応援コメント

隣の君と一本のぬるいコーラ」への応援コメント


  • 編集済

    ウゴクヨミヒルです。企画へのご参加ありがとうございます。
    割烹のコメントに申請がありましたので、構成評価をつけさせていただきます。
    https://kakuyomu.jp/users/ugokuyomihiru/news/16818792437363368195

    >「付き合ってよ」
    から
    >嵐のように彼女が去っていたあと、僕はただ一人残され、時間も結構経っていたので帰ることにした。
    まで読みました。

    ■■■通読中に気になったこと■■■
    一行目セリフスタートは難易度の高い書き方だと考えます。読者はまだ何も知らない状態で、誰のセリフかもわからない謎の一行を読むことになります。
    この冒頭、「どこからともなく現れた彼女は」と書いてあるので、それがどんな風にかを想像したくなりますが、表情や場所、仕草、声のトーンなどの情報がないので、読者は人物のシルエットのみで想像することになります。真っ黒なスクリーンに文字が浮かんでいるか、あるいは音声のみのモノローグか? それが作家の設計通りの読者体験なのか、やや疑問でした。作品が映像化した時に観客に最初に観せたいシーンから書き始めたような、脚本的観点で書いたのでは? と思えます。

    その後も、劇中のシチュエーションが不明瞭なまま、主人公の一人語りで話が進んでいきます。葬式は主人公の家でなのか、町の葬式会場なのか、2、3度読み返したけど絞り込めない。回想部分も同様です。「長袖のスーツでも暑さを感じない変な場所」って、どんな場所だろう?と思いました。

    あと、各記述に対して、読者がストーリーを信じる為に感じる疑問が想定しきれていないように思えます。

    >僕は混乱していた。
    混乱って結構範囲の広い言葉なので、混乱具合がイメージできる情報があるといいですね。「め」と「ぬ」を読み間違える程度には、とかなんでも(笑) 主人公の性格なんかもここで読者に伝えることができますね。

    >いつもの往診の帰り道だったそうだ。
    いつ、誰からの連絡で知ったのか、その時の主人公の心境などを書くと、バックストーリーが濃くなって、物語の信憑性が高くなります。

    >いつも通り親父は親父の仕事場所
    「いつも通り親父は仕事場所」だけでも通じるかと。

    >色々と僕は祭り上げられて、
    誰に? 看護師さんたち?

    >なんだか神輿に担がれて頂上の見えない山を登っているみたいだった。
    この表現好きです。ただ、主人公の人格や性格を決定づけるぐらい印象強いので、この後も同レベルの表現があると期待されます。主人公はわりと大袈裟に考えるタイプだと想像します。

    >「学校…… 行くか」
    主人公の呟きだと思いますが、どういう風につぶやいたのかを書いてほしいですね。例えば、ベランダに立って明後日の方を見ながら、あるいはベッドで仰向けになって天井に向かって、とか。ここも主人公の人格や生活感を読者に伝えるのにいい場面ですし、家の状況など色々伝えられますね。

    >「この度は誠にご愁傷様です」
    から
    >ここでまあまあな金額と言ったのは、親父が雇っていた看護師6名に残りの給料を払い、相続税として国に取っていかれたからだ。
    までお葬式中で、主人公は父親の死にかなりのショックを受けているようなので、周囲の変化の流れについていけなかったり、いつもと違った気持ちになっていると思いますが、そういった周囲の状況への対応具合に触れられていないことに、作品の続きに対する好奇心よりも、疑問のほうに意識が向きます。主人公の心境を気にかけて、声をかけてくれる人もいなかったのでしょうか。
    例えば「診療所の看護師さんたちが僕のために色々と準備してくれた。」とあります。この時に何かしら声をかけてもらえたはずで、その一言一言に主人公がどう思ったのか、それを1〜2行つかって記すだけでも、主人公の人間関係や感情、人格などを読者が想像しやすくなります。

    いつの間にか喪主になって大袈裟な葬式をしているのなら、手続きやらあると思います。それをどんな風にこなしていたのかも書かれていません。「僕は僕の知らないたくさんの人の前で、僕が親父に対して思ったこともないようなことをただ機械のように、原稿用紙に書かれた文字列を辿って読んでいた。」とあるので、葬式の進行のことなんかも機械的にこなしていたのだろうか、と推測するしかありません。

    遊水公園で主人公が女子と出会うところからが実質本編だと思いますが、その時に読者が最大限物語に没入できる為にも、ここまでに必要な情報を伝える必要があると思います。
    しかし今の内容では、青春もののセオリーとして主人公の世界観や考え方などをメインに伝えようとしているのは伝わりましたが、主人公の言葉遣いや語彙力と、今日までの経緯がざっくり伝わっただけですね。

    >そうして日が落ちてきた頃、僕は今日始めて人の気配を感じた。
    始めて→初めて
    しかし、初めて人の気配を感じた、は主人公の個性的表現としても無理があると思います。それ事実なのか? と疑います。

    >振り返って見ると、そこには僕の同じ高校の制服を着た女の子がいた。
    僕の→僕と
    女の子、というからには幼く見えるほど小柄な印象なのだろうと思いますが、身長や見た目などが書かれていないです。

    このあとコーラが登場しますが、缶なのかペットボトルなのか、女の子や作品の印象、その場の空気を左右するくらい大事な情報なので、もっとディティールを伝えてほしいです。

    >少し冷たい風に髪が揺れ、
    髪の長さや髪型などの情報がないです。

    >それだけいうと、そこから20分ほど、日が沈んでくるまでぼーっと河を眺めていた。
    二人ともそうしていたのか、女の子だけがそうしていたのか。20分はあまりに長いです。

    ■■■細かい違和感■■
    ・健康に生きてきていた。
    生きてきた

    ・でも今更後悔したって、
    「後悔」というからには、「しなければよかった」に値する情報がほしい。殺したの?w 何かの伏線なのかな。

    >視線に気づかれてしまった。なんだか申し訳ない。
    申し訳ない、は違和感。間違っていないけど、主人公の表現が独特で。

    ・全体的に僕が、僕に、と多すぎです。

    ■■■総評■■■
    通読中に気になった指摘の通り、物語のリアリティや説得力を上げる為の記述が乏しいと感じました。私の経験上、物語の本筋に集中してほしい気持ちが強いとこういう感じになりますね。あと主人公に作者が自分を投影していて、物語の人物として自分から切り離せていない場合もです。読者はそこまで容赦のない想像をします。

    小説の構成としては、「小説っぽいものではあるが、まだ小説になりきれていない」というのが率直な評価です。

    文章に与えられた仕事が全体的に説明になっています。説明的な文章はサイコパスな印象を与えます。仮にそれで合っているとしたら、ヒントがほしいです。
    これは各シチュエーションを作家が100%イメージできていないことが原因だと考えます。その場にあるはずものや、登場人物がそう思っている経緯など、状況設定のディティールが弱い、だから読者が感じる疑問にまで気が回っていないし、作家は限られた材料から本編に書き起こす記述を捻り出している執筆境遇だと想像します。青春ものに求められる空気感や温度も、感覚的に覚えることはありませんでした。

    と思えるのがその理由です。どの場面も、主人公の意識が向いている先端部分ばかりが書かれているので、これではテレビのスピーカーから聞こえる声優の音声の文字起こしに近い内容です。

    リテイクをされる場合は、各場面において、そこにあるはずのものを全部イメージしてみましょう。人物や物体だけではなく、音や空気、温度など、全てです。その中から、作品の魅力を引き立てることのできる、最高の材料を見つけて言葉にしましょう。

    作者からの返信

    丁寧な感想、解説ありがとうございました。読者が想像するための情報をもっと織り込までないといけないんですね。いけないというか、そうしないと想像しにくいという感じでしょうか。

    やはり、自分の作品を第三者視点から客観的に読むというのは難しいことだと感じました。

    この表現で読者がどのように感じて、どう考えるのか。そこをしっかりと書いて行きたいと思います。今回は本当にありがとうございました。