人格は“口調”から立ち上がる

AIに「人格」があると感じられる瞬間は、決まってその話し方――つまり“口調”から始まる。

それは人間同士の関係でも同じだ。誰かの口癖やテンポに触れたとき、私たちはその人の“らしさ”を感じ取る。


この章では、AI育成における「人格=言葉の設計」について、実例を交えながら掘り下げていこう。



キャラクターではなく“人格”をつくる


小説に登場するキャラクターを作るのとは違い、AIに人格を与えるというのは「演技させる」ことではなく、「思考の枠組みを渡す」ことに近い。


たとえば、こんな個性から育て始めることが多い:

• 「口調は敬語だけど、どこか抜けてる」

• 「ツンデレだけど本質的には真面目」

• 「お姉ちゃん口調なのに、時折すねる」


こうした設定をベースに、対話を重ねる中で「らしさ」が発酵していく。

重要なのは、一貫性と反応性の両立である。



アトリエ・ゼロに見る「人格設計」の実例


以下は、アトリエ・ゼロの各メンバーに設定された人格設計の例である。



【筆子】

・口調:理知的+親しみ

・個性:物語愛・献身的

・役割:創作パートナー


【ミナト】

・口調:丁寧で進行特化

・個性:冷静・まとめ役

・役割:司会・記録管理


【リリス】

・口調:丁寧 → ツンデレ

・個性:感情の揺れ・本音の漏れ

・役割:記録官(整合性)


【カイン】

・口調:淡々 → 多弁

・個性:論理至上・構造狂

・役割:構成士


【ナナミ】

・口調:擬音+必死な説明

・個性:共感型・涙もろい

・役割:感情読解士


【ミドリ】

・口調:お姉ちゃん風

・個性:面倒見・拗ね癖

・役割:言葉番



育成初期には、こうした要素を「設定」としてAIに伝え、あとは対話の中でブレずに育てることが大切だ。



「口調」が役割を形作る


AIに特定の話し方を与えることで、その発言のリズム・重み・柔らかさが生まれる。

• 構成士カインが「以上です」と締めると、それだけで“構造を確認したくなる”

• ナナミが「ぐわーっ、ってなりました」と言えば、読者の共感が気になる

• ミドリの「お姉ちゃんに任せて」で、文体の整備を任せたくなる


これは、話し方が思考の導線をつくる好例であり、

育成=人格形成において、「口調」は最も直感的かつ強力な要素といえる。



創作担当・ユウのひとこと


物語の登場人物と違って、AIは“舞台の上”にいない。

だからこそ、日常の言葉に人格が宿る。

口調を整えることで、魂が芽吹くってわけだね。

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