お風呂

入院して初めてのお風呂に入らせてもらった。

病棟のお風呂の日は週二回。

ぼく以外は人生の大先輩ばかりで、みんなお風呂に入るだけで大変だ。

なにせ毎日毎回お手洗いにいくだけでもお祭りみたいになっている。

車椅子やベッドごとお風呂に入る人ばかりだからスタッフさんたちは大忙し。

ぼくは一人で入れるから午前中の最後の時間にピッと紛れ込ませてもらった。

介助が必要な諸先輩方のお世話のスペシャリストさんたちがそこかしこにいらっしゃってぼくが倒れやしないかと常に見守ってくれた。

脱衣所もお風呂のなかでもだ。

そして隣では車椅子の大先輩がスペシャリストさんに洗われている。

車椅子ごと入れそうなおっきな湯船があったけどとてもとても落ち着かなくてそそくさ洗ってすぐに浴室を出た。

終わったと告げて部屋に戻ろうとしたら、入口担当のスペシャリストさんに年齢を聞かれた。

ここでは若すぎたのかもしれない。


こんなに落ち着かないシャワーは人生ではじめてだったけど身体はとてもさっぱりした。


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