第2話 チュートリアル

 真っ白だった世界が色付き始めると共に風と草木の香りを感じる。


「ここは…」


 周りを見渡すと見上げる程の大きな木に囲まれていた。


「いや、これは…」


 自分の手を見るとそこには毛むくじゃらで肉球がついた手が、体をみるとモフモフした毛皮が全身を包んでいた。声も少年のような声になっている。


「おおー!」


 思わずテンションが上がってクルクル回っていると、目の前に半透明のウインドウが現れる。


〈チューリアルを始めますか?〉


「もちろん『YES』っと」


〈ではチューリアルを始めます〉


すると、目の前に目つきの悪い犬のぬいぐるみが現れる。


「……犬のぬいぐるみ?」


〈『ステータス』と念じると貴方のステータスが、『アイテムボックス』と念じると貴方の持っているアイテムが見られます。また、『メニュー』と念じるとメニュー画面が出てきて、そこから選択することも可能です。

 試しに『アイテムボックス』から『初心者の短剣』を取り出しましょう〉


「成る程?(『アイテムボックス』!)」


と念じると、目の前にいかにも『アイテムボックス』って感じの四角い格子状の画面が出てきたので、その中にある『初心者の短剣』を取り出す。すると、この体でも片手で持てる小さな剣が手に握られた。


【初心者の短剣】━━ ━━ ━━

攻撃力:1

耐久:♾️

━━ ━━ ━━ ━━ ━━ ━━


「自分の持ってるアイテムは【鑑定】無しである程度見れるのか。てか今ってスキルって使えるのか?」


試しにあのぬいぐるみに【鑑定】を掛けると、


【狼のぬいぐるみ】━━ ━━ ━

チューリアル用のぬいぐるみ

*犬ではないです。

━━ ━━ ━━ ━━ ━━ ━━


「うむ、使えるようだな。というか犬じゃないって、誰かに見られてるのかこれ」


 周りをぐるっと見渡すがそれらしい気配は感じない。


「……まあいいか。じゃあ次は━━」


 周りを見渡して【鑑定】を掛けまくる!



【石ころ】

ただの石ころ。


【雑草】

ただの草


【雑草】

ただの草


【石ころ】

ただの石ころ

………

……



「やっぱりか。よし拾うか」


と【鑑定】に掛かったやつを拾い。また【鑑定】をするを繰り返す作業を開始した。



アイテム回収中…………………



〈スキル【鑑定】のレベルが2に上がりました〉


「うおっ!? …ってつい夢中になってた。さてさて結果は?」


【アイテムボックス】━━ ━━

【石ころ】✖️32

ただの石ころ

【雑草】✖️25

ただの草

【木の枝】✖️12

ただの木の枝

【りんご】✖️1

甘いりんご 体力を微回復

━━ ━━ ━━ ━━ ━━ ━━


当たりはりんごくらいか…。

まあいいや、次は【錬金術】………ってどうやるんだ? 【ステータス】見るか。


【ネル】━━ ━━ ━━ ━━ ━━

レベル:1

種族:猫人族

所持金:0マニー

スキルポイント:0


HP:30

MP:50

STR:2(+1)

INT:4

DEF:2

MND:5

DEX:6


【スキル】

種族スキル

・猫の手 Lv.MAX

・猫に小判 Lv.MAX

・コピーキャット Lv.MAX

・猫の目 Lv.MAX

・猫の足音 Lv.MAX

・招き猫 Lv.MAX


通常スキル

・鑑定 Lv.2

・錬金術 Lv.1


称号

希少種族・小さな種族

━━ ━━ ━━ ━━ ━━ ━━


…うん。ツッコミたいことは色々あるけど後回し。まずは【錬金術】をタッチする。


【錬金術】━━ ━━ ━━ ━━ ━

『錬金釜』を用いて合成し、使えるものを生み出す。

━━ ━━ ━━ ━━ ━━ ━━


ふむふむ、なるほどなるほど……


「つまり『今は使えない』っと…」


俺は膝から崩れ落ちた。

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