がいっぱいあるし、美味そうだなって思ってた料理の素材がいっぱいあるんだもん。そりゃ爆買いですわ!



「結構遅くなっちまったな。他は明日にしようか。」


「そうですね、そのほうがよろしいかと」


「固い固い」


「明日にしましょう…?」


「おう!」



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そうして本格的に暗くなる前には宿に帰ってこれた。


買い込んだ大量の食材はもちろんインベントリにぶち込んだので、両手はフリーだ!インベントリ最強!


宿に入ると「お食事はレストランかお部屋どちらにされますか?」と声がかかったので迷わず部屋にお願いした。


そのうち宿に併設されたレストランも行きたいけど、俺の発する言葉は周りの人には雑音だろう…。大人しく部屋で食うさ。



そうして部屋に持ってきてもらった料理に舌鼓したつづみを打つ。

うまい!…けど、そうじゃない!!


ようやく一息ついて落ち着いたせいか、ふと思い出す。

ストーリーあるよな…。と。


ゲームなのだから、当然作中で動いていた物語がある。

ある程度の進行度になっていれば、戦争もないのだが…。

つまり序盤はあるんだよなぁ…。


気にして見てはいなかったが、今日軽く見た街の雰囲気…。うん。戦前か戦後かわかんねーや!

そもそもゲーム時代のストーリーではここまで戦火広がってないしな!


聞いてみるか!向かいの席で静かに。それでいて美味しそうに頬を緩ませるカリナに声をかける。



「カリナ、ガレンハルドわかるか?」



えっ。なになに!?

国の名前出しただけで、表情めっちゃ曇ったんだけど…。

せっかくのご馳走が。本当にごめんなさい!楽しいお食事の邪魔しちゃった!



「わかります…。」


「食事中にごめん…。なにかあったんだな?戦争…か?」


「はい、私は元ガレンハルド民です。----1年前までは…。」



おっもぉ…。聞きとうない!!


そんな俺の心情を置いていきポツリポツリとカリナが話してくれた。

ちゃんと聞いてね?と言わんばかりに魔法の重ね掛けも受けつつ…。気が利くね?それよりお食事は?冷めちゃうよ…?


ガレンハルドの領民だったカリナは、住んでいた領地がここ土の国であるグランドソイルとの戦場付近になってしまった為、避難したそうだ。


※現在居る街はグランドソイル国の中の街であるアレクサンド※



そうして避難することには成功したが路銀が尽き、家族の為に自分が奴隷になることで今に至る。と。


え?首都の方に逃げてればここにいなくないか…?と、矛盾点?というか疑問が出てしまったので、聞きたくない気持ちを押し殺し、聞いてみる。



「いえ、既にガレンハルドの兵は負けて敗走してましたので。グランドソイルの進軍と一緒に首都に向かうのはあまりに危険で…。」



大回りして首都に向かうことも少しは考えがよぎったが、精鋭を集めたとされる近くで戦っていた兵達が目の前で撤退したのを見て、すぐに諦めたそうだ。



一通り話せてスッキリした様子のカリナに比べて俺よ。

まあ、これがご主人様の務めなのかもしれんな…。

あとで話すと言ってた俺の出自も話せてないし。言語学習で時間は取られるから、その時にでも話すか。


その後は、温め直した食事を取りシャワーを浴びて就寝。

ひとまずは、戦争の終わった世界で安心した。

ストーリーの進行度はまた調べよう。寝て起きたら電車とかは勘弁な。もうこの世界にワクワクしてんだおれは!おやすみぃ!


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