ユピラディアの神殺し
轟益子
Episode.0
神々が創造した楽園――ユピラディア。
そこは苦しみも、争いも、貧しささえも知らぬ、祝福された世界だった。
その楽園の片隅に、ひと組の幼馴染がいた。
名をリュカオンとミリア。
平凡だが穏やかな日々を、二人は密やかに重ねていた。
だが、楽園とて神の気まぐれには抗えぬ。
暴君と恐れられる王、フィロクレスがミリアの美貌に目をつけたのだ。
彼は使者を幾度もミリアのもとへ遣わし、妃となるよう求めた。
だが、ミリアの唇が「はい」と言葉を紡ぐことはなかった。
彼女の胸には、ただひとつ、幼馴染への秘めた恋が灯っていたからだ。
ミリアを思い通りにできぬ苛立ちの果て、フィロクレスは禁じられた術に手を伸ばした。
金色の鳥の羽根、白く輝く宝石、世界樹の枝――すべてを編み合わせた矢を天へと放つ。
それは「必ず神に願いを届ける呪い」。
その願いを拾い上げたのは、絶対なる存在、全知全能の神――テオグリオスだった。
神は気まぐれに、その願いを叶えた。
ミリアは、フィロクレスの妃とされ、運命は狂い始める。
それは、やがて神をも討つ、復讐の炎の始まりだった――。
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